月末に通帳の入金明細を印刷して、名簿の横に並べる。上から名前を追って、入っていれば印を付ける。生徒が三十人なら三十回、それを毎月やる。手が止まるのは、明細に並んだ名前が名簿のどこにも見当たらないときだ。姓が違う、下の名前しか出ていない、会社名で振り込まれている。
もうひとつ止まるのが、金額が月謝と揃っていないときである。月謝八千円の生徒に、二万四千円が入っている。三か月分の前払いなのか、滞っていた二か月分に当月分を足したものなのか。どちらでも合計は二万四千円で、金額を見ているかぎり区別がつかない。
当方はExcelや紙で回している業務をWebアプリに移す仕事をしていて、教室の月謝もよく相談として来る。持ち込まれる表は形がよく似ている。生徒の名簿と毎月の入金が、一枚のシートに同居している。未納が追えなくなる原因は、だいたいこの一枚に集まっている。作り替える前に、どこで無理が出ているのかを分けておきたい。
一枚の表は、月が増えるたび右へ伸びる
行が生徒、列が四月、五月、六月と月ごとに並ぶ。入金があったらその月の欄に日付か丸を書く。始めた時点では見やすいし、生徒が少ないうちは実際これで回る。作った人の段取りが悪いわけでもない。手で管理するなら、むしろこれが一番自然な形だと思う。
無理が出るのは、月が積み上がってからだ。列は毎月ひとつ増え、年度末には十二列を超える。横にスクロールすると左端の名前が見えなくなり、いまどの行を見ているのか分からなくなる。翌年度は新しいシートをコピーするので、年をまたいだ未納は二枚を見比べることになる。列が増えていく形は、いつか画面から溢れる。
名簿と入金は、別の表にする
生徒の名前、学年、コース、連絡先は、年に何度も変わるものではない。入金のほうは、生徒が続けるかぎり毎月増えていく。変わる速さが違うものを一枚に置くと、速いほうに合わせて表が伸びる。同じ一枚に載せているかぎり、表は入金の速さで伸び続ける。分けてしまえば、この伸び方は止まる。
名簿は生徒ひとりにつき一行にして、ここに生徒番号を振る。入金はもう一枚の表にして、一件につき一行を足していく。持たせるのは生徒番号と入金日と金額。何年分たまっても列は増えず、行が下に伸びるだけになる。
名前ではなく番号でつなぐのには理由がある。名前でつなぐと、姓が変わった時点で過去の入金とつながらなくなる。同姓同名が入ってきたときも当たらない。番号なら、名簿の表記をあとから直しても、過去の入金との関係が切れない。
入金に持たせるのは、金額ではなく何月分か
冒頭の二万四千円に戻る。入金日と金額だけを記録しておくと、後からどの月に充てたのかを誰も再現できない。その場では分かっていても、半年も経てば当人の記憶にも残っていない。金額はいくらでも組み合わせが作れるので、後から逆算しようとしても答えが一つに決まらない。
だから入金の行に、対象の月を持たせる。まとめ払いなら三行に分ける。八千円を三行、それぞれ七月分、八月分、九月分。合計は二万四千円のままで、どの月が埋まったのかが表に残る。振り込まれたのは一件でも、記録としては三か月分だ。
前払いも同じ形に収まる。三月に四月分を受け取ったなら、入金日は三月、対象月は四月。入金日と対象月を別々に持てば、いつ受け取ったかと、どの月の分かが両方残る。片方にまとめようとすると、どちらかが落ちる。
明細に並ぶのは、生徒の名前とは限らない
振込は保護者の口座から来る。祖父母の名義のこともあれば、勤務先の名前で入ってくることもある。名簿にあるのは生徒の名前なので、そのままでは当たらない。毎月ここで手が止まっているなら、突き合わせの手際ではなく、名簿のほうに欠けがある。
入金明細に並ぶ名前は、生徒の名前とは限らない
名簿に振込名義の欄を用意します。初回に一度だけ突き合わせて登録しておけば、翌月からは名義で引ける。登録するときに、カタカナの全角と半角、姓と名の間の空白をそろえておくとよい。ここが割れていると、同じ名義が別の相手として並ぶ。
それでも当たらない入金は残る。名義を変えて振り込まれた分、金額が端数で合わない分。無理に誰かの月へ割り当てず、保留として置いておく場所を作っておくほうがいい。割り当ててしまうと、後から二重に入金があるように見える。
請求する月と、その月の額
途中入会、休会、退会がある。名簿に「在籍中」のチェックだけを持っていると、いつからいつまで在籍していたのかが残らない。先月退会した生徒を今月の請求から外す判断は、外した人の記憶の中にしかなく、翌月には引き継がれない。
在籍の開始日と終了日を持てば、その月に請求すべき生徒は計算で出せる。休会も同じで、開始日と終了日をもう一組持つ。休会の期間に重なる月は、請求そのものを作らない。都度の判断を記憶に置かず、日付として残しておく。
額のほうも動く。兄弟の二人目は千円引きで、上の子が八千円、下の子が七千円、合わせて一万五千円が一件の振込で来る。コースが週一から週二に変わる。四月から月謝が上がる。名簿の月謝欄を書き換えれば今月は正しくなるが、去年の請求まで新しい額で計算されてしまう。
請求は、その月に適用された額として一行残す。案内を出して締めた月の額は、後から動かさない。直す必要が出たら、その月の額を書き換えるのではなく、調整の一行を足す。こうしておくと、渡した案内と手元の数字が食い違わない。
未納は、引き算で出す
チェック欄で管理していると、印を付け忘れた月は誰の目にも留まらなくなる。翌月にはもう次の列を見ているので、空欄のまま静かに流れていく。半年経ってから「あの家、いつから入っていないのか」と気づくのは、たいていこの型だ。
請求すべき月と、入金済みの月が、どちらも行として残っていれば話は早い。未納は欄を作らず、請求から入金を引いて出す。付け忘れという操作がそもそも存在しないので、いつ画面を開いても同じ答えが出る。数か月前の分でも同じように出てくる。
出したい形は「誰の、何月分が、いくつ残っているか」の一覧です。督促の記録も一行として残しておきたい。いつ、どの方法で、誰に伝えたか。口頭で伝えた分が残らないと、二度言うか、一度も言わないかのどちらかになる。
当方は元金融系のシステムエンジニアで、締めたあとの金額が後から動かない作りは、そこで身につけたものだ。ココナラでは、教室の月謝管理のようなExcel・紙の業務を買い切りのWebアプリにする仕事を受けている。いま何にどれだけ時間がかかっているかが分かれば形にできるので、作るものが固まっていない段階でも構わない。ココナラのメッセージからご相談ください。