はじめまして。EC商品画像とLP制作を専門にしている、こまはうすと申します。
この記事から全20回にわたって、私が制作の軸に置いている「腑落ちドリブン」という考え方について、できるだけ具体的にお話ししていこうと思います。
初回なので、まずはこの言葉の意味と、なぜ私がここにたどり着いたのかを書いておきたいと思います。
見た目の良さだけでは、人は動かない
腑落ちドリブンとは、一言で言えば
「見た目の良さを前提としながらも、それだけでは動かない。人が納得して初めて行動する、その納得のプロセスを軸に制作を組み立てる」
という考え方です。
見た目のクオリティは大事です。それは否定しません。
ただ、経験上、きれいなだけの画像やLPは、驚くほど成果に結びつかないことがあります。
きっかけになった、二つの経験
この考えに至った背景には、二つの経験があります。
一つは、広告代理店でデザイナー・アートディレクターとして働いていた8年間です。
当時、社内でもクライアントからも評価の高い、デザイン的に完成度の高いビジュアルを何度も見てきました。配色も構図もタイポグラフィも隙がない。けれど、実際に出稿してみると数字が伸びない、という場面に何度も立ち会いました。
逆に、デザイン的には決して洗練されていないのに、なぜか反応が良いクリエイティブもある。
この差はどこから生まれるのか、当時はうまく言語化できませんでした。
もう一つは、その前職にあたる人事コンサルタントとしての経験です。
人事の仕事は、突き詰めると「人がどう意思決定し、どう行動するか」を扱う仕事です。
評価制度を変えても人の行動が変わらないことがあれば、逆に小さな説明の仕方ひとつで納得感が生まれ、行動が変わることもある。
人は正しい情報を与えられたから動くのではなく、自分の中で「腑に落ちた」から動く。
この感覚は、後にデザインの仕事に戻ってから、じわじわと効いてきました。
代理店時代に見てきた「きれいだけど売れない」ビジュアルの多くは、実は情報が足りていないわけではありませんでした。むしろ情報は十分にあり、デザインとしても整っている。
それでも人が動かないのは、見る側の頭の中で「なぜ自分がこれを選ぶべきか」という納得の橋が架かっていなかったからだと、今は考えています。
美しさは注意を引き、興味を持たせるところまでは連れて行ってくれます。しかし、購入や申し込みという行動の一歩手前には、必ず「腑落ち」という小さな心理的ハードルがある。
そこを設計せずに見た目だけを磨いても、ハードルの手前で人は立ち止まってしまいます。
「納得の橋」をどう設計するか
これを制作の原則として言い換えると、次のようになります。
ビジュアルはまず目を止めさせ、興味を持たせる。そのうえで、なぜこの商品が自分に関係あるのか、なぜ今なのか、なぜこの人・この店から買うべきなのかという問いに、購入者自身の頭の中で答えが出るように情報と感情の順番を設計する。これが腑落ちドリブンの骨格です。
実際の制作では、これは構成の組み方に表れます。
EC商品画像であれば、最初のカットで何を見せ、次にどんな不安や疑問を先回りして解消し、最後にどう背中を押すかという順番を、デザインを起こす前に言葉で組み立てます。
LPであれば、ファーストビューの直後に離脱が集中しやすい箇所を、単なる説明ではなく「納得の一段目」として設計します。
私自身、イラストレーターや漫画家としてストーリーを組み立ててきた経験があるのですが、これは物語の展開づくりと近い感覚があります。読み手・見る手の心の動きを先に想像し、そこに沿って情報を出す順番を決めていく作業です。
見た目の完成度を追い求めることは、これからも変わらず大切にしていきます。ただ、それは目的地ではなく通過点です。
次回以降は、この腑落ちドリブンという考え方を、EC画像やLPの具体的な制作プロセスにどう落とし込んでいるかを、もう少し実務寄りにお伝えしていきます。