【福本潤・元医師】ハサミが喋りだした朝に、サービスをつくる意味を思い出した

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ビジネス・マーケティング
朝、机の上に置いてあったハサミが、まるで文句を言うようにこちらを見ていた。昨日の夜、急ぎの作業で無理やり分厚い紙を切ったからかもしれない。刃の間に、少しだけ紙の繊維が挟まっていた。それを取り除こうとした瞬間、ふと考えた。「このハサミ、もし声が出せたら、なんて言うだろう?」

きっと「もう少し優しく使ってくれ」だろう。あるいは「切る前に、何を切るのか教えてほしい」かもしれない。そう思った瞬間、自分がつくっているサービスも同じだと気づいた。多くの人が“便利”をつくることに一生懸命になっているけれど、その便利さが誰かを痛めつけていないか、見えていない。

ココナラを通じて誰かにスキルを提供するとき、私はいつも“声を持たないもの”の代弁者でありたいと思っている。たとえば、自分の作ったデザインが、見た人の心にどう届くか。アドバイスが相手のペースを乱していないか。言葉ひとつで、相手を切ることも、包み込むこともできる。それは、ハサミの刃と同じ構造だ。使う人の心が鈍っていたら、どんなに優れた道具も人を傷つけてしまう。

だから私は、自分の中の“刃”を常に研ぐようにしている。丁寧に観察し、相手の空気を感じ、焦らずに扱う。仕事を続けていると、どうしても「早く」「多く」「効率的に」という声が頭の中に鳴り響く。でも、本当に価値を生む瞬間は、その逆にある。スピードを落とし、静かに耳をすます時間の中にしか見えないものがある。

サービスを届けるということは、目に見えない“関係”を形にすることだと思う。ココナラのやり取りでは、顔も声も知らない相手と信頼を築く。それはまるで、手に取ったハサミの重さを確かめながら、どこを切るかを考えるような感覚だ。相手のリズムや呼吸を感じ取ることで、ようやく“良い切れ味”が生まれる。

夕方になって、もう一度そのハサミを手に取った。朝よりも軽く感じた。多分、気のせいではない。モノもサービスも、人の手と心で扱われた分だけ、柔らかくなるのだ。

もし今、あなたが「自分のサービスが誰かにどう届いているのか分からない」と感じているなら、一度、あなたの“ハサミ”に話しかけてみてほしい。その沈黙の中に、きっと次のヒントが隠れているから。
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