こんばんは。2級キャリアコンサルティング技能士|合同会社たお代表の工藤でございます。
今日のテーマは、AI時代に問われるのは、「良い問いを立てる力」
先日、スカウトメールの文面を、AIに作ってもらいました。
私は、最低でも1ヶ月に1回は、スカウト文面をAIとともに検証し、再考し、再実行、そしてまた再検証するようにしています。
候補者の情報を伝え、返信率が上がりそうな言い回しを、と頼むと、驚くほど整った文章が、すぐに返ってきます。
便利だと思う一方で、ふと、こんな不安がよぎりました。
同じようにAIを使いこなす採用担当者が、当たり前のように増えていったら、届くスカウトメールは、次第に、どれも似通っていくのではないだろうか。
差がつくのは、「答え」ではなく「問い」
同じAIに、同じような指示を出せば、同じような答えが返ってきます。
だとすれば、差がつくのは、AIに何を書かせるかではありません。
AIに、何を渡し、何を問いかけるかです。
候補者固有の情報を、どれだけ具体的にAIへ渡せているか。
出てきた文面を、そのまま送るのか、自分の経験や言葉で一部書き換えるのか。
そして何より、最初の一通よりも、その後の対応の速さや、面談での関わり方にこそ、違いは表れていくのだと思います。
使いこなせる人と、そうでない人の違い
ビジネスシーンでのAI利用について、こんな調査結果があります。
株式会社ニット調査によると、業務でAIを利用している人は、46.2%。
半数にも届いていません。
つまり、利用している人の中でも、「使わない層」と「1日1時間以上使うヘビーユーザー」に、はっきりと二極化しているとのことです。
また、利用者の90.6%が、AIの出力をそのまま使わず、手直ししている。
そして91.3%が、「AIと比較して、人間ならではの良さがある」と回答しています。
AIは急速に広まっているように見えて、実際の使いこなし方には、まだ大きな個人差があります。
この差を生んでいるのは、良い問いを立てられるかどうかだと、私は思っています。
自分が本当に知りたいこと、伝えたいことを、的確に言葉にして問いかけられる人ほど、AIから、より深く、より使える答えを引き出せます。
良い問いの土台にあるもの
では、良い問いは、どうすれば立てられるのでしょうか。
私は、その手前に、相手への気配りが必要なのだと思っています。
候補者が今、何を知りたいのか。
何を不安に感じているのか。
そうした想像力があってはじめて、AIに何を聞くべきかも、見えてきます。
気配りは、相手が人であっても、AIであっても、変わらず発揮できる、人間の行為だと、私は思っています。
AIには、感情も状況もありません。
けれど、こちらが気配りをもって問いを立てれば、その分だけ、返ってくる答えの質も変わっていきます。
「阿吽の呼吸」から、「根拠を示す」働きかけへ
私は今、採用業務代行の仕事をしています。
その中で、人に働きかけて動いてもらうときに対応するアクションが、これまでとは変わってきたと感じています。
以前は、そうした場面の多くが、いわゆる「阿吽の呼吸」で成り立っていました。
なぜそれをお願いするのか、細かく説明しなくても、なんとなく察してもらえる。そんな空気の中で、仕事が進んでいくことも、少なくありませんでした。
けれど今、私は「どうしてその対応をしてもらいたいのか」という問いに、感覚や経験だけで応えるのではなく、AIに問いかけながらデータや理由を整理し、相手に根拠を添えて示す場面が増えています。
これができているのは、AIが優れているからというより、私自身が、AIに何を聞けば根拠が引き出せるかを、考えられるようになったからだと思います。
根拠を示すという行為は、単なる説明責任のためだけではありません。
それは、働きかける相手への、一つの配慮でもあるのだと、私は思っています。
AIがどれだけ賢くなっても
冒頭のスカウトメールの話に、戻りたいと思います。
AIが書く文面そのものは、これからますます均質化していくかもしれません。
けれど、その手前にある問い、そして問いの土台にある気配りは、AIには代われない、人間だけの領域なのだと、私は思っています。
感覚や経験だけに頼るのではなく、気配りをもって、良い問いを立てる。
その力を磨き続けることが、これからのキャリアの土台になっていくのだと、私は思っています。