【城間勝行】黒いスプーンが笑う朝

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朝、引き出しを開けたら一番奥で黒いスプーンがこちらを向いていた。買った覚えもないのに、いつの間にかそこにいる。不揃いなカトラリーたちの中で、そのスプーンだけが妙に存在感を放っていた。形は普通なのに、黒というだけで風景から浮いて見える。手に取ってみると軽く、ただの道具以上に何かを語りたがっているような気配があった。

しばらく眺めていると、ふと自分の仕事のことが重なった。ココナラで活動していると、同じカテゴリにたくさんのサービスが並び、その中で自分だけが奇妙に浮いてしまう瞬間がある。黒いスプーンのように、誰とも似ていない感覚が時々不安に変わる。しかしそれこそが価値なのだと、そのスプーンが黙って教えてくれている気がした。

黒くて目立つスプーンは、決して派手ではない。光を吸い込むような色合いで、むしろ質素に近い。それでも普通の銀色のスプーンの中に混じると、なぜか視線はそちらに引き寄せられる。個性というのは、強く主張することではなく、そこに置かれた瞬間に自然と際立つものなのだと感じた。サービスを作るとき、何かを盛り込もうとしすぎて本質が見えなくなることがあるけれど、本当はただ、自分の色を素直に出せばいいだけなのかもしれない。

黒いスプーンは、料理を映さない。ただの影のようにそこに佇む。しかしその静けさが不思議と安心を与える。喧騒の中では見えないものが、暗い色の中に溶け込むことでかえって際立つ。私がココナラで感じる小さな焦りや迷いも、きっと光と影のバランスの中で生まれるものなのだと思った。

サービスを出すたび、他の人より目立たなければと少し肩に力が入る。でも黒いスプーンは、ただ黒いだけで特別なのではなく、そこに存在することで場の調和を変えてしまう。無理に輝かなくても、この色が必要な人には必ず届く。そう思うと、不思議な安心感が生まれた。

使ってみようと思って、黒いスプーンでヨーグルトをすくってみた。白いヨーグルトが黒の上でやけに美しく見えた。コントラストが強いほど、見慣れたものさえ新しく感じられる。この瞬間、自分のサービスも誰かにとってこんな風に新しい景色を見せられる存在でありたいと思った。役に立つだけではなく、視点そのものを変えられるような、そんな「黒いスプーン」のような仕事がしたい。

食べ終わったあと、スプーンを水で流しながら、私は今日のタスクを思い返した。慣れた作業も、工夫すれば違う角度から見える。何より、自分が思っている以上に価値はすでに形になっていて、あとはそれをどう差し出すかだけなのだと気付いた。引き出しの中でたまたま目に入った黒いスプーンが、こんなにも自分の思考を揺らすとは思わなかったが、道具との偶然の出会いが人の方向性を少し変えることもある。

黒いスプーンは今日も引き出しの中で静かにしている。けれどその佇まいは、私にとって大切なヒントになった。派手に動かなくてもいい。光らなくてもいい。自分の色に自信を持ち、それを必要としている誰かの手に届くまで続ければいい。それだけで十分なのだと、あのスプーンが笑っているような気がした。
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