こんにちは、司法書士・ペット相続士の金城です。
■ よくある相談内容
田舎に住んでいる両親が2人とも亡くなり、田舎の自宅(いわゆる「負動産」)を相続しても活用できないため、相続放棄を検討している
――このような相談をしばしば受けます。
その際、多くの方が次の点を心配されます。
• 相続放棄をしても、空き家の管理責任は残るのではないか
• 古い建物が倒壊し、近隣に被害を与えた場合に責任を負うのではないか
■ 改正前の民法の取り扱い
確かに、2023年(令和5年)4月1日の民法改正前は、
• 相続放棄をしても
• 相続財産(不動産等)の管理責任を免れることができない
というのが原則でした。
■ 2023年4月1日施行の民法改正のポイント
2023年4月1日に施行された改正民法940条では、相続放棄者が相続財産の管理責任を負う場合について、次の文言が明記されました。
「その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは」
ここでいう「現に占有」とは、「事実上、支配・管理している状態」を意味します。
■ 「現に占有している」場合の具体例
たとえば、両親の自宅にそのまま住んでいる相続人の場合、自宅を相続人が「現に占有」しているといえます。
そのため、相続放棄をしても、相続財産清算人などに自宅を引き渡すまで、建物の管理義務は継続します。
■ 「現に占有していない」場合はどうなるか
一方で、遠方にある田舎の実家で、相続人が住んでおらず、管理・支配もしていない不動産については、相続放棄者は管理義務を負わないことが、改正民法で明確になりました。
■ 結論:空き家管理責任の有無
まとめると、次のとおりです。
• ✅ 現に占有している不動産 → 相続放棄後も管理義務あり
• ✅ 現に占有していない不動産(遠隔地の空き家など) → 相続放棄者は管理義務なし
■ 改正民法の適用時期に注意
なお、改正民法940条は、
• 2023年4月1日以前に発生した相続
• 2023年4月1日以前に申立て(申述)された相続放棄
についても適用されます。