好きな本と孤独について

好きな本と孤独について

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 淋しいひとりぼっちの夏だった。ぼくは暗い階段を降り続ける。階段は限りなく続いている。そろそろ地球の中心まで達したんじゃないか、という気がするくらい。でもぼくはかまわずどんどん下降していく。まわりで空気の密度や重力が徐々に変化していくのがわかる。しかしそれがどうしたというのだ?たかが空気じゃないか。たかが重力じゃないか。
 そのようにして、ぼくは更に孤独になる。

村上春樹 『街とその不確かな壁』より




孤独って何だろう?

20代の頃はとても孤独だったな、と思う。

その当時の私がよく感じていたことは、誰と話していても深いレベルで分かり合える気がしない、ということ。

その、深いレベルで分かり合えないだろう、ということがとても孤独だった。

みんな楽しそうで、幸せそうで、きらきらしていて、自分が抱えている悲しみなど誰にも理解してもらえないのだろう、と諦めていた。

友人はいたけれど、誰とも大切なことを話さなかった。

私自身が奥に閉じ込めていただけなのに、私自身が自分の大切な想いに触れようとしなかっただけなのに、外側のみんなが何も共感してくれない人間であるかのように、今思えば投影していたのだと思う。

きっとたくさんのものをみんなから与えてもらっていた。

与えてもらえないものがあるとしたら、それは自分自身で深めていかなければいけないものなのだろう。

きっとそこにひとりで立つことをとても恐れていたのだと思う。

外の人に全てを完璧に与えてもらおうとしていると、いつまでも孤独感は消えないのだと思う。

私はいつもこのことを考えるとき、パズルのピースのことが思い浮かぶ。

誰かが自分の欠けたピースをそっくりそのまま与えてくれる意識で待っていると、いつまでも孤独だよ、と。

与えられたもので、ピースの形を作っていくのは、自分にしかできない作業なのだと、割り切って前に進むしかないのだと思う。

ここから先は誰も与えてくれないし、自分がやるしかないこと。

それを認識するのは確かに勇気がいるけれど、そこに向かい合うということが、自分を生きるということなのだろう。





 ひとは時に、周りはみんな同じで、みんなわかりあっていて、共感していて、自分だけがそこに馴染めないと思っている。だが本当は、世界は曖昧で、不確実で、複雑で、そこにひとびとは、なんだかんださみしかったりわからなかったりイライラしたり笑ったりしながら、生きている。「わたしだけが」がこの世には無数にあって、それぞれさみしくて、バラバラで、めちゃめちゃで、そういう意味でわたしたちは、平等である。
 哲学対話をしていて、対話が居心地の悪い同調やいたたまれない孤独につつまれているとき、わたしは願う。もっともっとバラバラになろう。バラバラになって、ちゃんと絶望しよう。もともと世界はいつだって、多様で、複雑で、曖昧で、不確実だ。その意味でわたしたちはみんなみじめで、みんな平等にひとりぼっちだ。

永井玲衣『水中の哲学者たち』より







🌿記事に無条件の愛のヒーリングを流しています🌿


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