ここ数年で、AIは一気に「使えるツール」から「制作の一部を担う存在」へと変わりました。
では実際に、WebデザインにおいてAIはどこまでできるのでしょうか。結論から言うと、「かなりの部分はできるが、すべては任せられない」です。
その理由を、工程ごとに分解して整理します。
① アイデア出し・コンセプト設計
AIはこの領域がかなり強いです。
・ターゲットに合ったデザインの方向性提案
・参考サイトの傾向分析
・キャッチコピーや構成案の作成
このあたりは、むしろ人間より速く、大量にアウトプットできます。
ただし、「どの案が本当に良いか」を判断するのは人間です。
AIは“それっぽい案”を出すのは得意ですが、「勝てるコンセプト」を見極める力はありません。
② レイアウト設計(ワイヤーフレーム)
ここもかなりの精度で対応できます。
・LPの構成(ヒーロー → 課題 → 解決 → CTA)
・一般的なUI配置(ナビ、カード、ボタンなど)
・ユーザー導線を意識した構造
テンプレートベースの設計は、ほぼAIで成立します。
実際、Figmaや各種AIツールでも自動生成が進んでいます。
ただし問題はここです。
「普通のサイト」しか作れない。
差別化やブランド表現は、ほぼ期待できません。
③ ビジュアルデザイン(見た目)
ここはAIの得意領域と苦手領域が混在しています。
できること:
・配色提案
・フォント選定
・UIパーツの生成
・画像素材の生成(バナー・イラストなど)
できないこと:
・ブランドの世界観を一貫して表現すること
・細かい余白設計(違和感のないバランス)
・「なんかいい」を作ること
AIは整ったデザインは作れますが、「記憶に残るデザイン」はほぼ作れません。
この差はかなり大きいです。
④ コーディング
ここはかなり強いです。
・HTML / CSSの生成
・レスポンシブ対応
・簡単なJSアニメーション
・コンポーネント分割
正直、基礎的なコーディングはAIで十分成立します。
ただし、
・保守性を考えた設計
・パフォーマンス最適化
・実務レベルの命名や構造設計
このあたりは、まだ人間の設計力に依存します。
AIは「動くコード」は書けますが、「長く使えるコード」は保証しません。
⑤ UX・改善・運用
ここが最大の弱点です。
・ユーザー行動の分析
・CVR改善の仮説立て
・ビジネス目標との整合性
AIはデータを元にした分析はできますが、
「このサービスはなぜ売れないのか」という本質的な問いには弱いです。
ここは完全に人間の領域です。
結論:AIは“制作の代替”ではなく“加速装置”
AIでWebデザインはかなりの部分ができます。
ただし、それはあくまで「平均点のデザイン」です。
・速く作る → AI
・良いものを作る → 人間
・勝てるものを作る → 思考
この構造は変わっていません。
あなたが見落としているかもしれないポイント
もしあなたが「AIがあるからデザインスキルはいらない」と思っているなら、それは甘いです。
むしろ逆です。
AIがある時代ほど、差は広がります。
なぜなら、
・誰でもそれっぽいものは作れる
・だから“それ以上”が価値になる
つまり、求められるのは
・構造を設計する力
・意図を言語化する力
・違和感を見抜く力
です。
今やるべきこと(優先順位つき)
① AIを使い倒す(前提)
→ 使わないのは論外。作業速度で負けます。
② 「なぜこのデザインか」を説明できるようにする
→ これができないと、AI以下です。
③ 良いデザインを分解して理解する
→ センスではなく構造で見る。
④ コードは「設計」を意識する
→ 動くだけで満足しない。
最後に
AIは確実にWebデザインの敷居を下げました。
しかし同時に、「本質的な力がない人」をあぶり出しています。
楽になるどころか、むしろ誤魔化しが効かなくなっています。
ここから先は、ツールではなく“思考”の勝負です。