Excelをそのままアプリにすると起きる遠回り
kintone AIやノーコードツールを使えば、社内アプリはかなり作りやすくなりました。
作りたいアプリの内容を伝える。
入力項目を提案してもらう。
一覧画面を作る。
通知やステータス管理も入れる。
昔よりかなり早いです。
ただ、ここで一つだけ注意したいことがあります。
Excel業務をそのままアプリにすると、だいたい後から遠回りになります。
これはkintone AIが悪いとか、ノーコードが微妙という話ではありません。
むしろ、便利です。
問題は、元になっているExcelの中に、業務ルールがぐちゃっと詰まっていることなんですよね。
私は本業でシステムエンジニアを10年ほどやりながら、副業でもExcel、GAS、Python、Webアプリ、CSV加工、業務自動化まわりの相談を受けています。
その中でよく感じるのが、
アプリ化の前に、Excelの中身を整理した方が結果的に早い
ということです。
Excelで動いている業務は、見た目以上に情報が詰まっています。
担当者。
ステータス。
締切。
備考。
確認済みの印。
色分け。
別シートのマスタ。
過去データ。
担当者だけが知っている例外処理。
このあたりを整理しないままアプリ化すると、画面はできても運用で詰まります。
はい。
アプリは完成したのに、結局Excelも残るやつです。
これ、けっこうあります。
今回は、kintone AIやノーコードで社内アプリを作る前に、Excel業務をどう整理しておくと失敗しにくいかを、SE目線でまとめます。
kintone AIで作れる時代の落とし穴
kintone AIやノーコードツールの良いところは、専門的なコードを書かなくても業務アプリを作りやすいところです。
たとえば、
1. 顧客管理
2. 案件管理
3. 問い合わせ管理
4. 在庫管理
5. 申請管理
6. 日報管理
7. 作業進捗管理
8. CSVデータの管理
こういうものは、アプリとして形にしやすいです。
しかも、今はChatGPTやClaude、kintone AIのようなものに相談しながら進められるので、最初のハードルはかなり下がっています。
これは本当に便利です。
ただ、落とし穴もあります。
それは、業務の前提が整理されていないままでも、アプリっぽいものは作れてしまうことです。
たとえば、Excelにある列をそのまま項目にする。
色分けをステータスにする。
備考欄をそのまま大きい入力欄にする。
別シートの一覧をマスタっぽく移す。
これでも一応アプリにはなります。
でも、業務として使うと、
「この項目、誰が入力するの?」
「完了ってどの状態のこと?」
「差し戻しはどうするの?」
「担当者が変わったらどうするの?」
「過去データは残すの?」
「通知は誰に飛ばすの?」
という話が出てきます。
つまり、アプリを作る前に決めるべきことが残っているんです。
kintone AIやノーコードは、作るスピードを上げてくれます。
でも、
その業務をどう回すべきか
までは、現場の人と一緒に整理する必要があります。
ここを飛ばすと、作るのは早いけど、使い始めてから修正が増えます。
早く作ったのに、あとでクッッッソ直す。
最初から見ておけばよかったやつです。
入力欄より先に決める業務の流れ
社内アプリを作るとき、最初に入力項目を考えたくなります。
顧客名。
案件名。
担当者。
金額。
期限。
ステータス。
備考。
もちろん項目も大事です。
ただ、その前に見た方がいいのは業務の流れです。
たとえば、次のような流れです。
1. 誰が最初に登録するのか
2. 登録後に誰が確認するのか
3. 修正が必要なときは誰に戻すのか
4. 完了にする条件は何か
5. 期限を過ぎたらどうするのか
6. 通知は誰に必要か
7. 最後にどんな一覧やレポートを見たいのか
これを先に整理しないと、入力欄だけ増えていきます。
Excelでは、多少あいまいでも運用できることがあります。
なぜなら、人が見て判断しているからです。
色が赤なら急ぎ。
備考に「済」と書いてあれば完了。
担当者名が空なら未対応。
古い行はなんとなく見ない。
こういう暗黙ルールですね。
ただ、アプリにすると、その暗黙ルールを明確にする必要があります。
アプリは空気を読んでくれません。
ここ、けっこう大事です。
人間の「なんとなく」は、システムにするとだいたい詰まります。
私が工程管理系のツールを作ったときも、最初は工程表だけで済むように見えました。
でも実際には、
1. 業者リスト
2. 仕様書
3. やることリスト
4. 担当者
5. 期限
6. スマホ閲覧
7. 印刷
8. PDF出力
9. Trello連携
こういう周辺の流れが必要になりました。
画面だけ作るなら簡単そうに見えます。
でも、現場で使うとなると、
誰が見て、誰が直して、誰に伝えて、どこに残すのか
まで必要になります。
だから、入力欄より先に業務の流れを整理するのがおすすめです。
Excelの列に隠れている本当の業務ルール
Excelを見ると、ただの列に見えるものがあります。
