「営業資料をそろそろアップデートしたい」 そう思ったとき、最初に悩むのが、 デザイナーに何をどこまで渡せばいいのか ということかもしれません。
今ある資料はある。
サービス説明もある。
Webサイトもある。
過去のチラシや提案書もある。
でも、それをそのまま渡せばいいのか。
原稿まで全部まとめるべきなのか。
そもそも、どこが伝わっていないのかを自分たちで整理してから依頼すべきなのか。
意外とここで手が止まります。
けど、最初から完璧な原稿や構成がなくても大丈夫です。
大切なのは、綺麗な文章を用意することではなく、 資料を見る人が、何を知り、何に不安を感じ、何を判断材料にするのか を整理しておくことです。
資料制作は、見た目を整える作業ではなく、
「誰に、何を、どの順番で伝えると行動につながるか」を整理する仕事です。
そして、この整理した情報は、デザイナーへの依頼に使えるだけではありません。 営業資料、会社案内、LP、採用資料、SNS発信、セミナー資料、展示会資料、広告バナー、社内共有資料など、さまざまな場面で使える"企業の言語資産"になります。
今回は、デザイナーに資料を依頼する前にまとめておくと成果が上がり、その後も企業の資産として活用できる情報を10個に整理します。
内容が少し長くなるので、前編と後編に分けてお届けします。
前編では、まず整えておきたい最初の5つ——
「目的」「読み手」「課題」「強み」「選ばれている理由」を整理します。
資料の"伝える軸"をつくるパートです。
私自身、これまで営業資料、商品カタログ、LP、空港サイネージ、セミナー資料、展示会ポスターなど、さまざまな制作に関わってきました。
その中で感じるのは、成果につながる資料ほど、制作前の情報整理が丁寧だということです。
反対に、最初は「見た目を整えたい」という相談でも、実際に内容を見ていくと、課題はデザインそのものではなく、制作前の整理にあることが多くあります。
たとえば、AIで作られた営業資料の原稿を、BtoBの決裁者向けに再編集した案件。
商品数や品番、サイズ、性能情報が多いBtoBカタログを、設計士やインテリアデザイナーが選びやすい流れに整えた案件。
複雑なサービスの仕組みを、LP・広告・サイネージごとに情報量を変えて伝えた案件。 どれも、単に綺麗にデザインするだけでは成立しませんでした。
1. この資料を作る目的 まず一番大切なのは、「何のために作る資料なのか」です。
たとえば同じ営業資料でも、 初回商談で使う 商談後に送る 社内稟議で使ってもらう 展示会で配る 問い合わせ後の説明に使う 採用候補者に見せる 代理店に説明する では、必要な構成が変わります。
資料は、ただ情報をまとめるものではなく、相手の行動を助けるものです。
だから最初に、「この資料を見た人に、最終的にどう動いてほしいのか」を決めておくことが大切です。
<まとめておくとよいこと>
資料の使用場面
読んだ後にしてほしい行動
商談前に送るのか、商談中に見せるのか
印刷するのか、PDFで送るのか
社内共有される可能性があるか
この目的が整理されていると、デザインの方向性だけでなく、構成そのものが変わります。
実際の案件でも、目的の整理によって資料の構成は大きく変わります。 住宅会社向けの業務提携資料では、ただサービス内容を説明するのではなく、最終的なゴールを「提携面談につなげること」に置きました。
そのため、サービス紹介から始めるのではなく、住宅会社側が抱えている集客課題、提携するメリット、成果報酬の仕組み、費用面の不安解消、面談への導線という順番で構成を組み直しました。
同じ営業資料でも、「説明するための資料」なのか、「次の面談につなげるための資料」なのかで、見せる順番は変わります。
2. 誰に向けた資料なのか 次に大切なのは、読み手です。
「お客様向け」「企業向け」「採用向け」だけでは少し広すぎます。
同じ企業向けでも、 経営者 役員 営業責任者 広報担当者 現場担当者 購買担当者 人事担当者 では、見ているポイントが違います。
経営者は費用対効果や将来性を見ます。
現場担当者は使いやすさや手間を見ます。
広報担当者はブランドとの相性を見ます。
購買担当者は価格や比較条件を見ます。
誰に向けた資料かが曖昧なまま作ると、結局、誰にも強く刺さらない資料になりやすいです。
<まとめておくとよいこと>
主な読み手の立場
読み手が気にしていること
読み手が不安に感じそうなこと
読み手が比較している選択肢
決裁者と実際に読む人が同じかどうか
資料は、読み手が変わると順番も言葉も変わります。
新しいマーケティングサービスの営業資料を制作したときは、読み手が「SNSやUGCに詳しい現場担当者」ではなく、「業界経験は長いが、SNS施策には詳しくない決裁者」でした。
そのため、専門用語を並べるのではなく、冒頭で費用対効果や従来広告との違いを整理し、短時間でも投資判断しやすい構成にしました。
