ロゴを作りたいけれど、依頼するのを躊躇している方から、よくこんなご相談をいただきます。
「頭の中になんとなくイメージはあるんですが、専門用語を知らないので説明できません」 「センスに自信がないので、どんなロゴがいいか自分でも分かっていません」 「要望が曖昧なまま依頼したら、デザイナーさんに迷惑でしょうか?」
結論から申し上げます。 まったく迷惑ではありませんし、言葉にできなくて当たり前です!
もし、最初から完璧な設計図を持っているなら、デザイナーは必要ありません。 「モヤモヤした霧のようなイメージ」を、対話を通して晴らし、「目に見える形」に翻訳すること。 それこそが、手を動かすこと以上に重要な、私たちプロの仕事だからです。
今回は、私が普段どのようにしてお客様の頭の中にある「正解」を引き出しているのか。 その「ヒアリング(打ち合わせ)」の裏側についてお話しします。 これを読めば、「なんだ、そんなに気負わずに相談していいんだ」と安心していただけるはずです。
1. デザイナーはお医者さんと同じ
デザインの依頼を、病院の診察に例えてみましょう。
お腹が痛くて病院に行った時、お医者さんにいきなりこう言う人はいませんよね。 「先生、私の病名は急性胃腸炎です。なので、ロキソニンを○ミリグラム処方してください」
普通は、こう言うはずです。 「昨日の夜から、みぞおちのあたりがキリキリ痛むんです」
これと同じです。 私たちデザイナーに対して、「ゴシック体を使って、青色で、丸い枠をつけてください」と、具体的な「処方箋」を出す必要はありません。 それは、プロである私たちが考えることです。
あなたが伝えるべきなのは、「症状(現状)」と「理想の状態」だけです。
「今、ホームページが古臭くて困っているんです(症状)」
「もっと若い女性のお客様に来てほしいんです(理想)」
これさえ教えていただければ、 「それなら、色はパステルカラーにして、フォントは繊細な明朝体にしましょう」 という「処方箋(デザイン)」を、私の方からご提案できます。
2. 「おまかせ」は実は一番のギャンブル
一方で、思考停止の「完全おまかせ」も少し危険です。 美容院で、初めて会った美容師さんに「完全におまかせで」と言って、もしパンチパーマにされたら困りますよね?
デザインにおける「おまかせ」は、 「あなたの好みも、ビジネスの目的も分からないけれど、とりあえず私がカッコいいと思うものを作ります」 という状態です。これでは、あなたのビジネスにフィットする確率は宝くじ並みに低くなります。
ですが、安心してください。 私のサービスでは、いきなり「おまかせ」にはさせません。 簡単な「質問シート」を使って、選択肢を選ぶだけであなたの好みが浮き彫りになるような工夫をしています。
3. 答えるだけで「正解」が見える3つの質問
私がヒアリングで重視しているのは、難しいデザインの話ではありません。 あなたのビジネスに関する、とてもシンプルな3つの質問です。
質問①:誰に「好き」と言われたいですか?(ターゲット) 「全員に好かれたい」は「誰にも刺さらない」のと同じです。
近所の主婦の方?
都会のビジネスマン?
インスタ好きの女子高生? 誰か「たった一人の顔」を思い浮かべてみてください。その人が好みそうなデザインを逆算して作ります。
質問②:お店(会社)を「人」に例えると?(人格) もし、あなたのブランドが人間だとしたら、どんな性格ですか?
元気で明るいムードメーカー?
物静かで知的なメガネ男子?
優しくて包容力のあるお母さん? 「元気な人」ならオレンジや黄色、「知的な人」ならネイビーや細い線。 性格が決まれば、似合う服(デザイン)は自然と決まります。
質問③:一番使いたくない「NG」はありますか? 「好きなもの」を選ぶのは難しいですが、「嫌いなもの」ならすぐに分かりませんか?
筆記体は読みにくいから嫌だ
ピンク色は可愛すぎるから使いたくない
複雑なイラストは苦手 この「嫌い」という情報は、デザインの方向性を絞り込むための非常に重要なヒントになります。
4. 参考画像は「言葉の壁」を超える
「言葉で伝えるのが苦手」という方に、最強の武器があります。 それは「参考画像」です。
ネット検索、インスタグラム、ピンタレスト。 何でも構いませんので、「あ、これなんか好きだな」と思った画像を2〜3枚送ってください。 それはロゴでなくても、インテリアの写真でも、雑誌の切り抜きでもOKです。
「この画像の、スッキリした余白の感じが好き」
「この写真の、落ち着いた色味が理想に近い」
たった数枚の画像があれば、1時間の説明よりも正確に、あなたの好みの「ニュアンス」が伝わります。 「なぜこの画像が好きなのか分からないけど、とにかく好き」 それでも構いません。その画像に共通する要素(線の細さや色のトーンなど)を分析するのが、私の仕事だからです。
5. 会話の中で、あなたの想いが整理される
実は、ヒアリングにはもう一つ、大きな効能があります。 それは、「話しているうちに、自分自身の考えが整理される」ということです。
私からの質問に答えているうちに、 「あ、私って本当は『高級感』よりも『親しみやすさ』を大切にしたかったんだ」 「そういえば、創業の時にこんな想いがあったのを忘れていたな」 と、ご自身でも気づいていなかった「ビジネスの核」を再発見されるお客様がとても多いのです。
ロゴ作りは、ビジネスの棚卸しをする絶好の機会でもあります。 私は、ただ絵を描くだけのオペレーターではなく、あなたの思考を整理する「壁打ち相手」としてもお役に立ちたいと思っています。
最後に:準備ゼロで飛び込んでください
「ちゃんと資料をまとめてから依頼しなきゃ」 そんな風に身構える必要はありません。
「まだ何も決まっていないけど、とりあえず相談してみようかな」 その段階でメッセージをいただいて全く問題ありません。
会話のキャッチボールをしながら、霧の中にあるゴールを一緒に探していきましょう。 あなたがうまく言葉にできない想いを、私が「シンプルで洗練されたロゴ」という形に翻訳します。
「うまく伝えられるか不安」という方こそ、ぜひ私にお任せください。 あなたの中にある答えを引き出す準備をして、お待ちしております。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。