【前嶋拳人】依頼主が私を忘れてしまう時こそが最高の瞬間

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ビジネス・マーケティング
お気に入りの靴を履いているとき、私たちはその靴の存在を忘れています。歩き心地が完璧であればあるほど、意識は目的地や景色に向かい、足元の道具のことは意識から消えてしまいます。実は、私が長年向き合ってきたシステム開発という仕事も、この靴の感覚にとても似ているのです。大手企業で巨大な仕組みを作っていた頃から、フリーランスとして活動する今に至るまで、私がひそかに目指している究極のゴールは、お客様に私の存在をいつの間にか忘れさせてしまうことです。

少し変な話に聞こえるかもしれません。サービスを提供している側としては、名前を覚えてもらい、何度も思い出してほしいと思うのが普通です。しかし、本当に優れた仕組みというのは、空気のように自然で、そこにあるのが当たり前な状態を指します。ボタンを押せば望み通りの結果が返ってくる。画面を開けば迷わず次に進める。こうした当たり前を維持するためには、見えない部分で無数の小さな歯車が、一分の狂いもなく噛み合っていなければなりません。

私はかつて、銀行の裏側で動くような、一瞬の停止も許されない巨大な機械のような仕組みを担当していました。そこでは、何が起きても止まらないための備えが、何層にもわたって緻密に張り巡らされていました。今の活動でも、その頃に学んだ見えない安心を形にする姿勢を大切にしています。例えば、丁寧な説明書を作ることや、後の人が誰が見ても理解できるような整理整頓を心がけること。これらはすべて、将来お客様が困ったときに、わざわざ私に連絡しなくても自力で解決できるようにするための優しい仕掛けです。

納期を守り、誠実に仕事をする。これは、お客様との間に不安という隙間を作らないためのプロとしての最低限の作法です。不安がなければ、お客様は自分のビジネスや創作活動に、全ての情熱を注ぎ込むことができます。私が作ったものが、静かに、しかし力強く後ろから支えている。そしてお客様が私のことを思い出す必要がないほど、その仕事が生活の一部に溶け込んでいる。そんな状態を作れたとき、私はプロとしての最高の仕事を果たしたのだと実感します。

もし、あなたが誰かに何かを依頼するとき、その完成品だけでなく、手に入れた後の静かな日常を想像してみてください。私たちが提供しているのは、単なる成果物ではなく、その先にある何にも邪魔されない自由な時間なのかもしれません。あなたの歩みを止めることなく、どこまでも遠くへ行けるような、最高の履き心地と決して壊れない安心感を備えた一足を届ける。そんな透明な存在であり続けたいと、今日もパソコンの前で静かに願っています。
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