でも実際には、その列に業務ルールが隠れていることがあります。
たとえば、
1. ステータス
2. 担当者
3. 期限
4. 優先度
5. 確認日
6. 備考
7. 区分
8. 金額
9. 完了チェック
10. 色分け
このあたりです。
特に注意したいのが、備考欄です。
備考欄は便利ですが、業務ルールが埋まりがちです。
「A社だけ先に連絡」
「この人はメールではなく電話」
「月末だけ処理」
「一度確認済み」
「保留」
「要注意」
「あとで対応」
こういう大事な情報が、備考欄に自由入力で入っていることがあります。
Excelのままなら、人が読めばなんとかなります。
でもアプリ化すると、備考欄に入っている情報は検索しにくく、集計しにくく、通知にも使いにくいです。
だから、アプリ化前には、
1. 選択式にした方がいい項目
2. 日付として持つべき項目
3. 担当者として管理すべき項目
4. ステータスにすべき項目
5. 備考に残していい項目
を分けた方がいいです。
私もCSV集計や楽天RMS系のダッシュボードを扱う中で、項目設計の大事さはかなり感じています。
最初の項目名や持ち方があいまいだと、後から集計するときに苦しくなります。
たとえば、
売上日なのか、注文日なのか、発送日なのか。
商品名なのか、SKUなのか、管理番号なのか。
店舗別なのか、モール別なのか。
日次で見るのか、月次で見るのか。
ここが曖昧だと、見える化するときにズレます。
数字で見たいのに、元データが揃っていない。
かなり地味にきついやつです。
だから、Excelの列はそのままアプリ項目にせず、
この列は何のためにあるのか
を一度見た方がいいです。
アプリ化で増える権限と承認の設計
Excelでは、共有フォルダやスプレッドシートで全員が同じファイルを見ることも多いと思います。
ただ、社内アプリにすると、権限と承認の話が出てきます。
たとえば、
1. 管理者だけが見られる項目
2. 担当者だけが編集できる項目
3. 閲覧だけできる人
4. 承認できる人
5. 削除できる人
6. ステータスを変更できる人
7. 外部には見せない情報
こういう分け方です。
Excelのときは、なんとなく運用でカバーしていることがあります。
「この列は触らないでください」
「ここは管理者だけ変更してください」
「完了にする前に一声かけてください」
こういうルールですね。
でも、アプリ化するなら、できれば仕組み側で制御した方が安全です。
誰でも削除できる。
誰でも完了にできる。
誰でも金額を変えられる。
誰でもお客様情報を見られる。
これは少し怖いです。
特に、顧客情報、金額、案件情報、社内メモを扱う場合は、最初に権限を考えた方がいいです。
ここを後回しにすると、画面ができたあとに、
「この人には見せたくない」
「この項目は編集不可にしたい」
「承認者だけ押せるボタンにしたい」
という追加修正が出ます。
もちろん、あとから直せることもあります。
ただ、最初に整理しておいた方が早いです。
権限は地味ですが、業務アプリではかなり大事です。
見た目より先に、誰が何をできるか。
ここです。
通知とステータスで止まらない仕組み
アプリ化のメリットの一つは、通知やステータス管理ができることです。
ただ、ここも整理せずに入れると、逆に使いにくくなります。
たとえば、
1. 新規登録されたら通知
2. 担当者が変わったら通知
3. 期限が近づいたら通知
4. 差し戻しされたら通知
5. 完了したら通知
6. 未対応が残っていたら通知
こういう通知は便利です。
でも、何でも通知すると見られなくなります。
通知が多すぎると、だいたい無視されます。
これは本当にそうです。
はい。
通知は増やせば強いわけではありません。
ステータスも同じです。
「未対応」
「対応中」
「確認待ち」
「差し戻し」
「完了」
「保留」
このくらいなら分かりやすいですが、増やしすぎると迷います。
「確認済み」と「承認済み」は何が違うのか。
「保留」と「一時停止」は何が違うのか。
「完了」と「処理済み」は何が違うのか。
このあたりが曖昧だと、運用でズレます。
だから、アプリ化前に決めたいのは、
1. どの状態を管理したいのか
2. 誰がステータスを変えるのか
3. どのタイミングで通知するのか
4. 通知を受けた人は何をすればいいのか
5. 完了条件は何か
です。
私がやることリストや工程管理系の機能を考えるときも、ステータスと通知はかなり気にします。
ただ通知を飛ばすだけではなく、
その通知を受けた人が次に何をするのか
まで見ないと、仕組みとして回りません。
アプリは作って終わりではなく、業務が止まらないようにするためのものです。
だから、通知とステータスはセットで整理した方がいいです。
スマホと印刷で見える現場の使い勝手
社内アプリを作るとき、PC画面だけで判断すると危ないことがあります。
現場では、思ったよりいろいろな使い方をします。
1. スマホで見る
2. タブレットで入力する
3. 紙で印刷する
