セラー業務支援室です。
私は医薬品メーカーで30年間、営業事務として働いています。
前回の記事で、私が思う“未来のビジネスメール”について書きましたが、
その内容に関係するような出来事が最近あり、
「もしかして、私の予測は当たっているのかもしれない」と感じたので、
今回はそのことを書きたいと思います。
■重役の一言が生む“AI利用への迷い”
私が勤めている会社の重役が、ふとこんなことを口にしました。
「A君の最近のメール、やけに丁寧なんだよな。
前はもっと馴れ馴れしいというか、特徴的な書き方だったんだけど……。
AIで書いているんだろうけど、なんかしっくりこないんだよ」
会社としてはAIを使った業務効率化を推奨しています。
しかし、重役という立場の人がこうした“個人的な感想”を口にすると、
聞いた側はどう感じるでしょうか。
評価に影響する話ではないにしても、「雑談」として聞かされた人は、
「結局、AI使ったらダメなの?」
と感じてしまう可能性があります。
■AIが作成するビジネスメールの印象は人それぞれ
今はAI活用が広がりつつある“過渡期”です。
そのため、効率化のためにAIを使った結果、
A君のように「らしさが消えた」と感じる人がいる一方で、
「以前は特徴的すぎて読みにくかったけれど、AIを使ってくれて分かりやすくなった」と評価する人もいるでしょう。
つまり、同じAI利用でも受け手によって印象がまったく異なり、
この“揺らぎ”こそ、過渡期ならではの現象だと感じます。
■“AIで整った文面”をどう評価するのか
AIで作成されたメールは、
・文面が分かりやすい
・要点が明確
・読み手の負担が少ない
こうした理由から、好印象を持つ上長もいます。
そして、実際の行動力や成果を中心に、
純粋に仕事を評価するタイプの上長もいるでしょう。
一方で、AIによって文章が整いすぎることで個性が見えなくなり、
その人が本来持っている得手不得手や特徴がつかみにくくなる。
その結果、
「評価材料が減った」
と感じる上長もいるかもしれません。
■AIは“公平さ”をもたらすはずだったのに
昔から、評価者の価値観によって判断が左右されることはありました。
むしろ、昔のほうがその傾向は強かったようにも思います。
だからこそ、AIはこうした個人的感情を排除し、
より公平な評価につながるのではないか――
そんな期待を持っていた人も多いはずです。
ところが実際には、AIが介在することで新たな揺らぎが生まれている。
AIで整った文面をどう捉えるかは、結局のところ評価者の価値観に左右される。
今回の重役の一言を聞いたとき、
私はその現実に少し怖さを感じました。
AI時代のビジネスメールは、これからどのように評価されていくのでしょうか。