こんにちは。
9月2日(水)の相場解説です。
昨日の金融市場では、再び大きな変化が出てきました。
特に注目したいのが、
**「原油高」**
**「世界的な金利上昇」**
**「日米の利上げ観測」**
この3つです。
一見すると別々の材料に見えますが、実はすべてつながっています。
そして今後のドル円を考えるうえでも、かなり重要な局面に入ってきました。
## 米国株は下落。再びリスクオフへ
昨日の米国株は下落しました。
S&P500は約54ポイント安、NASDAQは約271ポイント安。
為替市場ではドル高が進んでいます。
今回、市場の大きな材料となっているのが中東情勢です。
米国・イスラエルとイランを巡る緊張が再び高まり、原油価格が急上昇しました。
WTI原油はついに**1バレル=90ドル台**まで上昇。
原油価格が上がるということは、単純にエネルギー価格が上がるだけではありません。
物流費、輸送費、製造コストなど、さまざまな物価に波及する可能性があります。
つまり、
**原油高 → インフレ懸念 → 金利上昇**
という流れです。
実際、日本の10年国債利回りは3%付近、米国10年債利回りも4.8%付近まで上昇しており、世界的に金利上昇圧力が強まっています。
米経済指標はやや弱い。それでもFRBは利上げ?
昨日発表された米8月ISM製造業景況指数は54.6。
景気拡大を示す50は上回っているものの、市場予想には届きませんでした。
さらに7月JOLTS求人件数も727.1万件となり、市場予想を下回りました。
普通なら、
「景気指標が弱いなら利上げしにくいのでは?」
と考えたくなるところです。
ところが現在の市場では、それ以上に**インフレ再加速への警戒感**が強まっています。
特に原油価格が90ドルを超えてきたことで、再び物価上昇圧力が強まる可能性が出てきました。
FRBのウォーシュ議長によるジャクソンホールでのタカ派的な発言もあり、9月FOMCでの利上げ観測は一気に高まっています。
市場では9月の0.25%利上げを6割以上の確率で織り込む状況になっています。
つまり現在は、
**景気の弱さよりもインフレを止めることが優先され始めている**
ということです。
ここは非常に重要です。
米財務長官が日銀に「円安是正」を強く要求
そして今回、ドル円を見るうえで非常に重要なのが日本です。
米ベッセント財務長官はG20にあわせて日銀の植田総裁と会談。
円の大幅な過小評価に対応するため、日本が断固とした金融・市場政策を取ることを支持する姿勢を示しました。
これはかなり踏み込んだ発言です。
要するに米国側から見ても、
**「現在の円は安すぎる」**
という認識が強くなっているということです。
日銀はすでに利上げ局面に入っていますが、今後はこれまでよりも速いペースで利上げする可能性が意識され始めています。
9月の日銀利上げはかなり織り込まれている
個人的に最も重要だと思っているのがここです。
日銀は今後、
9月
10月
12月
と金融政策決定会合を控えています。
現在の市場では、9月の利上げ期待がかなり強くなっています。
しかし問題は、
**「利上げするかどうか」ではありません。**
むしろ、
**「市場予想をどれだけ上回る利上げをするか」**
です。
例えば9月に0.25%利上げしたとしても、それ自体がすでにかなり織り込まれているのであれば、ドル円を大きく円高へ動かす材料にはならない可能性があります。
さらに米国まで同時に利上げするのであれば、日米金利差の縮小効果も限定的になります。
つまり、
**日銀が利上げ=必ず円高**
という単純な話ではありません。
円高を起こすなら「サプライズ」が必要
では、何が起これば円高が強まるのでしょうか。
考えられるのは、日銀による市場予想以上の金融引き締めです。
例えば、
**9月と10月の連続利上げ**
あるいは、
**一度に0.5%の大幅利上げ**
などです。
こうなれば市場は、
「日銀は本気で円安を止めにきた」
と考え始めます。
さらに9月、10月と連続利上げになれば、
「12月にもさらに上げるのではないか」
という思惑まで出てきます。
すると市場が想定する最終的な政策金利、いわゆるターミナルレートそのものが一段上昇する可能性があります。
この状態になれば、ようやく本格的な円高圧力が発生しやすくなってくるでしょう。
逆に0.25%ずつなら円高効果は限定的か
一方、
9月に0.25%
↓
12月に0.25%
というような比較的ゆっくりしたペースであれば、市場にとって大きな驚きにはなりません。
しかもFRBも同時に利上げを続ければ、米国の金利も高い状態が維持されます。
そうなると、
**「日銀は利上げしているのに円があまり上がらない」**
という展開も十分考えられます。
これから重要なのは日銀が利上げするかどうかではなく、
**利上げの「速度」と「幅」**
です。
為替介入は時間差で効いてくる可能性も
もう一つ忘れてはいけないのが為替介入です。
今年は大規模な円買い・ドル売り介入が実施されています。
為替介入は、その瞬間だけドル円を下落させるものと思われがちですが、本質的には市場からドルを売って円を買う取引です。
そのため、大規模な介入が積み重なれば、需給面から時間差で効いてくる可能性もあります。
特に、
**為替介入**
+
**日銀利上げ**
+
**米国からの円安是正圧力**
この3つが同時に重なってくれば、これまでとは少し違ったドル円相場になる可能性があります。
今のドル円で最も危険なのは「利上げ=円高」と決めつけること
今後のトレードで注意したいのは、
「日銀が利上げするからドル円を売ればいい」
と単純に考えないことです。
マーケットは常に先を織り込んで動いています。
9月の日銀利上げを市場参加者の多くが予想しているのであれば、実際に利上げした瞬間には材料出尽くしになる可能性もあります。
大切なのは結果そのものではなく、
**市場予想との差です。**
0.25%が予想されていて0.25%なら普通。
0.25%が予想されていて0.5%ならサプライズ。
9月だけと思われていたところに10月連続利上げを示唆すれば、それもサプライズです。
為替市場は「良い・悪い」で動くのではなく、
**予想より強かったか、弱かったか**
で動きます。
ここを意識するだけでも、FOMCや日銀会合でのトレードはかなり変わってきます。
本日のまとめ
現在のマーケットでは、中東情勢の悪化による原油高が再び大きなテーマとなっています。
原油価格が90ドル台へ上昇したことでインフレ懸念が強まり、米国だけでなく日本を含めた世界的な金利上昇につながっています。
そして9月は、FRB・日銀ともに金融政策が非常に重要になります。
特にドル円では、
**「日銀が利上げするか」ではなく「市場予想をどれだけ超えてくるか」**
ここに注目したいところです。
9月0.25%程度であれば、すでに市場がかなり想定している可能性があります。
一方、
**0.5%の大幅利上げ**
**連続利上げ**
**今後の利上げペース加速を示す発言**
などが出てくれば、一気に円高材料となる可能性があります。
これからのドル円は「金利差」だけを見るのではなく、
**原油**
**インフレ**
**FRB**
**日銀**
**為替介入**
**市場の織り込み**
この6つをセットで見ることが重要になりそうです。
今月はかなり面白い相場になりそうですね。
それでは、本日も頑張っていきましょう。