キャリアの進め方|学びが先か、実践が先か

キャリアの進め方|学びが先か、実践が先か

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学び
おはようございます。2級キャリアコンサルティング技能士|合同会社たお代表の工藤でございます。今日のテーマは、「学びが先か、実践が先か」についてです。

医師や弁護士のように、一定の資格を取得することが、専門職として実践するための要件となっている仕事があります。一方で、経験を積んでから初めて一人前と認められる仕事もあります。学びが先か、実践が先か。この違いは、何によって生まれているのでしょうか。

学びが先なのか、実践が先なのか

教育心理学では、学習者にどの程度の指導を与えるべきかをめぐって、直接的な指導を重視する立場があります。ポール・カーシュナー、ジョン・スウェラー、リチャード・クラークが2006年に発表した論文では、発見学習や経験学習のように、最小限の指導に頼る教育方法には効果が乏しく、体系立てられた知識を先に直接教える「直接教授」の方が効果的である、と主張されています。

対照的に、古代ギリシャの哲学者アリストテレスは、『ニコマコス倫理学』(第2巻第1章)の中で、建築家は建築することによって建築家になり、竪琴奏者は竪琴を弾くことによって竪琴奏者になる、という例とともに、「学ばなければならないことを、私たちは、それを行うことによって学ぶ」という趣旨のことを述べています。日本にも「習うより慣れよ」ということわざがあり、人から教えられるだけでなく、自分で経験を重ねることの大切さを表す考え方は、古くから存在してきました。

こうした二つの考え方を考えるうえで参考になるのが、心理学者デービッド・コルブが1970年代に提唱した「経験学習モデル」です。このモデルでは、具体的経験を出発点として、そこから内省的観察を行い、得られた気づきを抽象的概念化としてまとめ、その理解を能動的実験として次の実践で試す、という循環によって学びが進んでいくと捉えられています。つまり、知識と経験は、どちらか一方だけで完結するものではなく、交互に積み重なっていくものだと言えそうです。たとえば、竪琴奏者の例で言えば、まず、どの弦がどの音に当たるのかを知ったうえで弾いてみる。うまく音が出なかったところを振り返り、指の動かし方や力加減にコツがあることに気づく。その気づきを次に弾くときに試してみる。この繰り返しの中で、少しずつ弾けるようになっていく、というイメージです。

「頭でっかち」にならないように

私自身、キャリアコンサルタントの勉強をしていた頃、「頭でっかちになってはいけない」と言われたことがあります。当時は、知識ばかりが先行してしまうことへの戒めとして受け止めていました。けれど、コルブの経験学習モデルのように、学びと実践が繰り返されながら積み重なっていくものだとすれば、その言葉の意味も、少し違って見えてきます。学ばずに、実践のみを高めていくことでも「頭でっかち」な状況は、起こり得ると私は感じています。

おわりに

学んだことを実践の場で確かめ、振り返り、また学び、そして、また次の実践の場で確かめるという、学びと実践の「答え合わせサイクル」をどう築いていくのかだと思います。私は、学ばずして実践することは難しいと思っています。ただ、学びには終わりがありません。だからこそ、まず学んでから実践する。そして、実践してみて初めて気づいたことを、また学ぶ。そうやって、学びと実践を重ねていくことがキャリア形成において好循環をつくっていくうえで、大切なのだと思います。そうすると、やはり何事においても、最初の一歩は、まず「習う」ことから始まるような気がしています。

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出典
Kirschner, P. A., Sweller, J., & Clark, R. E. (2006). Why minimal guidance during instruction does not work: An analysis of the failure of constructivist, discovery, problem-based, experiential, and inquiry-based teaching. Educational Psychologist, 41(2), 75-86.

アリストテレス『ニコマコス倫理学』第2巻第1章(「学ばなければならないことを、私たちは、それを行うことによって学ぶ」という趣旨の記述。建築家・竪琴奏者の例)

Kolb, D. A., & Fry, R. (1974). Toward an applied theory of experiential learning.(経験学習モデルの初期の提唱)/Kolb, D. A. (1984). Experiential Learning: Experience as the Source of Learning and Development. Prentice-Hall.(同モデルを体系化した著書)
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