スペックで売るジャンル、雰囲気で売るジャンル——商材タイプ別の訴求の作り方

スペックで売るジャンル、雰囲気で売るジャンル——商材タイプ別の訴求の作り方

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デザイン・イラスト
商品画像のご相談をいただくとき、私はまず「この商材は、お客様がどうやって購入を決めるのか」を確認します。実はここを見誤ると、どれだけ丁寧に作り込んだ画像でも空振りに終わります。

商材には大きく分けて二つのタイプがあります。ひとつは「理詰め・スペックで判断される商材」。家電、ツール、機能性のある日用品などがこれにあたります。もうひとつは「感覚・雰囲気で判断される商材」。ファッション、コスメ、インテリア雑貨などです。この二つは、お客様の頭の中で起きている判断プロセスがまったく違います。だから画像設計のアプローチも、根本から変える必要があります。

理詰め型は「根拠」を前面に

理詰め型の商材を選ぶとき、お客様の頭の中では「これは本当に効果があるのか」「他の製品と比べてどうなのか」という検証作業が動いています。ここで雰囲気のいいイメージ写真だけを並べても、お客様の検証は満たされません。むしろ「肝心の情報がない」という不信感を生みます。

必要なのは、数値、比較、根拠です。容量や出力といったスペックそのものはもちろん、それが「使う人にとって何を意味するのか」を翻訳して見せることが要になります。他製品との比較表、使用前後の変化を示すデータ、第三者機関の認証マークや受賞歴。これらは装飾ではなく、購入を後押しする情報そのものです。デザインの役割は、この情報を美しく飾ることではなく、迷わず読み取れる順番と粒度で並べることにあります。

雰囲気型は「情緒」を前面に

一方、雰囲気型の商材では、お客様は数値で比較する前に「これは自分の暮らしに合うか」「これを持っている自分は好きか」という感覚的な問いを先に通過します。ここでスペック表や機能一覧を前面に出すと、伝えたいはずの魅力がむしろ埋もれてしまいます。

必要なのは、世界観と質感です。素材の手触りが伝わるような光の当て方、商品が使われている生活のワンシーン、色や余白がつくる空気感。情報量を絞り、一枚の画像が語る「気分」を大切にする設計が効きます。もちろん最低限のスペック情報は必要ですが、それは主役ではなく脇役として、静かに添える程度で十分なことがほとんどです。

見極めを誤ると、努力が逆効果になる

厄介なのは、この見極めを誤ると、注いだ労力がそのまま逆効果に転じることです。理詰め型の商材に雰囲気重視の画像を当てると、お客様は「結局これは何がいいのか分からない」と離脱します。逆に雰囲気型の商材にスペック情報を敷き詰めると、本来感じてもらいたかった魅力が数値の羅列にかき消されてしまいます。

さらに厄介なのは、多くの商材が完全にどちらか一方には振り切れないという点です。高機能なのに世界観も大切にしたい商品、逆に雰囲気重視に見えて実は素材の機能性が強みの商品もあります。そうした場合は、どちらの要素を「メインの訴求」に置き、どちらを「補足情報」として控えめに添えるか、優先順位を決めることが設計の出発点になります。

自社の立ち位置を先に決める

画像を作り始める前に、一度立ち止まって考えていただきたいのは「お客様は何を根拠にこの商品を選ぶのか」という問いです。数字を見て決めるのか、雰囲気を見て決めるのか。あるいはその両方が絡み合っているのか。ここが曖昧なまま制作に入ると、画像の一枚一枚がちぐはぐな主張をし始めます。

私が制作前のヒアリングで必ず時間を割くのも、この見極めです。腑落ちする画像は、美しさの前に、こうした構造の理解から生まれます。どちらのタイプかを言葉にできたとき、実はもう訴求の骨格はできあがっています。

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