「相互関税（Reciprocal Tariffs）」は、貿易相手国が自国の商品に課す関税と同じまたは類似した関税を、自国もその国の商品に課す政策のことを指します。これは貿易の公平性を確保し、関税のバランスを取ることを目的としています。
1. 米国の相互関税とは？
米国における「相互関税」は、特にトランプ政権（2017年～2021年）の貿易政策で注目されました。トランプ大統領は「Reciprocal Tariffs（相互関税）」という概念を提唱し、米国に不利な関税制度を是正するための手段として導入を検討しました。
例えば：
• ある国が米国の製品に 20%の関税 を課しているのに、米国がその国の製品に 5%の関税 しか課していない場合、公平性のために米国も20%の関税を課す という考え方です。
トランプ政権の主張：
• 他国が米国製品に高い関税をかけるなら、米国も対抗措置を取るべき
• 自由貿易よりも 公平な貿易（Fair Trade） を重視
• 中国やEUなどとの貿易不均衡を是正 するために関税を活用
実際の適用例：
• 対中関税（2018～2020年）：中国製品に最大 25%の追加関税 を課す
• 対EU関税（2019年）：航空機補助金をめぐる紛争でEU製品に 7.5%の追加関税
2. 相互関税のメリット・デメリット
✅ メリット：
• 貿易の公平性を確保（他国が不当に高い関税を課す場合の対抗策）
• 国内産業の保護（海外製品の流入を抑制し、米国企業を支援）
• 交渉カードとして活用可能（貿易交渉で有利な条件を引き出せる）
❌ デメリット：
• 貿易摩擦の激化（関税の応酬で貿易戦争が起こる可能性）
• 消費者負担の増加（輸入品の価格が上昇し、物価が高騰）
• 企業のコスト増（原材料や部品の価格が上がり、米国企業の競争力が低下）
（3）対日本関税
トランプ政権は日本との貿易赤字を問題視し、相互関税の適用を示唆しました。
✅ 米国が日本に要求したこと
• 米国産牛肉の関税（38.5%）の引き下げ
• 米国産自動車に対する日本の規制緩和
✅ 日本の対応
• 2019年に日米貿易協定を締結し、牛肉・豚肉の関税を段階的に引き下げ
• 代わりに、日本車への追加関税を回避
➡ 日本は関税の引き下げで譲歩し、自動車産業への影響を最小限に抑えた
