「英文法」は「英文」を読むための「魔法」である。

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 西洋における言語学はホメロスの詩を正しく読むために興ったのであり、「文法」はその1つの成果です。「品詞」という概念もその中で生まれてきました。中世においてはgrammar「文法」は「魔法」も意味し、「これを学べば何かウジャウジャと書き連ねてある書物というものが読める」ということで不思議で仕方がなかったらしく、これがglamour「魅力」「魔力」の語源となっているのもここから来ています。すなわち、「会話」をするのに「文法」を学ぶ必要はありませんが、「読書」をするためには不可欠の知識となり、「文法力」は「ボキャブラリー力」(単語・熟語・慣用句などの語彙)と合わさって「読解力」に結実するのです(実は「文法力」「ボキャブラリー力」に加えて「論理的思考力」という第三の力が必要になります)。これはどんな言語を学ぶにおいても同じであり、「仏文法」は「仏文」を読むための「魔法」となり、「独文法」は「独文」を読むための、「漢文法」は「漢文」を読むための、「古文法」は「古文」を読むための、それぞれ「魔法」となるのです。そして、「読解力」はそのまま「作文力」のベースとなることは言うまでもありません。
「十五、六歳の学生に、文法書と辞書をあたえて適当な指導をあたえれば、二、三年後には英米の読書階級が読むような本でも正確に読むことができる。」(渡部昇一)→文法書と辞書と思考力があればよい。
「いわゆる受験英文法をマスターしそこなった人間の知性は信用しがたい」(渡部昇一)→誰でもできる。

【Time flies like an arrow.(時は矢の如く飛ぶ=光陰矢の如し)は「文法」的には5通りに読める?】
①時間は矢の進むが如く早く進む(光陰矢の如し)。
②君が矢の速さを測るが如く、ハエの速さも測りなさい(timeには「速さを測定する」「タイムを取る」の意味があり、fliesは「ハエ」の複数にも取れる。ここではtimeを命令形に解釈している)。
③矢がハエの速さを測るように、ハエの速さを測りなさい。
④矢と似ているハエの速さを測りなさい。
⑤タイムハエは矢が好きである(そんなハエがいるかどうかは問題ではない)。
 これは1960年代にハーバード大学で開発した文法解析器がやった例ですが、文法的にはこの5つの解釈が全て可能であるものの、正常な知性を持つ人であれば①のようにしか解釈しません。これが慣用句として定着しており(ボキャブラリー)、他の解釈は論理的整合性に乏しいからです(論理的思考力)。

【読むと英文法に対する理解が大きく変わる本】
『英文法を撫でる』(渡部昇一、PHP新書)
『講談・英語の歴史』(渡部昇一、PHP新書)
『英文法を知ってますか』(渡部昇一、文春新書)
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