中東危機は、あなたの仕事を止めるかもしれない
もし、ある日突然AIが「重すぎて使えない」世界になったら?
ChatGPTも、画像生成も、業務自動化も…。すべてが高すぎる電気代によって制限される。そんな未来が、いま現実になるかもしれない。
見えていない危機の正体
多くの人はまだ気づいていない。中東で起きているのは、単なる地政学リスクではない。それは「AIの心臓」である電力を揺るがす問題だ。日本のエネルギーの約9割は中東依存。その供給が揺らげば、電気代は跳ね上がる。
そしてAIは、とてつもなく電気を食う。
上記のグラフで示した通り、日本の原油輸入の90%以上は中東依存。そして、サウジアラビア、UAE、クウェートなどの主要供給国から日本へ向かうタンカーは、必ずホルムズ海峡を通過しなければならない。もちろん陸路のパイプラインなどは存在せず、ここが閉まれば物理的に原油が届かなくなる。もしこの状態が長期間に渡れば、封鎖から約3週間後(タンカーが日本に到着するまでの期間)には、新規の原油が国内にこないという計算になる。
※現在(2026年3月時点)日本はイランから石油(原油)を輸入していない。2018年に米国がイラン核合意から離脱し、対イラン制裁を再発動したことを受け、日本は2019年以降イラン産原油の買い付けを停止。
AIは電力産業に変わった
かつてAIはソフトウェアだった。だが今は違う。
・巨大なデータセンター
・膨大なGPU(Graphics Processing Unitグラフィックス処理装置)
・24時間動き続ける計算
AIはすでに「電気を食べるインフラ」になった。つまり、 電力がなければAIは動かない。
日本の電力構成は、現在、火力発電(天然ガス【LNG】)が中心。(2011年の東日本大震災以降、多くの原子力発電所が停止したことを受け、不足分を補うために化石燃料への依存度が高まったという背景)
石油(原油)の約9割以上を中東に依存しているのに対し、天然ガスはオーストラリアや東南アジア、北米など「中東以外」からの輸入が約8割以上を占めており、リスク分散が図られている。とはいえ世界情勢が混沌とする中、油断はできない。
静かに始まる「AI格差」
未来は、こう分かれる。
電力を持つ国=AIを自由に使える国
電力を持たない国=AIコストに苦しむ国
日本政府が国産の日本語生成AI開発を推進するなかで、電力を持つ国づくりは必須である。
では、日本は終わりなのか?
答えはわからない。だがこの制約こそが日本人の底力が試される時だ。すでに日本政府は調達先の「分散化(多角化)」を、民間企業では海外開発の支援や投資、サプライチェーン強化を推進している。同時に日本は「危機管理」においての意識が高い。コロナ禍時の集団抑制行動を思い出してほしい。強制された訳ではないにもかかわらず、愚直なまでに不要不急の外出を控えた。
・省電力AI
・現場最適化AI
・スマートグリッド
2030年代の日本のAIは少ない電力で最大の成果を出すAIの開発に注力していく流れになるだろう。資源の乏しい国に暮らす日本人の知恵と結束力を信じたい。
未来は動き始めている
現場ではすでに動き始めている。
・AIで電力需給を予測・最適化
・製造現場でのAIとパワー半導体の組みあわせ
・AIによるデータセンター最適化
派手さはない。
だが、着実に、現場に沿った「未来を支えるAI」だ。
私個人としては、前記事にも書いたが「日本人による日本語に特化したAI」を期待している。明治期に舶来文化を独自の日本文化に融和させ、深化したような、日本人の叡智を。
今起こっている世界の混沌が日本を大きく変える一歩でありますように、
そう強く願ってやまない。