4. PDFで共有する
5. 上司に一覧を見せる
6. お客様に資料として渡す
こういう使い方です。
PCではきれいに見えるのに、スマホでは横スクロールだらけ。
画面では見やすいのに、印刷すると文字が切れる。
PDFにすると余白が変。
一覧は良いけど、入力画面が押しにくい。
こういうことは普通にあります。
私も写真管理ツールで、スマホから写真をアップロードしたり、Dropboxに保存したり、PDFで出力したりする仕組みを扱ってきました。
写真を入れるだけなら簡単そうに見えます。
でも実際には、
1. スマホで撮った写真の向き
2. 複数枚アップロードの順番
3. 空き枠への自動配置
4. PDFにしたときの見え方
5. 担当者名を出すか出さないか
6. CSV取込との整合性
こういう細かいところが出てきます。
工程管理表でも、スマホ閲覧、A3印刷、PDF出力、バーやメモの表示など、現場で使うからこその調整が必要でした。
ここは本当に、作ってみないと気づきにくいです。
でも、事前に使い方を聞いておけば防げることもあります。
たとえば、
1. スマホで使う人はいるか
2. 現場で入力するのか、見るだけなのか
3. 印刷する頻度はどれくらいか
4. PDFで外部共有するか
5. 一覧画面で見たい項目は何か
6. 入力画面に必要な項目は何か
このあたりです。
使う場所が変わると、必要な画面も変わります。
だから、アプリ化前にはPCだけではなく、スマホと印刷も考えておいた方がいいです。
アプリ化前にまとめたいExcel整理メモ
kintone AIやノーコードで社内アプリを作る前に、完璧な仕様書を作る必要はありません。
ただ、最低限メモがあるとかなり進めやすいです。
たとえば、次のような内容です。
1. 今のExcelで管理している業務
2. そのExcelを使っている人
3. 毎日使うのか、月1回使うのか
4. 入力している項目
5. 最後に見たい一覧や集計
6. 必ず残したい履歴
7. 通知したいタイミング
8. 承認や確認が必要な流れ
9. スマホ利用の有無
10. 印刷やPDF出力の有無
このくらいで大丈夫です。
さらに余裕があれば、次もあると助かります。
1. 今のExcelファイル
2. 実際に使っている入力例
3. よくある例外パターン
4. 困っている作業
5. 手作業で時間がかかっているところ
6. ミスが起きやすいところ
7. 今後増やしたい機能
特に大事なのは、
今困っていること
です。
アプリ化は、かっこいい画面を作ることが目的ではありません。
手作業を減らす。
確認漏れを減らす。
情報を探しやすくする。
担当者の負担を減らす。
集計や報告をラクにする。
こういう目的があるはずです。
目的が見えていると、アプリ化するべき部分と、Excelのままでいい部分も分けやすくなります。
全部をいきなりアプリ化しなくてもいいです。
まずは一番困っているところだけ。
毎月時間がかかるところだけ。
ミスが出やすいところだけ。
そこから始める方が、現実的です。
最初から全部やろうとすると、だいたい重くなります。
そして途中で疲れます。
自分もよくやります。終わってる。
Excel業務の整理から始めるアプリ化相談
kintone AIやノーコードツールを使えば、社内アプリは作りやすくなっています。
ただ、Excel業務をそのままアプリにする前に、
1. 業務の流れ
2. 入力項目
3. ステータス
4. 権限
5. 承認
6. 通知
7. 保存先
8. スマホ利用
9. 印刷やPDF
10. 集計したい内容
このあたりを整理しておくと、かなり失敗しにくくなります。
アプリ化で大事なのは、ツールを選ぶことだけではありません。
今の業務がどう回っているか。
どこで止まっているか。
どこを自動化したいか。
どこは人が確認すべきか。
ここを見てから作ることです。
私の方では、Excel、GAS、Python、Webアプリ、CSV集計、PDF出力、外部サービス連携などの業務自動化まわりを中心に、相談を受けています。
kintoneそのものの設定だけでなく、
「今のExcelをどう整理すればいいか」
「ノーコードで作る前に何を決めればいいか」
「GASやPythonで仕組みにした方がいい部分はどこか」
「Webアプリ化した方がいいケースか」
「まず小さく作るならどこからか」
こういう整理から相談できます。
すでにExcelがある場合は、そのExcelを見ながら、
1. そのまま残す項目
2. アプリ化した方がいい項目
3. マスタ化した方がいい項目
4. 通知に使う項目
5. 集計に使う項目
6. 権限を分ける項目
を一緒に整理する形でも大丈夫です。
社内アプリは、作る前の整理でかなり変わります。
kintone AIやノーコードで早く作れる時代だからこそ、最初にExcel業務を整えておく。
ここをやっておくと、後からの修正や運用の迷子を減らせます。
Excel業務をアプリ化したいけど、何から整理すればいいか分からない場合は、まずは小さな範囲からご相談ください。