はじめに:1通じゃダメ?と迷うポイント
契約書を作るとき、「これって2通作るんでしたっけ?」「コピーじゃダメ?」と迷う方は意外と多いです。結論から言うと、契約書を2通作るのは“形式”ではなく、トラブル予防のための実務ルールです。原本と控えの扱いを間違えると、後から「言った・言わない」や証拠の争いにつながることがあります。
1. 契約書を2通作る最大の理由は「双方が証拠を持つため」
契約書の役割は、合意内容を明確にして“証拠”として残すことです。片方だけが契約書を保管していると、もう一方は「手元にない」状態になります。これでは、内容を確認できず不安が残りますし、万一トラブルになったときに証拠が弱くなります。
だからこそ、当事者それぞれが原本を1通ずつ保有するのが基本です。
2. 「原本」と「控え」の違いを整理しよう
ここで混乱しやすいのが「原本」と「控え」という言葉です。
原本:当事者が署名・押印(または電子署名)を行い、契約成立の証拠として正式に保管するもの
控え:原本のコピーや写し(参照用)
実務でよくある誤解は、「2通作る=原本+控え」という発想です。しかし基本は、原本を2通作る(双方が原本を持つ)という考え方です。
3. 原本2通はどうやって作る?押印はどうする?
紙の契約書であれば、同一内容の契約書を2通印刷し、双方がそれぞれに署名押印します。そのうえで、
「本書2通を作成し、甲乙記名押印のうえ、各1通を保有する」
といった文言(いわゆる“部数条項”)を入れるのが一般的です。
4. コピー(控え)ではダメなの?
参照用としてコピーを持つのは問題ありません。ただし、トラブルになったときは「原本があるか」が効いてきます。相手が原本を持っていて、こちらがコピーしかないと、交渉が不利になったり、証拠関係が複雑になったりします。
特に金額が大きい契約、長期契約、解除・損害賠償が絡む契約では、双方が原本を保管することをおすすめします。
5. 印紙税にも注意(紙の契約書の場合)
見落としがちですが、紙の契約書で印紙税が必要な「課税文書」に当たる場合、原本を2通作れば、原則として2通とも印紙が必要です。
「1通だけ貼ればいい」と誤解されやすいポイントなので注意してください(※課税文書かどうかは内容で判断します)。
6. 電子契約の場合はどう考える?
電子契約の場合、紙のように「原本2通」という発想は少し変わります。多くの電子契約サービスでは、契約データと締結ログがクラウドに保管され、当事者双方が同じ契約データにアクセスできる形になります。この場合は、双方が同一データを保存・閲覧できる状態を確保することが「原本を持つ」ことに近い考え方になります。
ただし、ダウンロード権限や閲覧期限など、運用面の確認はしておくと安心です。
まとめ:2通作るのは“揉めないための保険”
契約書を2通作る理由は、「形式を整えるため」ではなく、双方が同じ証拠を持ち、安心して契約を進めるためです。原本・控えの違いを理解し、印紙税の扱いにも注意しながら、適切に保管しましょう。
契約書はトラブルが起きてからでは整えられません。迷ったら、原本を2通作って各1通ずつ保有する——これが基本です。
契約書は、トラブルが起きてから整えようとしても間に合わないことが多いです。
「原本は2通作るべき?」「コピーで足りる?」「印紙は必要?」など、判断に迷うポイントがある場合は、締結前に一度確認しておくと安心です。
契約書の作成・チェック(原本部数、押印、印紙、保管方法まで含めて)をご希望の方は、ご連絡ください。
最後までご覧いただきありがとうございます。