これほどに、真実が明かされずに曖昧に終わったミステリーは初めてだ。
名前が明かされない『僕』は、異母兄弟である勅使河原潤に多大の金額の代わりに、自分の身代わりを務めてほしいと持ちかけられる。
勅使河原潤は若くして業績を上げた天才数学者、父親は実業家。見た目も良いときた。『僕』は目の前金に目がくらみ、二つ返事でその仕事を引き受けるのだった。
一方勅使河原のアシスタントである森島有佳というアシスタントがいて、彼女もまた潤と同様、双子の妹(本書で名前が出てこない)に自分の代わりを務めてほしいとお願いした。
潤も有佳もこれを機に海外に移り住むつもりで、相手こそ明かしませんが、二人で一緒に暮らそうとしているのが予想される。
二人はアンカレッジ内部に存在するシェルターである通称バルブに、関係者四人と共に、数か月試験的に暮らすことになる。そこは極秘施設であり、存在を知っている人はごくわずか。
退屈な生活を送ることになるかと思われたが、予想外な事が発生する。何者かの妨害行為により、外との連絡手段は絶たれ、バルブが緊急事態モードになってしまい、脱出がほぼ不可能になってしまった。
そんな中で関係者である一人が殺害された。凶器はみつからない、木材と、粘土、二つでできたボールが転がっているだけ。
そのようなおかしな殺害が続き、ボールの種類は異なる。
そのような殺害が、続き。二人だけが残った。
二人は本当に二人だけだったのか。一人なのか。四人なのか。読まなければ分からないけれども、読んだところではっきりとした答えが与えられるわけでもない。
アート作品、はっきりとした答えが無い文学作品、そのようなものが好きな方は自分らしい解釈ができ、面白いと思う。