「書けなかった日」編集後記|第2回

「書けなかった日」編集後記|第2回

記事
コラム
今日は、原稿が少し進んだ。
書いたのは、小説の中盤にあたる部分だ。
場所の名前や時代はあるが、
ここでは触れないことにする。

机に向かっている時間は長くなかった。
けれど、途中で止まることはなかった。

一度書き始めると、
身体の感覚のほうが先に動いていくような時間だった。

書いていたのは、
移動の多い日々のことだ。
街の名前が変わり、
話される言葉が変わり、
自分の立ち位置が、少しずつずれていく感覚。

不思議なことに、
その場にいた当時の感情は、
ほとんど思い出さなかった。

楽しかったかどうか、
孤独だったかどうか、
判断できるほどの手触りが残っていない。

代わりに残っているのは、
光の入り方や、
部屋の広さ、
歩く速度のような、
感情とは別の記憶だった。

書きながら、
それで十分なのだと思った。

意味づけをしなくても、
評価を与えなくても、
書ける部分は確かにある。

今日は、過去を掘り返すというより、
通過していった風景を、
静かに並べていく作業に近かった。

自分のことを書いているはずなのに、
少し離れた場所から見ている感覚があった。

原稿を閉じたあと、
特別な達成感はなかった。

ただ、
今日は進める日だった、
それだけが残った。

書けない日もあれば、
理由を考えずに書ける日もある。

どちらが正しいというわけではない。
流れがそうだった、
としか言えない日もある。

今日はここまで。
中盤を書き終えた原稿と、
説明しなかった感情を、
そのままにしておく。

--
この編集後記は、
小説の進捗報告というより、
書けなかった日や、書けた日の余白を記録するためのものです。

もし、
・同じように「言葉が止まる夜」を経験している
・作品や人生について、結論の出ない話を静かにしたい
・チャットよりも、声や沈黙のほうが楽だと感じる

そんな方がいれば、
とあるスペースで小さな書斎を開いています。
読書会や雑談という名前は使っていますが、
無理に話す必要はありません。

入退室も、発言もしなくて大丈夫です。
一日中、静かに開放しています。

DMを頂ければご招待します。

※ナンパ・勧誘・攻撃的な言動は禁止しています。
※合わないと感じたら、何も言わずに退出して構いません。



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