こんにちは、ギフトです
「決算書の読み方|数字に強くなる第一歩」の記事で、決算書が読めるとは、決算書をざっと見て、時間をかけずにしかるべきメッセージを引き出せることだと書きました
これまでは、決算書を読むための前提となる損益計算書と貸借対照表の基本構造と、区分けされたカテゴリーの意味について解説しました
今回は、いよいよ決算書が読めるようになるポイントを解説していきます
読み解けるものはいろいろあるにはありますが、主な視点としては、3つくらいに絞るのがよいです。
1:その会社の収益性(どのくらい儲かってるの?)
2:安全性(倒産リスクってどのくらいあるのか?)
3.生産性(限られた人(経営資源)でどのくらい売上・利益があるか?)
で、それぞれ収益性、安全性、生産性を読み解くにあたって、分析の指標があります
これらは財務分析指標といいますが、この指標っていうのがいっぱいあるんです
ですが、全部を覚える必要もないし、そもそも頭に入りきらないので、主だった指標、まずはこれだけおさえておけばOKという、よく使う重要な分析指標があるので、それを解説します
前の記事でも書きましたが、細部に入り込むと読めなくなるのが決算書(財務諸表)なので、ざっくりキモとなる部分をおさえるのが肝要です
収益性:会社はどのくらい儲かっているの?
会社がどれくらい稼ぐ力を持っているのかをチェックする視点が「収益性」。ここでは、よく使われるおさえておきたい3つの指標をご紹介します
1.売上高総利益率(%)
これは売上高に対する売上総利益の割合を示す指標です
粗利率ともよく言われます
損益計算書から読み取れます
売上高総利益 ÷ 売上高 × 100 で比率を出します
売上高が10億円で、売上総利益が6億円なら60%です
基本的には、高いほうが良いってわかりますね
ただし、業態によって利益率は異なります。
製造業・卸売業・小売業など、売上高総利益率はそれぞれ異なるため、属する業界同士で比較したり、自社の過去数年分の推移を比較したりするのがよいです
なお、前の記事で書きましたが、売上高総利益率は、企業の商品力や競争力を表しているともいえます
企業の商品力や競争力があれば、競合他社より高価格を設定できたり、仕入れにあたって交渉力を有していて、安く仕入れられるために売上原価が下がったり、などで売上高総利益率が高くなる傾向にあります
繰り返しになりますが、業種によってずいぶん違うので、注意が必要です。
例えば、人材紹介業では、売上原価がほとんどないので、売上高総利益率が90%以上(100%近く)になりますが、一方、人材派遣業では、派遣スタッフの人件費が売上原価になりますので、売上高総利益率はたいてい事務系派遣業で20%台(良くて30%程度)です
2.売上高営業利益率(%)
これは、 売上高に対する営業利益の割合を示す指標です
営業利益 ÷ 売上高 × 100 で比率を出します
売上高が10億円で、営業利益が1億円なら10%です
これも損益計算書から読み取れます
基本的には、これも高いほうが良いってわかりますね
業種にもよりますが、一般的に10%以上あれば、収益性はまずまず良い(高い)といって差し支えないと思います
中にはまれに売上高営業利益率30%や40%といった突出して高収益な企業もあります
キーエンスなんかは、50%を超えています
売上高営業利益率というのは、売上高から、原材料など売上に連動して増える売上原価を差し引き、かつ、人件費、オフィスの賃料、広告宣伝費など色々差し引いた残りの利益なので、30%以上の数値はまれです
業界的に2~3%くらいが普通で、その中で5%を超えていたら、その業界では高収益な企業だ、というふうに判断する場合もあります
3.自己資本利益率(%)
これは、株主が出資したお金で、企業がどれだけの利益を上げたのかを表す指標です
当期純利益 ÷ 株主資本 × 100で比率を出します
英語でReturn on Equity、略してROEとよくいわれています
これは、損益計算書と貸借対照表を合わせて読み取る指標です
例えば、当期利益は5,000万円だとして、株主資本が5億円なら10%です
10%を超えていれば優良企業とみなしてよいといえます
安全性:この会社、大丈夫そう?(支払い能力や倒産リスク度合い)
安全性を読み解くにあたって、押さえておきたい指標は、次の3つです
1.流動比率(%)
流動比率とは、流動資産(1年以内に現金化が予定される資産)の流動負債(1年以内に支払いを要する負債)に対する割合を表します
流動資産 ÷ 流動負債 ×100で比率を出します
