キャリアの捉え方|やった方がいいのは分かっている。でも動けない。

キャリアの捉え方|やった方がいいのは分かっている。でも動けない。

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おはようございます。2級キャリアコンサルティング技能士|合同会社たお代表の工藤でございます。今日のテーマは、「やった方がいいのは分かっている。でも動けない。」についてです。

「やった方がいいのは分かっている。でも動けない。」――そんな経験は、ありますでしょうか。頭では理解しているのに、身体や気持ちがついてこない。そんな瞬間が、私たちには度々訪れます。どうしてなのでしょう。

2つの心理学からまずは考えてみる

心理学では、こうした状態にいくつかの見方があるようです。ダニエル・カーネマンは、人の思考には、速く直感的に働く「システム1」と、遅く論理的に働く「システム2」があると説明しています(『ファスト&スロー』村井章子訳、早川書房、2012年)。「やった方がいい」という判断は、システム2による、意識的な思考の結果です。ただ、システム2は労力を要するため、普段は、直感的なシステム1の反応に判断を委ねがちだとも言われています。そう考えると、頭で分かっていることと、実際の行動のあいだに距離が生まれるのも、無理はないのかもしれません。

さらに、プロチャスカとディクレメンテが1983年に提唱した行動変容のステージモデルでは、人が行動を変えていく過程を、無関心期・関心期・準備期・実行期・維持期の5段階に分けています。「分かっているのに動けない」という状態は、重要性をすでに認識しながらも、まだ行動には踏み出せていない、関心期に近い段階として説明されることがあります。決して動けない自分が特別なわけではなく、多くの人が通る、名前のついた段階なのだそうです。

やってみないと分からない。

けれど、わからないことに、今すぐ時間や労力を差し出すのは、なかなか勇気が要ります。行動経済学者のダニエル・カーネマンとエイモス・トベルスキーは、1979年の論文でまとめた「プロスペクト理論」の中で、二つのことを示しました。一つは、人は同じ大きさであっても、得ることより失うことを重く感じる、という「損失回避性」です。もう一つは、起こる可能性が高いことよりも、確実に起こることに、より大きな重みを感じる「確実性効果」です。この二つが重なると、資格の勉強にかかる時間、職場で言い出す気まずさ、独立の一歩を踏み出すリスク、生活習慣を変える窮屈さといった、ほぼ確実にやってくる「近い損」の方が、合格や関係の改善、新しい可能性、将来の健康といった、やってみるまで分からない「遠い得」よりも、重く感じられてしまいます。動けないのは、意志が弱いからではなく、この二つの働きが、頭より先に、身体の判断を左右しているからなのかもしれません。

そこに動機が複数あるのか

そう考えてみると、私自身にも、思い当たることがあります。合同会社たおのホームページは、2027年2月7日に公開予定です。創業からその日を迎えるまで、資格を取ったり、目の前にいただいた採用まわりのお仕事に力を注いだりしながら、自分の会社がどうであってほしいかを、少しずつ言葉にできるようになる時間を過ごしてきました。一つの条件が整っただけでは、動きません。けれど、私の場合は、いくつかの条件が、同時に揃うまで、あえて動かないという選択を、自分自身がしています。まるで木が、地中でしっかりと根を張り続けるように、水面下で構想を練り続けてきた時間でした。

おわりに

やってみなければ、得も損も分かりません。損の大きさも、思い込みに過ぎないのかもしれません。「動けない」のではなく、「今は動かない」を選んでいるだけなのだとしたら、大切なのは、早いか遅いかではありません。ちゃんと行動に移すに値する状況や条件を導き出し、時機を虎視眈々と伺う。最終的には、間に合えばいい。私は、そう思っています。

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