“諦めたら負け”という言葉に疲れてしまったあなたへ

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コラム
「諦めたら、そこで終わりだよ」

そんな言葉を、
私たちは何度も耳にしてきました。 
頑張れない自分を責めたり、
期待しすぎて疲れてしまったり……。
 特に人には言えない悩みを
抱えているときほど、
「もっとちゃんとしなきゃ」と
自分を追い立ててしまうこと、ありませんか?

実は私も、ずっとそうでした。 
でも、ある一冊の本に出会ってから、
その考えが少しずつ変わっていったんです。

哲学者・九鬼周造が書いた『いきの構造』。 
そこには、現代の私たちが忘れてしまった
「しなやかな強さ」が記されていました。


「いき」を構成する三つの鍵

九鬼の言う「いき」とは、
ただ格好をつけることではありません。 
以下の三つが、
絶妙なバランスで
混ざり合っている状態を指します。

誰かを想う、
いじらしい気持ち(媚態)

自分を安売りしない、
静かな自尊心(意気地)

そして、「諦め」

特に私の心に深く響いたのは、
この「諦め」という言葉でした。

執着を手放したあとに残るもの

九鬼の言う諦めは、
投げやりになることでも、
冷めてしまうことでもありません。

それは、
たくさん信じて、たくさん傷ついて。 
それでも世界や人を憎まなかった人が
たどり着く、「静かな心の場所」のこと。

「もう期待しない」と心を閉ざすのではなく、
「必要以上に縛られない」こと。
 執着を手放したあとに残る、
あっさりとした潔さと、湿らない優しさ。 
それが「いき」なのだと。

答えを出せない自分を、失敗と言わないで

現代は、
何でも「はっきりさせること」が
求められる時代です。

特に「性」のことや「人間関係」において、
 好きか嫌いか、
続けるのかやめるのか、
理由は何か。 
答えを出せないと、自分が弱いような、
ダメなような気がしてしまうかもしれません。

でも、「いき」の考え方は、
その「決めきれなさ」を否定しません。

近づきすぎない。
 期待しすぎない。 
それでも、心は完全には閉じない。

その曖昧さ(グレーゾーン)を
抱えたまま生きる態度は、
今の生きづらさの中で、
自分を守る
一つの「強さ」になるのだと思います。

「諦めるけれど、投げ出さない」 
「距離は取るけれど、冷たくはならない」

もし今、
ちゃんと生きようとして
疲れてしまった人がいたら。
 「もう十分だよ」と、
自分に言ってあげてください。

無理に前向きにならなくても大丈夫。
 その揺れている姿こそが、
何より「いき」で、
美しいのだから。


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