会社を畳んだことを後悔しているか。
もしそう聞かれたら、僕は、
「後悔していません」
と答えます。
会社を失いました。
社長ではなくなりました。
収入も大きく減りました。
今は会社員で、週末には深夜のコンビニでも働いています。
家族にも大きな心配をかけました。
それでも、
あのタイミングで会社を畳む決断ができて、本当によかった。
今はそう思っています。
ギリギリのタイミングだった
会社を畳む少し前まで、僕はまだ、
「何とかなるんじゃないか」
と思っていました。
会社にも、まだお金が残っていました。
仕事が取れれば。
トリックアートの案件が決まれば。
売上が戻れば。
まだ続けられるかもしれない。
そう思っていました。
でも、会社のお金は減っていました。
今振り返ると、あのタイミングはかなりギリギリだったと思います。
もう少し決断が遅れて、さらにお金が減っていたら。
僕の場合、同じ形で会社を終わらせることは難しかったと思っています。
約2億円の銀行借入があった
会社には、約2億円の銀行借入がありました。
最終的に僕は、中小企業活性化協議会や弁護士などの力を借りながら、借入について整理することができました。
会社は特別清算という形で終えることができました。
取引先への支払いも、すべて済ませることができました。
そして僕の場合は、個人破産を避けることができ、当時の自宅も残すことができました。
事業に関わる一部のものも引き継いでもらうことができました。
さらに、僕自身は会社を畳む途中から会社員として働くことができました。
もちろん、これはあくまで僕の場合です。
会社の状況が違えば、同じようになるとは限りません。
でも僕にとっては、自分が一番避けたかった形にならずに会社を終えることができました。
あと少し続けていたら
だから、ときどき考えます。
もし、あと半年続けていたらどうなっていただろう。
あと一年、「まだ大丈夫」と頑張っていたらどうなっていただろう。
わかりません。
もしかしたら、大きな仕事が決まっていたかもしれない。
売上が戻った可能性だって、ゼロではなかったと思います。
でも逆に、会社のお金がさらに減っていた可能性もあります。
僕の場合は、もっと資金が減ってからでは、特別清算ではなく破産という形になっていた可能性が高かったと認識しています。
だから今は、
「もう少し頑張ればよかった」
とは思いません。
むしろ、
「あそこで止まれてよかった」
と思っています。
自分一人では、止まれなかったかもしれない
きっかけになったのは、銀行からの連絡でした。
返済が再開する時期が近づき、
「返済は厳しくありませんか」
という話になった。
そこから中小企業活性化協議会につながり、弁護士にもつながりました。
もし、あの連絡がなかったら。
僕はもう少し、
「まだ大丈夫」
と言いながら続けていたかもしれません。
経営者って、自分から会社を止めるのは難しいんですよね。
僕も最後まで、仕事が取れれば何とかなると思っていましたから。
畳んでよかった。でも、つらかった
ここは分けて考えています。
会社を畳む判断がよかったことと、会社を畳むことがつらくなかったことは、まったく別です。
つらかったです。
惨めだと思ったこともあります。
自分は何を間違えたんだろうと思ったこともあります。
精神的にもかなり落ちました。
だから僕は、会社を畳むことを簡単に勧めたいわけではありません。
続けられるなら、続けたい。
僕だってそうでした。
ただ、会社を続けることだけが経営者の責任ではない、と今は思っています。
まだ選べるうちに、終わらせる決断をする。
僕の場合は、それができた。
約2億円の借入がありながら、望んでいた形に近いところで会社を終えることができた。
そして今も、働いています。
だから僕は、会社を畳んだことを後悔していません。
むしろ、
あのギリギリのタイミングで決断できて、本当によかった。
今はそう思っています。