ヴィージェイ物産株式会社(神戸市)です。
弊社は1人法人で、ベトナム食品(主にコーヒー)の輸入・卸売販売を主軸に、以下の事業を並行して手がけています。
・メイン:ベトナム食品の輸入・卸売販売(TRUNG NGUYEN COFFEE・G7 COFFEE 日本正規輸入代理店)
・自社オリジナル商品「洋食ジャンボ万能ソース」の商品開発(工場選定・パッケージデザイン・仕入交渉まで)
・自社ブランド「GKB_BRASS」(神戸生まれの真鍮キーリング)のブランド展開
・Amazon・Yahoo!ショッピング・Qoo10・自社ECサイトの4モール並行EC運営
卸売BtoBの取引と複数ECモールでの個人向け販売が同時並行する状態。「これを社員ゼロで回すのは無理では?」と何度も思いました。
それを成立させているのが、Claude API + 自社運用MCPサーバー15台による業務自動化です。EC事業に絞った数字でも、自動処理化後の現在は月132件の受注処理を1人で運用できています(2026年3月実績)。
この記事では、自動化前の状態・何を作ったか・どこでハマったか・これから始める人へのアドバイスをまとめました。
■ 1. 自動化する前|複数事業並行の限界
2024年初頭、4モール運営とBtoB卸売・商品開発が同時進行していた頃の私は、ほぼ事務作業で1日が終わっていました。
・朝:4モール各社の注文確認 → スプレッドシートに転記
・昼:BtoB注文書のチェック・在庫調整・モール間在庫同期
・夕:請求書をWordで作成 → PDFに変換 → メール送付
・夜:Chatwork・LINEで顧客対応・卸先からの問合せ対応
それぞれの作業量は単体では小さくても、月間で200件超(卸売+EC+商品開発関連の問合せ含む)の処理が発生していて、本業のはずの「仕入交渉」や「新商品開発(洋食ジャンボやキーリング)」に時間が回らない状態でした。
「経理・受注処理に時間を取られすぎて、肝心の事業を伸ばす時間がない」という典型的な1人法人の壁です。
■ 2. 解決策|Claude API × MCPサーバー15台の構築
転機は2025年にAnthropicが発表した MCP(Model Context Protocol) でした。
MCPは、Claudeのような大規模言語モデルに「外部ツールを使わせる」ための共通規格です。簡単に言うと、ClaudeにAmazonのAPIやYahoo!のAPIを「使い方を理解させて」、自然言語で指示するだけでAPIを叩いて作業させられる仕組みです。
■ 自社で構築したMCPサーバー(全15台・約280ツール)
・Amazon広告API(21ツール):広告管理
・Amazon SP-API(49ツール):受注・在庫・出品・レポート
・Yahoo!ショッピング(43ツール):受注・出品・在庫
・Qoo10(35ツール):受注・出品・在庫
・Instagram Graph API(20ツール):投稿・分析
・NETSEA仕入れ(6ツール):仕入商品検索・登録
・WordPress(19ツール):公式サイト管理
・Gemini AI(4ツール):画像生成・テキスト生成
・VOMS API(自社開発・19ツール):受注処理基盤・売上ダッシュボード
・Gmail(35ツール):送受信・フィルター・添付保存
・Google Drive・Sheets(30ツール):帳票・卸先共有
・Chatwork(25ツール):通知・タスク・承認フロー
・X/Twitter(41ツール):投稿・分析
・Google Ads(15ツール):広告管理
・VJ-OMS統合受注処理(19ツール):EC+卸売の受注を一元処理
これらをClaude Desktopから「今日の受注を全モール集計してスプレッドシートに転記、未発送案件をChatworkで通知して」と日本語で指示するだけで、Claudeが必要なツールを判断してAPIを叩いて結果を返すようになりました。
■ 3. 実装の3つの具体例
■ 例1:EC受注の自動集約(朝のルーティン)
Before(手作業時代):4モール × 各15分 = 1時間
After(MCP統合後):Claudeが各モールAPIを順番に呼び出し→スプレッドシートに自動転記→未発送案件をChatworkで通知。所要時間は5分以下。9割以上の時間が削減されました。EC受注は自動処理化後の現在、月132件を1人で回せています。
■ 例2:請求書PDF自動生成(卸売BtoB向け)
弊社の主軸である卸売取引の請求書を、Pythonの reportlab ライブラリで自動生成する仕組みを組みました。月末に「先月の取引先別売上」をスプレッドシートから集計→取引先ごとに請求書PDFを自動生成→Gmail MCP経由で各取引先にメール送信。月10〜15時間かかっていた経理処理が月1回30分のチェックだけになりました。卸売の取引先が増えても工数が増えない仕組みです。
■ 例3:在庫同期(4モール並行+卸売の同時在庫管理)
4モールで同じ商品を売っている上に、卸売でも同じ在庫を引き当てるので、どこか1チャネルで売れたら他のチャネルの在庫を即座に減らさないとオーバーセル(在庫切れなのに注文が入る)が発生します。これを5分ごとにバックグラウンド実行する Pythonスクリプトで解決しました。これがなかったら、卸売とECの在庫を別管理する地獄が待っていました。
■ 4. ハマったポイント・失敗談
■ Yahoo!ショッピングAPIのキャメル/スネーク混在
Yahoo!ショッピングの注文APIはパラメータがキャメルケース(sellerId)、商品管理APIはスネークケース(seller_id)です。最初これがわからず、500エラーで2日溶かしました。
■ Amazon SP-APIのLWA Token
Amazon SP-APIは認証が複雑で、特にLWA Token(Login with Amazon Token)の取り方で詰まります。リフレッシュトークンを毎回新規発行すると、本番環境で「Refresh Tokenの有効期限切れ」エラーが起きます。
■ Qoo10のメソッド名
Qoo10のAPIは、ドキュメントに書いてある古いメソッド名(ClaimBasic.GetClaimInfo等)が動かないことがあります。正しくは ShippingBasic.GetClaimInfo_V3 です。サポートに問い合わせてやっとわかりました。
■ 5. これから始める人へ|現実的なステップ
「自分もAIで自動化したい」と思った方へ、現実的なステップを3つ提案します。
■ Step 1:まずChatGPTかClaudeでChatする
APIを叩く前に、まず日常業務をChatGPT/Claudeに「これどうしたらいい?」と相談してください。AIに何を任せられて、何が任せられないかの感覚が掴めます。
■ Step 2:1つの定型作業を自動化する
受注メールの集計でも、在庫表の更新でも、何でもいいので1つだけ自動化してください。これだけでも週2〜3時間の削減になります。Google Apps Script(GAS)が無料・お手軽で始めやすいです。
■ Step 3:APIを統合する
1つ自動化できたら、他のシステムも繋げてみてください。Gmail × Google Sheets × Slack(Chatwork)の3点だけでもかなり業務が楽になります。
■ 6. まとめ
・1人法人がベトナム食品輸入卸売・EC運営・商品開発を並行できているのは、Claude API + MCPサーバー15台で業務を自動化しているから
・EC事業に絞っても、自動処理化後は月132件の受注を1人で運用可能
・受注処理・請求書PDF・在庫同期の3つだけでも月20時間以上削減
・ハマるポイントは多いが、回避策はネット検索で大体見つかる
・現実的なステップは「ChatGPTで相談 → 1作業を自動化 → API統合」の順
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※この記事は、ヴィージェイ物産株式会社(神戸市)が自社運営の事業で実際に使っている仕組みを公開しています。記載内容は2026年4月時点の情報です。