歌ってみたのMIXをご依頼いただくとき、
「ハモりって自分で歌った方がいいですか?」
と聞かれることがあります。
これ、実はどちらが正解という話ではありません。
MIX師側で主旋律からハモりパートを作成する方法もありますし、歌い手さんご自身にハモリを歌っていただく方法もあります。
では、どちらを選べばいいのでしょうか?
今回は、実際に歌ってみたMIXをお受けしている視点から、それぞれの特徴をまとめてみます。
【主旋律からハモりを作る場合】
まずは、歌い手さんが歌った主旋律をもとに、MIX側でハモりのパートを作成する方法です。
この方法の大きなメリットは、歌い手さん自身がハモりを歌う必要がないこと。
「ハモりがどこなのか分からない」
「ハモりまで録音するのが大変」
という場合でも、主旋律があれば対応できることがあります。
また、主旋律とのタイミングや音程の関係を限りなく同じに調整できるので、
主旋律とハモりをぴったり合わせたい
という場合にも向いています。
そして、もちろん費用面も重要です。
実際にハモりを歌っていただく場合は、その分の録音や編集、MIX作業などが必要になります。
そのため、
できるだけシンプルに、予算を抑えて仕上げたい
という場合にも、ハモりを作成する方法は選択肢になります。
【主旋律からハモりを作成した楽曲参考例】
【実際にハモりを歌ってもらう場合】
一方で、歌い手さんご自身にハモりを歌っていただく方法もあります。
こちらの魅力は、やはり「本人が歌っている」ということ。
同じ人が歌っていても、主旋律とハモりでは声の出し方や息遣い、発音、歌い回しなどに違いが出ます。
そのため、実際に歌ってもらったハモりには、作成したハモりとは違う生の質感があります。
特に、
「ハモりも含めて自分の歌として聴かせたい」
「生っぽいコーラス感が欲しい」
という作品では、実際に歌ったハモりがとても良い結果になることがあります。
また、ハモりを歌うこと自体が得意な方なら、その歌唱力を活かさない手はありません。
じゃあ、歌った方が絶対に良い?
ここが一番大事なのですが、
必ずしもそうではありません。
例えば、ハモりを歌うことに慣れていない場合、音程やタイミングを合わせるためにかなりの時間が必要になることがあります。
せっかく主旋律がとても良く歌えているのに、ハモりの録音に苦戦してしまって、作品全体の完成まで時間がかかってしまうこともあります。
そういう場合は、ハモりを作成した方が、結果的に効率よく安定した仕上がりになることがあります。
逆に、
ハモりを歌うのが得意で、予算にも余裕があり、生歌ならではの質感を求めている
のであれば、僕は実際に歌っていただく方法をおすすめしたいです。
【ハモりを歌唱した楽曲参考例】
ハモり作成がおすすめな場合
・主旋律とハモりをきっちり合わせたい
・ハモりを歌うのが難しい
・どこを歌えばいいのか分からない
・録音の手間を減らしたい
・できるだけ予算を抑えたい
実際に歌うのがおすすめな場合
・ハモりの歌唱が得意
・生歌ならではの質感が欲しい
・本人が歌ったハモりを作品に残したい
・ハモリまで含めて自分の歌として表現したい
・予算や録音時間にある程度余裕がある
もちろん、これは絶対的なルールではありません。
楽曲によっても変わりますし、実際には両方を組み合わせることもあります。
例えば、重要な部分だけ実際に歌って、別の部分は作成したハモりを使う、といった方法です。
「良いハモり」の答えは、一つじゃない
MIXをしていると、
「どっちの方が良いですか?」
と聞かれることがあります。
大切なのは、
その作品で何を目指しているのか。
そして、
そのためにどこへ時間と予算をかけるのか。
だと思っています。
ハモりを歌うことが得意なら、その魅力を活かせばいい。
苦手だったり、そこに時間をかけたくなかったりするなら、作成する方法を選べばいい。
どちらも、ちゃんとした選択肢です。
そしてMIX師としては、歌い手さんが「どうしたいのか」を聞いた上で、その人に合った方法を提案することも仕事の一つだと思っています。
迷ったら、ぜひご相談ください。
「ハモりを歌った方がいいのか分からない」
「歌えるけど、そこまで録音する必要がある?」
「この曲なら作ってもらった方がいい?」
そんな場合は、依頼前に相談していただいて大丈夫です。
楽曲や歌唱の状況、目指している雰囲気、予算などを踏まえて、
「今回は歌った方が良さそう」
「ここは作成で十分だと思います」
といった形で、一緒に考えることもできます。
ハモりは、必ずしも「歌わなければいけないもの」でも、「作らなければいけないもの」でもありません。
その曲、その歌い手さん、その作品にとって一番良い方法を選ぶ。
それが一番大切だと思っています。
歌ってみたのMIXをご検討中の方も、ハモりについて迷っている段階からお気軽にご相談ください。