やりたいことが見つからない悩み
新卒や転職の就職活動の場では、「やりたいを仕事に!」というキャッチコピーで溢れています。また実際の仕事の場面では、上司とのキャリア面談で「君のやりたいことは何?」と問われます。どちらもなんとなく表層的に、当たり障りなく答えることも多いですよね。しかし、自分が本当に心からやりたいことって何?と言われると、答えるのが難しいという方も多いですよね。
「君のやりたいことは何?」と言われると困るパターンは、大きく2つに分かれます。①これが面白そうと漠然とした表層的なイメージでやりたいことを捉えている場合、②全く何もやりたいことが思い浮かばない場合、の2つです。どちらの場合も、明確な「やりたいこと」がないので、目標を明確に持っている人と比べて、なんとなく自分はだめだなと思うような、そんな感覚さえも感じることがあります。世の中がやりたいことを強く求めすぎているんですよね。
「自分がやりたいことがやりたいことがわからない」そんな悩みを持つあなたに、今日はやりたいことの見つけ方について解説していこうと思います。
「やりたいこと」の因数分解
「やりたいこと」を見つけるために、必要なことを考えてみましょう。「やりたいこと」を要素に分解すると、以下のような式になります。
★「やりたいこと」 = 「自己理解」 × 「仕事理解」
「自己理解」とは、自分がどんな価値観を持っていて、どんな方向性で生きていくと幸せなのかということについて理解することです。実際に選択肢を選ぶ場面では、自己理解の中でも得意や不得意の要素も加味する必要がありますが、まずはやりたいことを探すフェーズなので、ここでは価値観と方向性の理解のことに限定しています。
一方で、自分のことを理解するだけではやりたいことは見つかりません。そこには「仕事理解」が必要です。自分が向かいたい方向性を実現するための手段として、世の中にどんな仕事があって、どんな選択肢があるのかを知ることで、「これがやりたい!」というものに出会うことができます。
この式では掛け算になっていますので、「自己理解」と「仕事理解」のどちらかが足りないと「やりたいこと」の解像度は低くなってしまいます。両方が高いレベルになると、「やりたいこと」が明確にわかるようになってくるというわけです。
自己理解の材料になる「経験」の重要性
「自己理解」と「仕事理解」の2つを考えていけるとやりたいことが見えてきます。しかし、これも落とし穴で、机の上で考えているだけだと煮詰まります。特に「自己理解」は、考えるための材料や切り口が無い中で黙々と考えていくと深みにハマり、わけがわからなくなります…。ご経験のある方も多いのではないでしょうか。そんな方をサポートする仕事がキャリアコンサルタントという仕事ですが、キャリコンの領域においては、「自己理解」を強化するやり方の1つに「啓発的な経験」が必要であると考えます。
「啓発的な経験」とは、自分を理解する材料となる人生経験のことです。人は経験をすることで、好きだな、嫌いだな、得意だな、苦手だな、などを感じ、その感情を材料として、自分の価値観や幸せな人生の方向性についての自己理解が深まっていくものです。「啓発的な経験」とは具体的には、例えばアルバイト、インターンシップ、部活やサークル活動、新しい担当業務、意図しない異動先や業務アサインでの業務経験など、意図的に設計する/しないに関わらず、これら全ての人生経験のことです。これらの経験を通じて、自分を深く知ることができます。
「戦略的に」環境に流されてみる
今、やりたいことがわからない、自分の価値観や目指すべき方向性がわからないという方は、焦ってやりたいことを考えるのではなく、環境に流されて経験を増やしてみるということも有効かもしれません。
これを学術理論として体現している方もいます。スタンフォード大学のクランボルツさんは、「計画的偶発性理論=プランドハップンスタンス理論」において、「個人のキャリアの8割は予想しない偶発的なことによって決定される」という理論を提唱し、偶発的な経験を意図的にキャリアに組み込んでいくべきであると述べています。戦略的に環境に流されて、経験をたくさん積んでみるという考え方に通じるところもありますね。
「やりたいこと」を見つけるためには、逆説的ですが、考えるのを一旦やめて、戦略的に環境に流されて啓発的経験をたくさんストックしてみる、というのも効果的かもしれません。ただし、流されたままでいると自己理解には繋がらず、ただただ漂流するだけになってしまいます。要所できちんと考える、振り返ることがとても大切です。そのコツについてはまた追って。
今日はここまで!皆さんの心に火を灯すきっかけになれば嬉しいです!