誰が読むのかを決めることは、資料の言葉遣い、情報量、見せる順番を決めることでもあります。
3. 読み手が抱えている課題
資料でいきなり自社の説明から入ると、読み手は置いていかれます。
読み手が最初に知りたいのは、「これは自分に関係ある話なのか」です。
そのためには、読み手が今どんな課題を抱えているかを整理しておく必要があります。
たとえば、
問い合わせが増えない
営業資料が分かりにくい
商品の違いが伝わらない
採用で魅力が伝わらない
既存資料が古く見える
サービスの仕組みが説明しにくい
競合と比較されたときに選ばれにくい
こうした課題が整理されていると、資料の冒頭で読み手を引き込めます。
<まとめておくとよいこと>
読み手が今困っていること
よく相談される悩み
商談でよく聞かれる質問
失注理由
説明しても伝わりにくいポイント
ここが整理されると、資料は「自社紹介」ではなく「相手の課題に答える資料」になります。
複雑なプラットフォームサービスのLPでは、最初にサービスの仕組みを説明するだけでは、「なぜ無料なのか」「企業側に何のメリットがあるのか」が伝わりにくい状態でした。
そこで、読み手が抱えそうな不安や疑問を先に整理し、企業・サービス・利用者の関係性を図解で見せる流れにしました。
読み手が最初に知りたいのは、サービスの全体像よりも、「これは自分に関係があるのか」「怪しくないのか」「使うメリットがあるのか」だったりします。
4. 自社の商品・サービスの強み 強みは、ただ並べればよいわけではありません。
「高品質です」「丁寧です」「安心です」「実績があります」だけでは、他社との違いが見えにくくなります。
大切なのは、「その強みが、読み手にとって何のメリットになるのか」まで整理することです。
たとえば、「対応が早い」だけでなく、「急ぎの案件でも社内確認に間に合わせやすい」 「専門性が高い」だけでなく、「初めての担当者でも判断しやすい形に整理できる」 「実績が多い」だけでなく、「似た状況の事例をもとに安心して検討できる」 というように変換します。
<まとめておくとよいこと>
自社の強み
他社と違う点
顧客からよく褒められる点
継続して選ばれている理由
強みが顧客にとってどんなメリットになるか
強みは、企業の発信や営業トークにも使える資産になります。
再生報酬型UGCマーケティングの資料では、「完全成果報酬」「固定費ゼロ」「UGCの信頼性」「二次利用広告」といった強みがありました。
ただ、それらをそのまま並べるだけでは、読み手にとって何が良いのかが分かりにくくなります。
そこで、従来広告の課題と比較しながら、「広告費の無駄を抑えられる」「制作費をかけずに素材が生まれる」「広告感の少ない訴求ができる」というように、読み手にとってのメリットへ変換しました。
強みは、読み手の課題とつながって初めて伝わります。
5. 選ばれている理由・お客様の声
自社が思う強みと、お客様が感じている価値は違うことがあります。
だから、過去のお客様の声はとても重要です。
なぜ依頼してくれたのか
どこに安心してくれたのか
納品後に何が変わったのか
どんな点を評価してくれたのか
他社ではなく自社を選んだ理由は何か
こうした声は、資料の説得力になります。
自分たちで「すごいです」と言うより、実際のお客様の言葉の方が、読み手に届くことがあります。
<まとめておくとよいこと>
お客様の感想 導入後の変化 商談中に言われた印象的な言葉
リピート理由
紹介された理由
問い合わせ時の決め手
これは資料だけでなく、LP、SNS、営業メール、採用ページにも使えます。 過去の制作でも、「より説得力のある資料になりました」「情報の少ない中で丁寧に整理していただきました」といった声をいただくことがあります。
こうした言葉は、単なる感想ではありません。
依頼前にどんな不安があったのか。
どこに安心してもらえたのか。
何が伝わるようになったのか。
それを知る手がかりになります。
前編まとめ
ここまでの5つは、資料の"伝える軸"を整える情報です。
ただ、成果につながる資料にするには、魅力を伝えるだけでは足りません。
読み手が感じる不安、競合との比較、実績や数字、使える素材、納品後の使い方まで整理しておく必要があります。
後編では、資料を「作って終わり」にしないために、依頼前にまとめておきたい残り5つの情報を整理します。
資料づくりについてのご相談 「今の資料、何が伝わっていないのか分からない」 「デザイナーに何を渡せばいいか、整理できていない」 「見た目は整えたいけど、そもそもどう構成すべきか」 そんな段階からご相談いただけます。
依頼内容がまだ固まっていなくても大丈夫です。
まずは「伝わらない原因」から一緒に見ていきます。
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