大人げない?そんな言葉は知らない!!

大人げない?そんな言葉は知らない!!

記事
コラム

大人は「高い壁」であれ!保育園児と本気で勝負することが、子どもの未来を拓く


「保育園児相手に、大人が本気を出して勝つなんて大人げない」

 保育園で子どもとかけっこを本気でしているときに言われたことです。みなさんもそんな風に思ったり、言われたりした経験はないでしょうか。子どもの喜ぶ顔が見たくて、ついわざと負けてあげる。それは、子どもを思う優しさの一つの形かもしれません。

 しかし私は、もし私たちが子どもの将来的な成長を本気で願うのであれば、その「優しさ」の形を一度見直してみる必要があるかもしれないと考えています。常に大人が手加減をして勝利を譲ることよりも、本気の大人という「高い壁」に、子ども自身が試行錯誤しながら挑んでいく。そのプロセスこそが、これからの時代を生き抜くために必要な「考える力」や「心の強さ」を育む、最高のトレーニングになると思うからです。

「負けてあげる」ことの功罪と「本気の壁」の価値

大人がわざと負けてあげることは、短期的には子どもの自尊心を満たし、遊びへの意欲を高める効果があるかもしれません。しかし、それが常態化すると、子どもは「自分はいつも勝てる」という万能感に浸ってしまい、現実とのギャップに直面した際に、打たれ弱くなってしまう可能性があります。負ける経験の不足は、失敗を恐れて新しいことに挑戦する意欲を削いだり、思い通りにならない時に感情をコントロールできなくなったりする一因にもなり得ます。
 一方で、大人が本気で勝負の相手をすることは、子どもにとって「超えるべき具体的な目標」を提示することに他なりません。最初は全く歯が立たなくても、「どうしたら勝てるんだろう?」と子どもは自然と考え始めます。実際に自分が相手にしたA君もそうでした。

かけっこで勝つためには?
「もっと腕を大きく振ってみようかな」
「スタートの合図に集中してみよう」

 このように、本気の大人という「高い壁」は、子ども自身の内側から「なぜ?」「どうすれば?」という問いを引き出し、主体的な思考力や問題解決能力を育む絶好の機会となるのです。
「考える→実行→振り返る→再挑戦」成長のサイクルを回す経験
本気の大人に挑む中で、子どもは自然と成長のための重要なサイクルを回し始めます。

考える(Plan): どうすれば勝てるか、作戦を立てる。
実行する(Do): 立てた作戦を試してみる。
振り返る(Check): うまくいったか、なぜ負けたのかを考える。
また挑戦する(Action): 新しい作戦で、再び大人に挑む。

 このサイクルは、まさにビジネスの世界でも用いられるPDCAサイクルの原型とも言えるでしょう。うまくいかなくても、すぐに諦めるのではなく、「次はこうしてみよう」と前向きに考え、粘り強く挑戦を続ける。この経験こそが、昨今教育界で注目されている「グリット(やり抜く力)」や、困難から立ち直る力「レジリエンス」を育む土壌となります。

 大人の役割は、ただ高い壁として立ちはだかるだけではありません。子どもが作戦に悩んでいる時には、「こういう方法もあるかもね」とヒントを与えたり、負けて悔しがっている時には、「悔しいね。その気持ちが大事だよ。次はどうする?」と気持ちに寄り添い、次への意欲を引き出してあげることが重要です。決して結果だけを評価するのではなく、挑戦した過程そのものを認めたいと自分は思います。

本気の大人に勝った時の「本物の喜び」が子どもを変える

 自分が実際にA君と対決したその日。
「かけっこやろう!」と言われ、快諾。そこから私は10連勝しました(笑)「大人げない」と同僚に言われましたが、それでも繰り返し勝ちました。そしてその子は大泣き。夕方まで引きずり、保護者には事のいきさつを説明。その保護者は理解してくれたようで、笑いながら「それでも、勝ち続けてください」と言ってくださいました。今思えば本当にありがたい言葉だなと思います。

 次の日、「かけっこしよう!!怒」とキレ気味のA君。「いいよ」と快諾。昨日と同じ位置に行くと、「今日は僕はここから走る」と、自分より少し前(5m位)にスタートラインを取りました。「いいよ」と勝負すると、自分の勝ち。「また泣くかな?」とその子を見ると、なぜか笑顔。「なんで負けたのに笑ってるんだ?・・・」と思っていると、「次はここから!!」と10m前へ。そうなんです。

 その子は、昨日よりも前進した感覚。ゴールした瞬間の自分との距離が少し近づいたことに、「行けるかも!!」と思って微笑んでいたのです。そのあと繰り返すこと、勝ち続けていた私。そしていよいよきつくなってギリギリ勝った25mハンデの頃、その子は「あと少しで勝てそう」という感覚に、満面の笑み。逆に勝っているのに、めちゃめちゃ悔しい私。(笑)


 そして迎えた30メートルハンデ戦。全力で走る私とその子、本気の本気の私。(笑)勝者は・・・・・A君。その瞬間、保育園中が「やったーーーーーーーーー!!!!」と、大騒ぎ。まるでサッカー日本代表が、強豪国から点を取った時のような歓声!私の味方はいないのか!!(笑)

 その時のA君の表情?言うまでもないですね。あんなに輝く笑顔は、本気であるがゆえに自然と出たんだと思いました。戦績でいえば40戦1勝39敗くらい。でも、その1勝のために、彼は何度もあきらめず、繰り返し、泣きながらも挑戦しました。

 勝った瞬間、全身で喜びを爆発させ、満面の笑みを浮かべる。それは、自分の力で困難な壁を乗り越えたという、何物にも代えがたい「成功体験」の証です。この「本物の成功体験」は、子どもの自己肯定感を大きく育み、「やればできる」という自信となって、今後の人生におけるあらゆる挑戦へのモチベーションの源泉となるのではと、本当に思います。

本気で向き合うことは、最高の愛情表現


 保育園児に本気で勝負を挑むことは、「大人げない」行為ではありません。それは、子どもの力を信じ、一人の対等な人間として向き合うという、最高の愛情表現です。もちろん、年齢や発達段階に応じた適切なハンデは必要でしょう。しかし、その根底にあるべきは、「いつかこの壁を越えてみせろ」という、子どもの可能性を信じる眼差しです。

 わざと負けてあげるという「優しさ?」から一歩踏み出し、子どものための「高く、しかし愛情に満ちた壁」になってみませんか。その壁を乗り越えようと試行錯誤する経験と、ついに乗り越えた時の本物の喜びこそが、子どもたちの思考力を磨き、自己肯定感を育み、未来を力強く生き抜くための、何よりの贈り物となるはず!!と強く思います。

 だからこれからも、園児に負ける気は毛頭ありません。(笑)
保育士の皆さん。全力で子供の挑戦を受け続けましょう!!

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 少しでも保育士の皆さんの力になれたら、幸いです。

ART

サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す