セラー業務支援室です。
私は医薬品メーカーで30年、営業事務として働いています。
SNS等により、自分を魅力的に見せる発信が注目される今日この頃、
私が実際にあった出来事から感じたことを書きたいと思います。
■ 会社で実際に起きたこと
以前、営業畑を10年ほど歩んできた中堅社員が、
異動で企画部門に配属され、私と同じフロアで働くことになりました。
その方は営業成績も優秀で、上司からも可愛がられ、
後輩からも頼りにされていると聞いていました。
実際に会ってみると明るくハキハキとした印象で、
人前で話すことにも慣れている方でした。
ある日のことです。
社外から私宛ての電話があり、その方が取ってくれました。
私はいつものように
「464にお願いします」
と内線番号を伝えました。
ところが、
「494……494……」
と聞き間違え、また電話機の操作にも慣れておらず、
取次ぎに手間取った結果、誤って電話を切ってしまいました。
電話を切ってしまったこと自体は誰にでも起こり得ることです。
ただ、私の印象に残ったのは、その後の受け答えでした。
「すみません」
の一言もなく、
「あ~、切れちゃった。またかかってくるわ~」
と軽く流したのです。
幸い、すぐに先方から電話がかかってきたため、
大きな問題にはなりませんでした。
私が少し気になったのは、電話機の操作ミスではなく、
内線番号を聞き間違えたことと、その後の受け答えでした。
■自分から話すのは得意
営業の仕事では、お客様とのやり取りや上司への報告など、
自分から話す場面が多くあります。
特にルート営業の場合は、ある程度やり取りのパターンが決まっていることも少なくありません。
そのため経験を積むほど、
• 何を伝えれば評価されるか
• どう見せれば印象が良くなるか
• 自分の成果をどう伝えるのか
という力が自然と磨かれていきます。
そういうスキルは、会議でも存在感がありますし、上司への報告も上手です。
そのため、
「仕事ができそうな人」
という印象を持たれやすくなります。
実際に優秀な人も多く、アピール力そのものは大切な能力です。
ただ、アピールは言ってみれば、
「自分が主導権を持っている会話」
です。
何を話すかを自分で決められるため、自分のペースで進められます。
■会話のキャッチボールは出来ていますか?
一方で、受け答えは少し違います。
突然質問されたり、想定外の依頼を受けたりすると、
その場で考えなければなりません。
受け答えとは、
相手が投げたボールを正しく受け取り、適切な形で返すことです。
そこには、
• 相手の話を正確に聞く力
• 内容を理解する力
• 状況を判断する力
• 相手の意図をくみ取る力
が求められます。
営業事務の仕事では、
こちらのほうが重要になる場面が多くあります。
例えば
• 電話応対
• 営業担当からの問い合わせ
• 取引先とのやり取り
• 社内の急な相談
などです。
特に緊急時ほど、最初の聞き取りが重要になります。
聞き違えたり、思い込みで判断したりすると、
その後の対応すべてがずれてしまうからです。
■「受け答えの力」
企業の評価制度でも、プレゼンテーション能力や発信力が重視される場面は増えているように感じます。
確かに、自分の考えや成果を分かりやすく伝える力は大切です。
しかし、長く仕事を続けていると、本当に周囲から信頼されている人は、
必ずしも話し上手な人ばかりではありません。
相手の話を正しく受け止め、その場に応じて適切に返せる人。
緊急時や想定外の場面でも、相手を安心させる受け答えができる人。
そういう人が、安心して仕事を任せられる存在として、
これからも必要とされ続けるのでしょう。
私は、発信力やアピール力だけでなく、
「返す力を持った人」も正当に評価される時代になってほしい。
30年営業事務として働いてきた今、そう強く感じています。