先日、夜の街を歩いていると、ふと路地裏の小さなネオンが目に留まった。赤や青、緑の光が混ざり合い、建物の壁に微妙な色のグラデーションを作っていた。忙しい日常の中では気づかない小さな光の変化だが、よく見るとその光の強弱や角度で、通りの雰囲気がまるで違って感じられた。
その瞬間、仕事のことを考えた。Webサイトやサービス設計でも同じことが言える。ユーザーが最初に目にするのは表面的なデザインだが、背後には情報の構造や動線、ボタンの位置、色の微妙な変化といった「見えない工夫」が隠れている。路地裏のネオンの光も、表面だけではなく角度や距離によって印象が変わるように、設計の細部がユーザー体験に大きな影響を与える。
僕はディレクター兼デザイナーとして、クライアントの要望やビジネスゴールを形にする仕事をしてきた。しかし、見える成果だけに注目してしまうと、ユーザーが直感的に操作できる感覚や、思わず触れたくなる要素を見落としがちだ。ネオンの光を見ながら、細かい調整や微妙な差にこそ価値があると改めて感じた。
その夜、帰宅してからノートを開き、光や色、角度、見え方の変化をプロジェクトにどう活かすか書き留めた。例えば、ボタンの色を微妙に変えることでクリック率が上がる場合や、情報の並びを少し調整するだけでユーザーの迷いが減ることもある。こうした小さな工夫の積み重ねが、結果的にサービス全体の価値を大きく変えるのだ。
翌日、オフィスでクライアント向けの提案資料を作りながら、路地裏のネオンの光景を思い出す。偶然の光の揺らぎを意識してデザインに取り入れることで、単なる画面の美しさではなく、触れる人の体験や感情を豊かにできる。小さな光が教えてくれたのは、見える成果以上に、見えない部分を丁寧に設計することの重要性だった。