当然ですが、歌ってみた作品を制作していると、
・本家MVと音源を合わせる
・音ズレを調整する
・X用に切り出す
・縦動画用を作る
などの作業が毎回発生します。
先日、こうした作業を自動化する、便利さを謳った非公式ツールを歌い手様ご自身が制作したとして公開されているのを見かけました。
効率化そのものは、権利関係の法整備が整っている場合、誰もがありがたいことだと思います。
ただ、ひとつ気をつけたいのが、
「歌ってみたで使っていい素材」=「どんな方法で加工してもいい素材」ではない
ということです。
このようなツールに限った事ではございませんが、
「使用の許可」と「好きに加工できるかどうか」は全くの別ものです。
例えばご本家様が、
「歌ってみたOK」
「公式配布MVの使用OK」
としていたとしても、
・別の音声と合成する
・別形式に変換する
・一部を切り出す
・XやShorts用に加工する
・第三者が作った非公式ツールに読み込ませる
ところまで許可されているかは、楽曲やMVごとの利用規約・ガイドラインを確認しないと分かりません。
文化庁も、二次創作を公開する際には、権利者がガイドラインを定めている場合はその内容を確認し、ルールを守るよう案内しています。(bunka.go.jp)
ですので、便利そうなツールを見つけても、
「歌ってみた用だから大丈夫でしょ」
ではなく、
「この楽曲の規約では、この使い方まで許可されているかな?」
と一度確認する事が必要です。
また未公開のMIX音源を扱うなら、ファイルがサーバーへ送信されるのか、ブラウザ内だけで処理されるのかも確認しておく必要があります。
なぜなら、実際の利用規約や各楽曲のガイドラインによって判断が変わるからです。
便利に見えるツールほど「何をしているツールなのか」を確認してから使う必要があるというお話です。
またツールを制作する側も、知識と著作物を扱うという自覚や認識を持って制作する事を推奨いたします。
そちらのツールを使用して大量に作品を発表してしまった後に、全てが権利関係に抵触してしまっていた場合…取り返しがつかない事になる可能性も考えられます。
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そして、もう一つ感じる事がありました。
今回のツール紹介の文言では、
「毎回の作業をやっていて、面倒だったのでまとめて楽にしました」
という趣旨の説明がありました。
ここで一度、その「本家MV」や「楽曲」がどうやって生まれたのかを考えてみることが必要なのではないかと思います。
一曲の作品が世に出るまでには、作曲、作詞、編曲、演奏や打ち込み、レコーディング、Mix、マスタリング、イラスト、映像制作、ジャケットデザインなど、
公開までに、本当にたくさんの工程があります。
そこには当然、莫大な時間とお金がもかかります。
何度も作り直したり、思ったような音にならなかったり、誰かと意見がぶつかったり。らじば…
「この作品を世に出していいのか」と悩みながら、それでも完成させて発表する。
他社の作品の力をお借りして自身の為の活動をする以上、
誰かが時間や労力、費用、そしてたくさんの思いを込めて作った作品に、自身の歌を重ね、新しい形で次の誰かへ紡いでいく存在である事を理解する必要があるのではないかと思います。
だからこそ、不特定多数に対して発信をする際は
「本家MVを使わせてもらっているけど、この作業が面倒だから楽にしたい」
という考え方から、
「作業を効率化して、浮いた時間で作品と向き合い歌ってみたという表現に使える時間を増やしたい」
という考え方に変えてみるのも良いかもしれません。
説明の関係上、「面倒」という表現を使い、他意はないのだろうとは思いますが、同時に本心がもれているのだろうなとも感じ取れます。
せっかく歌を届ける肩書きを自身で選んで活動をしているのであれば、「言葉」や「表現」を大切にする事が必要なのではないでしょうか。
そして、配慮のある発信を意識・実行出来た時には、きっと人間性に惹かれた方達が多く集まり自然と歌に耳を傾けてくれるのではないかと思います。
「面倒だな」と思うこと自体は自由ですし、自然です。
ただ、表現者として活動するなら、公に発信をするなら、
「どうすれば、この作品に敬意を払い、もっと大切に、もっと良い形で届けられるだろう」
と考えられる人であって欲しい。
そういう考え方から生まれる歌のほうが、きっと聴く人の心にも届くんじゃないかなと思っています。
確かにそうかも!なんか歌いたくなって来た!と胸が熱くなった歌い手の皆さま。
歌ってみたMIXのご相談もお気軽にどうぞ。
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