「家賃が10万円で、ローンの返済が6万円。よし、毎月4万円の黒字だ!ガハハ!」……。
もしそんな計算だけで物件を買おうとしているなら、10年後のあなたは笑うどころか、膝から崩れ落ちているかもしれません。
不動産投資の事業計画書とは、未来の自分への「航海図」です。
2026年という荒波を乗り越え、10年後に「あの時の俺、ナイス!」と自分を褒めてあげるための、「超・現実的な数字」の作り方を伝授します。
1. 「皮算用」はゴミ箱に捨てろ
事業計画において、最大の敵は「希望的観測」です。「ずっと満室だろう」「家賃はずっと下がらないだろう」という思い込みは、ただの妄想です。
2026年の計画書には、以下の「現実のスパイス」をこれでもかと振りかけましょう。
・空室率(5〜10%): 1年間のうち、1ヶ月は誰も住まない期間があると最初から計算に入れておく。
・家賃下落率(年0.5〜1%): 建物は古くなります。10年後の家賃は、今より確実に下がっていると想定するのがプロの作法です。
2. 「見えない経費」を可視化する
通帳に振り込まれる家賃は、すべてあなたの自由なお金ではありません。
・管理委託料: 管理会社に払う「平和維持費」。
・固都税(固定資産税・都市計画税): 忘れた頃にやってくる、国への「家賃のお裾分け」。
・修繕積立金: 建物が「お腹空いた(直して)」と言い出した時のための貯金。
これらを差し引いた「本当の手残り(NOI:純営業利益)」で判断しないと、いつの間にか「キャッシュフローが赤字の健康優良物件」という謎の事態を招きます。
3. 「デッドクロス」という名の時限爆弾
ちょっと難しい言葉ですが、これは「ローンの元金返済額が、経費にできる減価償却費を上回ってしまう状態」のこと。
要するに、「帳簿上は黒字なのに、手元に現金がなくて税金だけ高い」という、悪夢のような時間帯です。
10年後の自分を笑わせるためには、この「税金の罠」がいつ来るかを計算し、その時に備えて現金をプールしておく「守りの計画」が必要です。
4. 2026年版:金利上昇の「予行演習」
第4章でも触れましたが、事業計画書の中で「金利が上がったバージョン」のシミュレーションを必ず作ってください。
「金利が3%になっても、俺の生活は破綻しないか?」
この問いにYESと言える計画書こそが、銀行員を唸らせ、あなたを安眠させる最強の武器になります。
5. 「出口(売却)」の数字を盛り込む
不動産投資のゴールは、毎月の家賃だけではありません。
「最後にいくらで売れるか」まで含めてが投資です。
「10年後にこの価格で売れたら、トータルでこれだけ儲かる」という出口戦略を数字にしておきましょう。
もし売却価格が想定より低くても、それまでの家賃収入でカバーできていれば、あなたの投資は「完全勝利」です。
第9章のまとめ
・「空室」と「家賃下落」を最初から受け入れる。
・「手残り」の計算に、税金と将来の修繕費を含める。
・金利が上がった時の「プランB」を用意する。
数字は残酷ですが、味方にすればこれほど心強いものはありません。
「10年後、笑顔で家族と温泉旅行に行っている自分」を想像しながら、電卓を叩きましょう。
さて、完璧な計画書ができたら、いよいよ獲物(物件)を探しに行く番です!
第10章では、「優良物件情報の探し方 ― ネットの海から『真珠』を釣り上げる方法」をお伝えします。お宝物件は、意外なところに隠れていますよ!