決めたはずなのに、もうひとつが気になる
レストランで、ずいぶん迷ってパスタを注文した。
ところが、隣の席に運ばれてきたオムライスを見て、「あっちにすればよかった」と思う。
買い物でも、旅行先でも、同じようなことがあります。
自分で考えて選んだはずなのに、選ばなかったほうがよく見えてしまう。
ときには、転職や引っ越しのような大きな決断でも、同じことが起こります。
「あのとき別の道を選んでいたら」と考え始めると、今の生活まで物足りなく感じられる。
選ぶことが、いつの間にか後悔することになってしまうのです。
選ばなかった未来は、少し美しく見える
私たちは何かを選ぶとき、同時に別の可能性を手放しています。
そして、選ばなかった道については、その先に何があったのか確かめられません。
実際に選んだ道には、不満も失敗もあります。
一方、選ばなかった道には、想像の中で好きな未来を描くことができます。
だからこそ、もう一つの選択肢が魅力的に思える場合があります。
臨床心理学では、後悔を単なる考えすぎとして片づけず、その選択にどんな願いや迷いが込められていたのかにも目を向けます。
あのときの自分には、あのときの理由があった
後悔しているときは、今の自分が知っていることを基準に、過去の判断を責めてしまいがちです。
でも、決断した当時には、まだ知らなかったこともあります。
そのときの事情や気持ちを思い出してみてください。
何を大切にして選んだのか。
何を心配していたのか。
結果に満足できなかったとしても、当時の判断まで間違いだったとは限りません。
後悔してもいいのです。
ただ、選ばなかった未来が必ず幸せだったと決める必要もありません。
選ばなかった人生も、大切だったのかもしれない
それでも、どうしても忘れられない選択があるかもしれません。
そんなときは、「本当は何を諦めたくなかったんだろう」と考えてみてもよいでしょう。
仕事そのものではなく、自由な時間だったのかもしれません。
住む場所ではなく、そこで暮らすはずだった誰かとの時間だったのかもしれません。
ひとりで考えても答えが出ないなら、その迷いを誰かに聞いてもらうのもひとつです。
話しているうちに、後悔の中に残っていた自分の願いが見えてくることもあります。
選ばなかった道を惜しみながら、今の道を歩いていてもいい。
人生の選択は、いつもすっきり割り切れるものではないのだと思います。