「採用することは決まったけど、何か書類を渡すんだよね?」
初めて人を雇うとき、労働条件通知書についてよく分からないまま、インターネットでひな形を探して作る方もいるかもしれません。
でも、労働条件通知書は、単なる「会社と従業員のための書類」ではありません。
労働基準法で、会社に労働条件を明示することが義務付けられています。
今回は、初めて人を雇う会社が知っておきたいポイントを、具体例を交えて解説します。
① 労働条件通知書は「会社が渡すもの」
例えば、サロンを経営するAさん。
初めてスタッフを採用することになり、面接では、
「勤務時間は9時から17時です」
「お休みは日曜日と平日1日です」
「時給は1,200円です」
と説明しました。
Aさんは、
「面接で全部説明したから大丈夫だろう」
と思っていました。
ところが、採用したスタッフから、
「労働条件通知書はもらえますか?」
と聞かれました。
ここで初めて、
「そういう書類が必要なの?」
と気付くこともあります。
労働基準法では、会社は労働者を雇い入れる際に、労働条件を明示しなければならないとされています。
つまり、
「面接で説明したから、書類は必要ない」
というわけではありません。
② 何を伝える必要があるの?
労働条件通知書では、例えば次のような労働条件を明示します。
契約期間
就業場所
業務内容
始業・終業時刻
休憩時間
休日・休暇
賃金
退職に関する事項
などです。
「うちではそんなに細かく決めていない」
という場合でも、人を雇うのであれば、労働条件として整理しておかなければならない事項があります。
③ 「後で決めればいい」はトラブルのもと
例えば、Aさんのサロンでは、
「土曜日は忙しいから、できれば出勤してほしい」
と考えていました。
一方、スタッフは、
「土日は基本的に休みだと思っていました」
と考えていたとします。
どちらかが嘘をついているわけではありません。
採用時に、会社とスタッフの間で条件がはっきり整理されていなかったことが原因です。
こうした認識の違いを防ぐためにも、採用時に労働条件を明確にしておくことが大切です。
④ 労働条件通知書と雇用契約書は同じもの?
ここは、初めて人を雇う方が混乱しやすいところです。
労働条件通知書は、会社が労働者に労働条件を明示するためのものです。
一方、雇用契約書は、会社と労働者がお互いに契約内容を確認するための書類です。
実務上は、労働条件通知書と雇用契約書を一つの書面にまとめ、双方が内容を確認できる形にする方法もあります。
⑤ 作ったら終わり、ではありません
もう一つ注意したいのが、採用後に労働条件が変わる場合です。
例えば、
「最初は9時~17時だったけど、来月から9時~18時に変更したい」
という場合。
採用時に明示した労働条件と、その後の条件が変わるのであれば、変更内容について再度労働条件通知書を交付するなどして、適切に対応する必要があります。
「最初に渡したから、それで終わり」
ではありません。
労働条件を変更するときも、何が変わるのかをきちんと確認することが大切です。
まとめ
労働条件通知書は、初めて人を雇う会社にとって、最初に押さえておきたい基本の一つです。
ポイントは、
労働条件の明示は会社の義務
面接で説明するだけではなく、必要な事項を明示する
労働条件を具体的に整理しておく
雇用契約書との違いを理解しておく
採用後に条件を変更するときも確認する
ということです。
「とりあえずネットのひな形を使えばいいかな」
と考える前に、
「うちの会社では、実際にどんな条件で働いてもらうのか?」
を整理してみましょう。
それが、採用後の「話が違う」を防ぐ第一歩になります。