久しぶりのブログ更新になりました。
ネタがないわけではなく、書こうと思ってもなかなか時間が取れずにいました。
昨年から栽培していたイチゴがゴールデンウイーク中にうまく収穫できたことなどを記事にしたいと思っていましたが、とりあえず、写真だけで収穫の報告をします。
今日は、民法改正法が成立した話です。
実務やライターの仕事でも必要な知識なので、私の覚書としてまとめておきます。
皆様も参考にしていただければと思います。
2024年5月17日に、民法の改正法案が参議院本会議で可決成立しました。
今回の改正は、離婚後の親権につき、共同親権制度を導入することを認めるもので、離婚問題に関して大きな変革をもたらす改正と言えます。
親権とは「子の利益のために子の監護及び教育をする権利」であり義務でもあります。具体的には、未成年の子どもの身の回りの世話や教育、財産管理などを行う権利と義務のことです。
現行民法では、離婚後の子どもの親権は、父母のどちらか一方のみが有する単独親権制度となっています。
そのため、協議離婚、調停離婚、裁判離婚のいずれの形で離婚するにしても、父母のどちらが親権者になるのか決めなければなりませんでしたが、母親が親権者となるケースが9割を占めていました。
母親が親権者となる一方、父親は子どもが成人するまで養育費を支払う形で話がまとまるケースが大半です。
しかし、別居親となった父親が子どもとなかなか会えずに、子育てに関わりにくくなると養育費の不払いにつながることもあります。
そこで、共同親権制度を導入することにより、離婚後も、別居親も親権者として子どもの養育に関わることができるようにすることで、養育費の不払いを防ぐ狙いもあります。
また、養育費の不払いも大きな社会問題になっています。
離婚時に養育費の取り決めをしても、別居親が支払わないケースもありますし、そもそも、離婚時に養育費を決めていないケースも多いようです。
そこで今回の改正では、離婚時に養育費の取り決めをしていなかったとしても、監護親から一方の親に対して、最低限の養育費を請求できる旨の規定である「法定養育費制度」が盛り込まれました。
さらに、養育費の不払いが生じた場合に、一方の親の財産の差し押さえが容易に行えるように、民事執行法も改正されます。
共同親権となった場合の問題点
共同親権となった場合、子どもに関する様々な事柄を決めるために、監護親と別居親が話し合わなければならないことになります。
しかし、子どもに関するあらゆる事柄、例えば、子どもにスマホを買ってやっていいかといったようなことまで、監護親と別居親が話し合わなければ決められないというのでは、不便です。
そこで、「監護及び教育に関する日常の行為に係る親権の行使」については、共同親権制度の下でも、どちらか一方が、単独で行使できるものとされています。
問題は、「日常の行為」とは何かですが、法務省は、
・食事など身の回りの世話
・習い事の選択
・重大な影響のない治療やワクチン接種
・高校生のアルバイト
等を例として挙げています。
また、「子の利益のため急迫の事情があるとき」も共同親権制度の下でも、どちらか一方が、単独で行使できます。
「急迫の事情」の例としては、法務省は、
・子どもの緊急手術
・DVや虐待からの避難
・合格発表直後の入学手続き
等を挙げています。
ただ、これらの例示は民法に盛り込まれたわけではなく、「日常の行為」「急迫の事情」に当たるかどうかは解釈にゆだねられます。
そのため、一方の親が、例えば、進学先の決定は「日常の行為」に当たると主張しても、他方が、いや違う共同で決めるべき事柄だという形で争うような事態になると、子どもの進路決定にも影響が出てしまうのではないかと懸念されています。
また、医療現場からも、どの程度の緊急性があれば「急迫の事情」に当たるとして、監護親の同意だけで子どもの治療を行うことができるのか分からないという声も出ています。子どもの治療のために別居親の同意も得なければならないとすれば、負担になりますし、同意を得ないで治療したために、別居親から訴えられてしまうリスクを抱えてしまうこともあるわけです。
単独親権としなければならない場合の問題点
民法改正法の施行後は、離婚後の親権について、単独親権と共同親権のどちらも選択することができますが、一方の親から子への虐待、家庭内暴力、DVなど「子の利益を害する」恐れがある場合は、単独親権としなければならない旨が盛り込まれました。
具体的には、調停離婚、裁判離婚などで、これらの事実が確認された場合は、家庭裁判所は必ず、父母の一方を親権者と定めなければならないものとされています。
ただ、DV等の事実を家庭裁判所が適切に認定することができるかどうかが問題視されています。
DV等の事実がある場合、民法770条1項五号の「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。」に該当し、法定離婚原因になります。DV等の事実が確認されれば、夫婦の一方が離婚を拒否していても、裁判所は離婚を命じることができるわけです。
しかし、DV等の事実は、当事者が主張・立証しなければなりません。
DVの現場を録音、録画したデータ、DVを受けた旨の被害者側の日記、DVを受けた後に医療機関にかかった診察の記録等を用意して、DV被害を主張・立証しなければならないわけですが、こうした証拠がないために、DV被害が認定されないケースも多いようです。
このような現状で、果たして、DV被害の事実を家庭裁判所が適切に認定することができるのかが疑問視されています。
DV被害を受けているケースで離婚後も共同親権とされてしまうと、DV被害が継続する恐れもあるため、家庭裁判所の調査能力の向上が求められると言えます。
今日のブログは、離婚後の親権につき、共同親権制度を導入する民法改正法が成立したという話でした。
実務上も試験対策としても重要なので、参考にしてください。