痛みを消すだけで、本当に「治った」といえるのでしょうか?
医療に関わる仕事をしているなかで、ここ最近、どうしても腑に落ちないことがあります。
それは、今の社会全体が「根本から解決すること」よりも、
「目の前に起きている問題を、とりあえず見えなくすること」に傾いているように感じることです。
痛みが出たら、痛みを抑える。
病気になったら、症状を抑える。
虫歯になったら、悪くなった部分を削る。
身体に異変が起きたら、薬を飲む。
栄養が不足しているといわれたら、サプリメントで補う。
病気が心配だから、予防のための処置を受ける。
もちろん、こうした対症療法が必要な場面はあります。
強い痛みを一時的に抑えることや、生命を守るために薬や手術を使うことを、私は否定しているわけではありません。
しかし、ここで考えたいのは、その後です。
「なぜ痛みが出たのか」
「なぜ病気になったのか」
「なぜ栄養が不足したのか」
「身体に負担をかけている生活や環境はなかったのか」
症状を抑えた後に、こうした問いまで考えなければ、同じ問題を何度も繰り返す可能性があります。
症状を消すことと、原因を見直すことは違います
痛み止めによって痛みがなくなっても、痛みが生まれた原因までなくなったとは限りません。
薬によって数値が安定しても、生活習慣や食生活、仕事の仕方、人間関係による負担が、そのまま残っていることもあります。
虫歯を削って治療しても、食生活や口腔環境が変わらなければ、再び虫歯になる可能性があります。
対症療法は、今起きている苦痛を軽くするために必要なものです。
しかし、それだけを「治療のすべて」にしてしまうと、私たちは自分の身体について考える機会を失ってしまいます。
医療を受ける側が専門家にすべてを任せ、自分では何も考えなくなる。
医療を提供する側も、症状を処理することだけで役割を終えてしまう。
私は、この関係に強い違和感を覚えます。
福祉にも「起きた後」だけではない視点が必要です
社会福祉は、病気や障害、経済的な困難などを抱えている人が生活していくために、欠かすことのできない仕組みです。
必要な支援を充実させることは、これからも大切にしなければなりません。
その一方で、支援が必要になった後の制度だけでなく、
「防ぐことのできる病気や障害のリスクを、どうすれば減らせるのか」
「妊娠前から、母親だけでなく父親も含めて、どのような準備ができるのか」
「子どもが健やかに育つために、食事、生活環境、出産、育児を社会としてどう支えるのか」
という議論も、もっと必要なのではないでしょうか。
すべての先天性疾患や障害を防げるわけではありません。
それでも、妊娠前からの健康管理や十分な栄養、妊娠中の生活環境が、母子の健康に影響することは知られています。
国の食生活指針でも、妊娠前からのバランスのよい食事や、神経管閉鎖障害のリスクを低減するための葉酸摂取などが示されています。
社会全体で必要な支援を続けながら、同時に「避けられるリスクを減らす」という方向にも目を向ける。
私は、その両方が必要だと思っています。
医療の役割は、患者さんを増やすことでしょうか?
本来の医療とは、病気になった人を治療するだけではなく、病気になる人を減らしていくために存在するものではないでしょうか。
究極的には、患者さんが自分の身体を理解し、医療に依存し続けなくても生活できる状態を目指す。
私は、それが医療に関わる者の役割だと考えています。
ところが現実には、利権や派閥、組織の都合、責任回避などによって、本当に必要な議論が進まないことがあります。
政治も、医療も、食も、福祉も、問題が起きてから対処することが中心になり、
「なぜそうなったのか」という問いが後回しにされているように見えます。
もちろん、制度や医療側だけの問題ではありません。
専門家に任せきりにし、自分で調べ、考え、選択することを手放してきた私たち市民にも、責任の一端はあります。
根本解決とは、自分を責めることではありません
根本原因を考えるというと、「病気になったのは本人の責任だ」と受け取る人がいるかもしれません。
しかし、私が伝えたいのは、そのような自己責任論ではありません。
病気や痛みの原因は、一つではないからです。
食生活、睡眠、仕事、身体の使い方、過去の経験、考え方、人間関係、家庭環境など、
いくつもの要因が重なって症状として現れることがあります。
根本解決とは、誰かを責めることではなく、
「自分の身体や人生に、何が起きているのかを知ること」
から始まります。
あかつき道整骨院では、痛みのある場所だけを見るのではなく、
生活習慣や食事、身体の使い方、心の問題、人間関係なども含めてお話を伺います。
「治療を続けているのに、同じ症状を繰り返している」
「検査では異常がないのに、不調が続いている」
「自分の症状の原因を、一度じっくり考えてみたい」
「身体だけでなく、心や家族の問題も関係している気がする」
そのように感じている方は、一度ご相談ください。
目の前の症状を楽にすることも大切です。
そのうえで、「なぜこの問題が起きたのか」「これから何を変えられるのか」を一緒に整理していきます。
現在のような社会や医療のあり方を、そのまま次の世代へ渡してよいのか。
まずは私たち一人ひとりが立ち止まり、自分の身体、自分の生活、自分の選択を見直すこと。
根本解決への第一歩は、そこから始まるのだと思います。