会社を畳んだ後、心も壊れました

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会社を畳めば、すべてが終わる。

僕はどこかで、そう思っていました。

借金の心配も、資金繰りの心配も、売上の心配もなくなる。

もう経営者として悩まなくていい。

でも、実際は違いました。

会社を畳むと決めたあと、今度は「自分自身をどうするのか」という問題が待っていました。

本当に特別清算できるのだろうか

僕は、先代が創業した会社を二代目として引き継ぎました。

創業から50年。

最盛期には、年間2億円ほどの売上がありました。

ところが、さまざまな経営判断の失敗や環境の変化が重なり、会社を続けることが難しくなっていきました。

最後は社員もいなくなり、一人社長になりました。

それでも僕は、

「まだ何とかなるんじゃないか」

と思っていました。

結局、会社を畳むことを決断し、特別清算を目指すことになりました。

でも、決めたからといって安心できたわけではありません。

本当に特別清算で終わらせることができるのか。

もし、うまくいかなかったらどうなるのか。

破産になるのではないか。

自宅まで手放すことになるのではないか。

先のことを考えると、不安で仕方がありませんでした。

最終的に、財産は99万円を残して失うことになりました。

会社を畳むというのは、会社だけの問題ではありません。

自分の生活にも、家族の生活にもつながっています。

家族にも、本当に申し訳ないと思っていました。

死ねたら、楽になれると思っていました

その頃、僕は心も大きく崩しました。

生きていることが、こんなにつらいものだとは思いませんでした。

「死ねたら、楽になれるんじゃないか」

本気でそう思っていました。

メンタルクリニックに通い、薬も増やしてもらいました。

うつ病とも診断されました。

でも、そのことは会社には隠していました。

仕事も休みませんでした。

毎朝、一度起きて、仕事へ行くために着替えます。

出かける準備も全部します。

ところが、そのあと、もう一度布団に入るんです。

5分くらいです。

目を閉じて、何も考えないようにする。

会社のことも。

お金のことも。

家族のことも。

将来のことも。

とにかく何も考えたくありませんでした。

できることなら、ずっと横になって目を閉じていたかった。

それでも時間になれば起きて、仕事へ行きました。

外から見れば、普通に働いている会社員だったと思います。

でも、自分の中では、生きていることそのものがつらくなっていました。

社長から、初めてサラリーマンになりました

僕には、普通の就職経験がありませんでした。

父親の会社をアルバイトで手伝い、そのまま入社したからです。

だから会社を畳んでから、人生で初めて他人の会社に就職しました。

すぐに仕事が決まったときは、ホッとしました。

働く場所がある。

給料がもらえる。

それは本当にありがたいことでした。

でも、その一方で、惨めだとも思いました。

ついこの間まで、自分は社長でした。

テレビ番組に出演したこともあります。

経営者として講演したり、本を書いたりしたこともありました。

それが、初めて「雇われる側」になった。

給料も、それまでの半分以下になりました。

頭では、

「仕事があるだけありがたい」

と分かっている。

でも、心はそんなに簡単についてきません。

ホッとした。

でも、惨めだった。

その二つの気持ちが、同時にありました。

会社を失うことと、自分を失うことは違う

会社を経営していると、いつの間にか、

「会社=自分」

になってしまうことがあります。

会社の売上が落ちれば、自分の価値まで落ちたように感じる。

会社がうまくいかなければ、自分の人生そのものが失敗したように感じる。

会社がなくなったら、自分には何も残らないような気がする。

僕も、そうでした。

でも、今になって思います。

会社と自分は、同じものではありません。

会社には終わりが来ることがあります。

商売がうまくいかなくなることもあります。

肩書きを失うこともあります。

お金を失うこともあります。

でも、それと自分の人生が終わることは、同じではありません。

当時の僕には、それが分かりませんでした。

あの頃の自分に言うなら

もし、あの頃の僕が今、目の前に座っていたら。

何と言うだろう。

格好いいことは言わないと思います。

「いつか必ず成功するよ」

とも言いません。

僕なら、

「死ぬなよ。家族に迷惑かけるな」

と言います。

当時の僕は、本当に死にたいと思っていました。

苦しすぎて、自分のことで精一杯でした。

自分がいなくなったら家族がどうなるのか。

残された家族が何を背負うことになるのか。

そこまで考える余裕がありませんでした。

家族にも心配をかけました。

だから今なら、あの頃の自分にそう言います。

いま「会社をどうしよう」と悩んでいる人へ

もしかすると、この記事を読んでいる人の中にも、

会社を続けるべきか。

畳んだほうがいいのか。

もう少し頑張れば何とかなるのか。

そんなことを、一人でずっと考えている人がいるかもしれません。

不安だよね。

わかります。

僕も経験したからです。

だからといって、僕は、

「会社を畳んだほうがいい」

とは言いません。

会社を続けることが正解の場合もあるでしょう。

縮小する方法もある。

事業を変える方法もある。

専門家に相談することで、別の道が見つかることもある。

その答えは、一人ひとり違います。

でも、一つだけ僕自身の経験から言えることがあります。

会社の先が見えなくなったからといって、自分の人生の先までなくなったわけではありません。

僕は会社を畳みました。

財産も失いました。

社長という肩書きもなくなりました。

心も壊しました。

それでも今、会社員として働いています。

まだ「完全復活しました」なんて、とても言えません。

人生を立て直している途中です。

それでも、生きています。

そして、会社を畳んだ頃には想像できなかった日常を、今は生きています。

もし今、希望なんて持てないとしても。

絶望しか見えないとしても。

不安だよね。わかります。経験者だから。

でも、生きていれば、なんとかなるから。

今はそう思えなくても。

大丈夫だから。
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