― 三方よしとAIがつくる“持続可能な利益循環モデル” ―
SDGsは本当に“新しい概念”なのか
SDGsという言葉が広がる中、多くの企業が「持続可能な社会の実現」や「社会的価値創造」を掲げるようになった。
しかし、その取り組みは実態を伴っているのだろうか。利益との両立は本当に実現されているのだろうか?
日本にはすでに答えがあった「三方よし」
近江商人の思想である「三方よし」は、江戸時代中期から後期にかけて形成されたとされる「経営理念」。
彼らは地元を離れ、各地で商いを行う中で、新参者として不利な立場に置かれていた。地域社会との関係構築ができなければ、商売そのものが成立しない環境である。さらに当時は掛売り(商品を先に渡し、後払い)が一般的。信頼を失えば、取引そのものが消滅する。
こうした状況の中で生まれたのが「三方よし」(行動指針)である。
• 売り手よし:持続的に利益を確保する
• 買い手よし:満足と信頼を得る
• 世間よし:地域社会に受け入れられる
これは単なるルールではなく、長期的に利益を生み続けるための合理的な経営モデルと捉えることができる、と考える。CSRと三方よしの類似性、三方よしと近江商人商売十訓については各専門サイトや企業ブログなどで書かれているので参考にしてほしい。
SDGsと三方よしの決定的な違い
ここで重要なのは、SDGsと三方よしの性質の違いである。
SDGsは「何を目指すか」を示す目標であり、三方よしは「どう行動するか」を示す行動指針である。言い換えるならばSDGsは目的地、三方よしは進み方(企業でいうところの方針?)、といったところだろうか。
この違いが、実行力の差として現れる。SDGsは抽象度が高く、現場での具体的な行動に落とし込むには解釈が必要となる。一方、三方よしは日々の商いの中でそのまま実践できる構造を持つ。
SDGsが機能しにくい理由
SDGsが形骸化しやすい背景には、この「実装の難しさ」がある。
• 社会価値と利益のトレードオフ
• 評価指標の曖昧さ
• 現場との乖離が発生しやすい
三方よしはなぜ機能するのか
一方で「三方よし」は、利益と社会性を分離しない。
顧客に価値を提供し、地域に受け入れられることが、結果として利益につながる構造を持っている。
SDGsの取り組みは、実現のために人件費やコストが膨らむといった側面も指摘されることもあった。その結果、活動が「やらされているもの」になりがちで、収益面での継続性にわずかな課題が残っていたのも事実。一方、日本における「三方よし」は社会課題の解決を目的に掲げたものではなく、商いの中で信頼を積み重ねた結果として、地域への貢献につながっていった。つまり、無理に社会性を追求するのではなく、利益と信頼を追う過程で、自然と社会価値が生まれる構造に特徴がある。
AIがもたらす変化
では、この「三方よし」は現代においてどのように実現されるのか。ここで重要になるのがAIである。かつて三方よしは、人の判断と経験によって支えられていた。しかし現代では、AIによってその実践が高度化・継続化されつつある。
AIは、需要予測や価格最適化、在庫管理などを通じて、無駄を可視化し、工程が高速化する。
• 無駄な供給を減らす
• 適切な価格設定を行う
• 過剰な廃棄(食品ロスなど)を防ぐ
こうした改善は、個別の努力ではなく、仕組みとして継続的に実行される。
SDGsの側面で捉えれば、AIはこれらが単なる業務効率化ではないという点である。
無駄を削減し、サービスの最適化(質・量)をすることは、
• コストの削減
• 顧客満足の向上
• 環境負荷の低減
を同時に実現し、長期的に利益を生み続けるための合理的な経営モデル(経営効率の向上)が、そのまま社会価値の創出につながる構造である。
ここで興味深い傾向をみてみたい。図はchatGPTに回答させたのだが、
日本だけはAIを「業務効率化や社会課題」に目的を置いている。
日本人らしいというか、現代のビジネスにも三方よしの精神が根付いているというべきか・・・。
2030年代のSDGsはどこへいくのか
SDGsは2030年までに達成すべき17の目標がある。2030年以降SDGsは消滅するのか、名前を変えて存続するのか?新しい国際目標は何項目になる?
それは今の時点ではわからない。だけれども1つだけ日本らしいやり方があるかもしれない。
三方よし× AI
この組み合わせによって2030年代以降は、持続可能性は理念から実装へと変容していくのだろう。
2030年代のSDGsはどうなるのか?
SDGsという名前ではなくなっているかもしれない。だがどのような目標にアップデートされたとしても、AIはそれを実現するための有効な手段となるはずだ。