※この記事は別サイトに掲載した内容を一部編集したものです。
ご家族の施設選びや退院支援に悩む方のヒントになれば嬉しいです。
現役の医療ソーシャルワーカー(MSW)として、
10年以上、これまでに延べ1,000人以上の退院支援に携わってきました。
多くの患者さんやご家族に関わる中で、必要な情報が十分に伝わっておらず、予備知識がないまま現実とのギャップに戸惑う方々をたくさん見てきました。
そうした不安や困惑を少しでも減らしたいと思い、発信していくことを決めました。
ご存じの方も多いと思いますが、少子高齢化に伴う医療費のひっ迫は、
今や国の重要な課題のひとつです。
国はそれぞれの病気について「平均的にどれくらいで治るか」
というデータを持っており、それに基づいて病院ごとに
“疾患ごとの治療期間の目安”を設定しています。
病院はその期間内で退院させることを求められ、
制度としてコントロールされているのが実情です。
多くの病院はこの制度に従って運営されており、ルールに沿って患者さんを“決められた期間内”に退院させた場合は報酬(いわばご褒美)が
支払われます。
一方で、治療期間を過ぎると報酬が減額され、
病院経営に影響が出るしくみとなっています。
例えば、家族(祖父母など)が骨折で入院したとします。
骨折をきっかけに全身状態が悪化し、食事も摂れなくなり、
点滴で栄養を補いながら治療が続いていました。
数週間入院していましたが、食事摂取量は回復せず、依然として点滴のまま。
そんな中、突然「骨がくっついたので退院してください」と言われます。
「え?まだ食べられていないのに退院?点滴したまま退院?
治療中じゃないんですか?」と皆さん思うでしょうが制度上は、
“骨がくっついた=治療終了”と見なされ、退院となります。
これこそが、私が感じている“現実と制度のギャップ”です。
残念ながら、制度に従わざるを得ないため、退院するしかありません。
とはいえ、食事が摂れず、点滴をしたままでは
元の生活を送ることなど到底できません。
そのため、治療を行う病院(いわゆる急性期病院)からは一度退院し、
「自宅退院を目標にリハビリを行う」病棟(回復期リハビリ病棟、
地域包括ケア病棟など)へ転院・転棟することになります。
リハビリ病棟は、リハビリに耐えられる体力があり、ADL(日常生活動作)に改善の見込みがある方が自宅退院を目指して入院する場所です。
使用できる薬や処置、医療行為には一定の制限があります。
この条件に該当しない場合は、
**長期入院が可能な病棟(療養病棟・ホスピス病棟など)**を利用するか、
**介護保険による高齢者施設(特養・老健・有料老人ホームなど)**を
選択することになります。
さらに、点滴をしながら自宅で生活するという選択肢もありますが、
当然ご本人やご家族だけで対応することは難しいため、
訪問診療や訪問看護、訪問介護など、さまざまな在宅支援サービスを
医療保険・介護保険を活用しながら受けていくことになります。
これらの「退院後の選択肢」については、
それぞれ条件・費用・手続きが大きく異なるため、
また別の記事でわかりやすく紹介していきたいと思います。
医療ソーシャルワーカーとして、
こうした制度と現場の“狭間”で日々ご本人・ご家族を支援しています。
今後も、医療現場のリアルと制度のすき間を、すこしずつ言葉にしていきたいと思います。