前回の記事では、ビタミン・ミネラル・水分についてお伝えしました。
今回はダイエットピラミッドの第4層、「食事回数+タイミング」について解説します。
「1日5〜6回に分けて食べると痩せやすい」
「夜9時以降は食べてはいけない」
「筋トレ後30分以内にプロテインを飲まないと意味がない」
こういった情報を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。食事の回数やタイミングについては様々な説があふれています。今回はこれらについて、正直にお伝えします。
大前提:タイミングより土台が先
まず最初に、最も重要なことをお伝えします。
食事のタイミングや回数は、確かにダイエットに影響します。しかしその影響はピラミッドの下の層、つまりカロリー収支・三大栄養素・微量栄養素が整っていることが前提です。
土台が整っていない状態でタイミングだけを気にしても、得られる効果はごくわずかです。「夜9時以降に食べないようにしているのに痩せない」という方の多くは、そもそものカロリー収支や栄養バランスが整っていないことが原因です。
ピラミッドの下の層から順番に整えていくことが、最も効率的なアプローチです。
食事回数は何回が正解か
「食事回数を増やすと代謝が上がる」という説があります。1日5〜6回に分けて食べることで、常に消化活動が行われ代謝が高まるというものです。
これは完全な間違いではありませんが、大きな差はありません。
食事回数と体組成の関係を調べた研究では、現時点では回数を増やすことで明確な効果があるとは言い切れないという結論が出ています。大切なのは回数よりも、1日トータルのカロリーと栄養素が確保できているかどうかです。
https://academic.oup.com/nutritionreviews/article/73/2/69/1820875
食事回数で最も重要なのは自分が継続できる回数にすることです。
1日3回の食事が生活リズムに合っている方は3回で構いません。忙しくて2回になる日があっても、カロリーと栄養素が確保できていれば問題ありません。無理に回数を増やして管理が煩雑になるほうが、長期的にはマイナスです。
「夜食べると太る」は本当か
「夜遅く食べると太る」という話は広く知られていますが、これも少し正確に理解する必要があります。
夜間は活動量が下がるため、摂取したエネルギーが消費されにくいのは事実です。また、夜間には脂肪合成に関わるタンパク質(BMAL1)の活性が高まるという研究もあります。
しかし本質的な問題は時間帯ではなく、カロリー収支です。
夜9時以降に食べても、その日のトータルのカロリーが収支の範囲内に収まっていれば、体重への影響は限定的です。逆に夜9時前に食べ終えても、カロリーオーバーが続けば体重は増えます。
ただし現実的に考えると、夜遅い食事は翌朝の食欲低下や睡眠の質の低下につながることがあります。可能な範囲で夕食を早めることは、ダイエット的にも健康的にも良い習慣です。「絶対に守らなければいけないルール」ではなく、「できればそうしたほうが良い」という位置づけで考えてください。
筋トレ前後の食事タイミング
筋トレをしている方が特に気にする「ゴールデンタイム」について正直にお伝えします。
以前は「筋トレ後30分以内にタンパク質を摂らないと筋肉がつかない」と言われていました。しかし、トレーニング直後30分以内に絶対に摂らなければいけないという根拠は現時点では強くありません。それよりも1日トータルのタンパク質摂取量を確保することのほうが、筋肉の成長においてより重要とされています。いくらタイミングを意識しても、1日のタンパク質が不足していては筋肉は成長しません。
https://www.jospt.org/doi/10.2519/jospt.2018.0615
ただし、以下の点は意識する価値があります。
筋トレ前
空腹の状態でトレーニングをすると、エネルギー不足でパフォーマンスが落ちます。トレーニングの1〜2時間前に消化の良い食事(おにぎり・バナナ・ヨーグルトなど)を摂っておくと、質の高いトレーニングができます。
筋トレ後
トレーニング後は筋肉の修復と合成が活発になります。数時間以内を目安に、タンパク質と糖質を含む食事を摂るようにしてください。
朝食は食べるべきか
「朝食を抜くと痩せる」という話もよく聞きます。これもカロリー収支の観点から見れば、1食分のカロリーが減るため体重が落ちやすい面はあります。
しかし朝食を抜くことで起こりやすい問題もあります。
午前中の集中力・パフォーマンスの低下、昼食・夕食での過食、血糖値の乱高下による食欲の不安定化などです。特に筋トレをしている方は、筋肉の分解を防ぐためにも朝食でタンパク質を摂ることをおすすめします。
朝食を食べるかどうかよりも、1日を通じてカロリーと栄養素が適切に摂れているかどうかが本質的な問題です。自分の生活リズムに合った食事パターンを見つけることが最優先です。
まとめ
食事のタイミング・回数はカロリー収支と栄養バランスが整った上で意識するもの
食事回数は2回でも6回でも、トータルのカロリーと栄養素が同じなら差はほぼない
「夜食べると太る」の本質は時間帯ではなくカロリー収支の問題
筋トレ後のゴールデンタイムは数時間以内に摂れれば十分。1日のタンパク質総量が最優先
朝食の有無より、1日を通じた栄養バランスが整っているかどうかが重要
自分が無理なく継続できるパターンを選ぶことが最も大切
次回はダイエットピラミッドの最上層、「サプリメント」について解説します。溢れるサプリメント情報の中から、本当に検討する価値があるものとそうでないものを、トレーナーの視点で正直にお伝えします。
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