これは、企業の短期的な支払い能力を見る指標で、貸借対照表から読み取ります
流動資産と流動負債が同額だと比率は100%となります
100%を切ると、1年以内に返済しないといけない流動負債のほうが多いということになるので危ないって言えますね
もし仮に、流動資産1億円、流動負債2億円だとしたら比率は50%。かなり危険な状態です
そのため、流動比率は、200%くらいあると望ましいといえます
2.自己資本比率(%)
自己資本比率は、企業の総資産に占める自己資本の割合を示す指標です
企業の財務体質の健全性を判断するときに確認します
株主資本 ÷ 総資本 ×100で比率を出します
これは貸借対照表から読み取れます
自己資本比率が高いほうが安全性が高いと評価されます
ただし、安全であるけれど、必ずしも高ければ高いほうが良いというわけではないため、会社の状況に応じた分析が必要です
負債(借金)をうまく活用して業績アップにつなげている会社もたくさんあります
3.インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)
これは、会社の借入金等の利息の支払い能力を測るための指標です
営業利益 ÷ 支払利息 で算出します
会社が通常の活動で生み出す営業利益が、支払利息の何倍であるかを示します
これは損益計算書と貸借対照表の両方から読み取れます
10倍程度以上あると望ましいといえます
ここまでの説明で、収益性(売上とか利益とか)は主に損益計算書を使って読み取り、安全性は主に貸借対照表を使って読み取ることが分かると思います
生産性:どれだけ効率よく稼げている?
生産性を読み解くにあたって、押さえておきたい指標は次の2つです
1.労働生産性(一人あたり付加価値額)
売上総利益額 ÷ 従業員数 で算出します
売上総利益額は、損益計算書から分かります。
従業員数は決算書に載っていないので、上場企業なら公表されている数字を使い、非上場企業なら聞き取りなので確認します
全産業合計では519万円です
上場企業で1,200万円以上
中堅・中小企業で800万円~1,000万円
というのが、一人当たり付加価値の目安です
日本は先進諸外国と比べて生産性の低さが問題とされています
所属している会社や気になる会社がどのくらいなのか、計算してみましょう
2.一人当たり売上高
売上高 ÷ 従業員数 で算出します
額が大きければ大きいほど生産性が高く、効率よく売上を上げられているといえます
業種によって違いがあるので、属する業種同士で比較するなどがよいです
IT業界では1億円を超える企業も多くあります
一方、介護業のような労働集約型の強い業種では1,000万円程度という会社も多くあります
経済産業省の統計によれば、製造業全体で平均3,124万円、卸売業全体で平均9,249万円、小売業全体で平均2,023万円、飲食企業全体で平均562万と出ています
業種によって事業構造が異なるので、数字もずいぶんと違ってくるものです
こちらの数値も所属している会社や気になる会社がどのくらいなのか、計算してみましょう
まとめ
分析する指標はこの他にもたくさんあり、分析するポイントも他にあります
ですが、あまり細部に入り込む必要はなく、ここまで解説してきたように、収益性、安全性、生産性の観点から、しかるべきメッセージを時間をかけずに引き出せればよいです
「この指標のこの数値から、収益性は高く、安全性も、XXの指標の数値からほぼ問題ない水準といえる。また生産性は、従業員数XX人で粗利益XX億円を超えているので、業界で見ても高い水準と言える」というような具合です
数字の奥にあるものを読み解こう
単に「この指標が高いから良い」「低いからダメ」ということでもありません(そこまで単純なものでもないといえます)
・同業他社と比べてどうか?
・自社の過去と比べてどうか?
・業界全体が低迷してる中ではどうか?
といった文脈をしっかり見ていくことが大切です
数字の背後には、現場の努力や戦略、組織の文化など、いろんな物語が詰まっています
数字をただの数字で終わらせず、「何が起きているのか?」「なぜこうなったのか?」と考えられるようになると、視野が広がっていくと思います
また、慣れてくると、財務諸表のどの項目の費用を減らすと、どういう指標が改善するなどの勘所もつかめてきます
おさえるべきポイントはそんなに多くないですが、あとは慣れ、実践です!
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