ローカルルール(1)

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コラム
デザイン制作を生業にしていてよく遭遇する例です。
「デザインは上手なのに採用されない」
以前佐藤可士和さんの講演を拝聴した際にも質問を出されていた方がいました。考えているアイデアが合っているのか自信がないと。
この講演は某派遣会社主催、派遣登録のあるクリエイター向けのものでしたので佐藤さんは非常にわかりやすい言葉を使って説明されていました。
「自分がこの案件のどの領域を担当しているかイメージするといいと」そしてご自身の書籍などでも「答えはクライアントの中にある」と書かれています。
ご自身のオリジナリティで勝負されている方はともかく、「案件もの」はクライアントがあってのもの。得意先のブランディングがどうなっているのか、今回の依頼内容はどういう解決が必要なのか、デザイナーとはいえ、きちんと掘り下げることが絶対必要です。そうでないと小手先のビジュアルのみ、あしらい先行で本質が全く見えないクリエイティブを提案してしまうことになります。
言い方を変えれるとこれらは競合他社で使えるようなクリエイティブではダメです。お金を出してデザインを発注する人の想いを全く考えていない。デザイン費は決して安いものではない、クライアントの売り上げ利益の中から、いくばくかの販管費から出ています。つまり受託した以上はその費用が無駄だったと思わせない提案をしないといけない。得意先の広報サイトを読む、商材を試して見る、その上で軽く提案しつつ質問があれば質問をする。提案までにやらなくてはいけないことが非常に多いです。この部分は営業担当やディレクタークラスの仕事、という感覚のデザイナーさんが多いですが、この方々は今、「中間中抜き業」と悪口を言われているポジションです。その費用はデザイン単価に比べると本当安いので、今後は「それなら作業者がやれよ」となる流れになるだろうし、事細かに指示をしないと作業できないようなデザイナーはAIに置き換えになるのは火を見るより明らかです。クリエイターならではの審美眼を持って得意先が持っている既存のビジュアルイメージから課題を抽出する癖づけをすべきだと考えています。
私の言語化としては案件の「得意先ローカルルール掘り下げの徹底」です。前の記事にも書きましたが、得意先のVIの要素分解、既存デザインから見える企業背景、決済者が誰か、決済までのフローなど。得意先のオリエン、決済者がされる場合はちゃんと聞きますが、案件規模が大きくなればなるほど、オリエン担当者はいち担当者に過ぎず、担当者のバイアスがかかって内容が薄いことが多いことが常なので必ず企業情報を紐解きます。強いデザイナーさんは決済者がいない商談に参加しないとかプレゼン料の設定をしたりと思考に不要な情報は初めから排除することもできますが、そんな商談に関われるデザイナーさんは少ないと思うので、自己防衛のためにもこれらの下準備をした方がいいと思います。
尚、私はプレイングディレクター(?)として発注もしますが自分でもデザインカンプを作ることが多いです。で、いざ自分で作業するとコンセプトメイクからやるのでオリエンの内容から絵作りの内容が変わることが多々あります。そしてそれが採用されてしまうという、外部デザイナーさんにお叱りを受けそうな結果になります。ローカルルールの熟知ともうひとつ「オリエン内容を信用しない」は対制作同士でもある話で、結果デザイナーさんといえど、営業コンサルティング的な能力が高い人が生き残る世界だなと思っています。
で、実はそういうスキルが身につくと継続性のある仕事への嗅覚が身につきます。商業デザインは消費者が見るためのものですが、「仕事を消費する」ことにならないようにと気をつけています。

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