クァークの「7文型理論」について

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 ランドルフ・クァーク(Quirk et al)はA Comprehensive Grammar of the English Language(1985)で「付加語」(Adverbial)を加えた「7文型理論」を提唱しています。同書は「英語慣用調査」と呼ばれるプロジェクトで得られた資料の分析を基に、インフォーマント・テストや英語ネイティブの言語的直観を援用してまとめられた大著であり、現代英語文法に関しては文句なしに最も権威があるとされています(後にこれを縮約した学習用文法書として、A Student’s Grammar of the English Language(1990)が出版されています)。「7文型理論」では従来の「5文型」にSVAとSVOAという文型が加わっており、これまで「任意的要素」として考えられていた「副詞的要素」を「義務的要素」とする動詞があると考えられています。この「7文型理論」は従来の「5文型理論」の致命的欠陥を補うものとして理論的に大変重要視されており、今では多くの英語辞書が採用する所となっています。
①S+V(intransitive、完全自動詞)
 Prices rose.
②S+V(monotransitive、目的語を1つ取る他動詞)+Od(直接目的語)
 Elizabeth enjoys classical music..
③S+V(copular、連結詞的動詞)+Cs(主格補語)
 Your face seems familiar..
④S+V(copular)+As(主語に関する副詞類)
 My sister lives next door..
⑤S+V(ditransitive、二重目的語を取る動詞)+Oi(間接目的語)+Od
 We all wish you a happy birthday..
⑥S+V(complex transitive、不完全他動詞)+Od+Co(目的格補語)
 The president declared the meeting open..
⑦S+V(complex transitive)+Od+Ao(目的語に関する副詞類)
 The doorman showed the guests into the drawing room.
 クァークの「文型理論」の特徴は、単に「副詞的要素」を加味したという以上に、CやOに新しい規定を加えたことにあるとされます。すなわち、「補語」を「名詞」「形容詞」に限定し、さらに「非定型節」(non-finite clause)の概念を認めることによって、「準動詞」(Verbal、不定詞・分詞・動名詞を指す)を含む文を「複文」(Complex Sentence)に分類し、「5文型理論」の第2文型SVCや第5文型SVOCの整理を行なっているのです。例えば、SVOCのCの部分に準動詞が来ている場合、OCを「埋め込み文」としてOの要素と分類し、これによってSVOC型に分類されていた文の多くがSVO型に移行し、SVOC型のCは必然的に「名詞」「形容詞」のみになるわけです。こうすると、SVOC型はかなり単純になり、逆にSVO型がかなり複雑になると考えられますが、ここで「埋め込み文」を含まない「単文」(Simplex Sentence)とそれを含む「複文」とを明確に区別し、後者の文型を前者の文型に沿って論じればいいことになります。
 「5文型理論」とクァークの「7文型理論」は表面上似ていますが、実は分類の仕方がかなり異なっています。これは「5文型理論」の構造分析が「文の表層構造」に基づいているのに対し、「7文型理論」は「文の深層構造」に着目しているためと見ることもできるでしょう。
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