こんにちは、司法書士・ペット相続士の金城です。
ペットの医療過誤に関する慰謝料額は、ひと昔前までは飼主1人当たりにつき10万円や20万円という判決が通例でした。
医療過誤の事例にもよりますが、慰謝料額が飼主1人につき5万円などという判決も珍しくありませんでした。
しかし、近年では慰謝料額が高額化する傾向にあります。
その背景には、晩婚化や高齢化などで子どものいない世帯が増えてきたこともあり、また、ペットを家族の一員とする意識が定着してきたことが挙げられます。
犬を飼う場合、ひと昔まえは「外飼い」が当たり前でしたが、現在では「室内飼い」が普通になっています。
つまり、飼主とペットとの関係性が昔に比べて近くなっているといえます。
「ペットロス」という言葉もあるとおり、飼主にとってペットは自分の子どもと何ら変わらない存在です。
以上のような流れを受けて、最近の裁判例ではペット死亡に関する慰謝料額が高額化する傾向にあります。
ペットの医療過誤による死亡や交通事故による死亡に係る慰謝料額が、30万円や50万円という判決も珍しくなくなってきました。
高額の慰謝料額の例を挙げますと、動物病院が、飼主の同意を得ずに無断で犬を安楽死させた事例では、慰謝料100万円が認められた裁判例があります。
この事例では、動物病院がペットの状態を「回復の見込みがない」と判断して、飼主に無断で安楽死を実施しています。
裁判所はペットが単なる物ではなく、感情的価値を持つ存在として考えるべきだとして、飼主の精神的な苦痛に対する慰謝料を認め、100万円を支払うべき旨の判決を下しています。
今後、「ペットは家族の一員」という意識が裁判官にも浸透することにより、ペット死亡訴訟による慰謝料額は高額化することになると考えられます。
また、ペットは単なるモノではないのですから、高額の慰謝料が認められるべきであると思います。
ちなみに、司法書士や弁護士の世界では「裁判官の当たり外れ」「裁判官ガチャ」という言葉があります。
私も経験がありますが、裁判官次第で判決の結果は大きく異なることを表した言葉です。
ペット訴訟の場合も、やはり「裁判官の当たり外れ」はあるのが現実です。
動物好き・ペット好きの裁判官が必ずしも慰謝料を高額にするわけではなく、慰謝料額は法的な基準に従って決定されることが前提ではあります。
しかし、動物好きや、ペットを飼ったことがある裁判官なら、飼主の気持ちが分かるだけに、そうではない裁判官に比べて高額の慰謝料を認める可能性が高いといえるの現実です。