9月1日の相場を振り返っていきます。
昨日の米国株は下落となりました。
S&P500は25ポイント安、NASDAQは31ポイント安。
一方、為替市場ではドル安が進み、ドル円は159円台後半まで下落しています。
株・為替だけを見ればそれほど大きな値動きではありませんが、現在の相場では非常に重要な変化が起きています。
それが、
**「原油価格の上昇」
「日米長期金利の上昇」
「中央銀行が自由に金融政策を動かしにくくなっていること」**
です。
今回は、この3つを中心に現在の相場を整理していきます。
原油価格が86ドル台へ上昇
まず注目したいのが原油です。
中東情勢を巡る地政学リスクが再び意識されたことで、WTI原油価格は86ドル台まで上昇しました。
原油価格の上昇は、日本にとって特に重要です。
日本はエネルギー資源の多くを海外から輸入しているため、原油価格が上昇すると輸入コストが増加します。
さらに円安が重なると、
**「原油高 × 円安」**
という二重の負担になります。
企業のコストが増え、家計の負担も増える。
そのため政府・日銀としては、極端な円安を放置しにくくなります。
現在の為替相場を見るうえでは、ドル円だけを見るのではなく、原油価格も同時に確認しておく必要があります。
日米長期金利も上昇
債券市場では日米ともに長期金利が上昇しています。
日本の10年国債利回りは2.95%付近、米10年国債利回りは4.76%付近まで上昇しました。
通常であれば金利上昇は通貨高材料として考えられます。
しかし現在は少し事情が複雑です。
なぜなら、
**「金利を上げたいから上がっている」というより、「財政や債務への不安から金利が上がっている」**
という側面があるからです。
金利上昇そのものだけを見るのではなく、
「なぜ金利が上がっているのか」
まで見る必要があります。
アメリカは簡単に利上げできない
FRBはこれまで、
・物価安定
・最大雇用
という2つの大きな目標を軸に金融政策を行ってきました。
インフレが高ければ利上げ。
景気が弱ければ利下げ。
非常にシンプルに考えれば、この繰り返しです。
しかし現在は、そこにもう一つ大きな問題が加わっています。
それが、
**米国政府の債務負担です。**
金利が高くなれば、政府が支払う利払い負担も大きくなります。
つまりインフレを抑えるために金利を上げ続ければ、今度は財政への負担がさらに増えることになります。
そのためFRBは、
「インフレを抑えたい」
一方で、
「簡単には金利を上げ続けられない」
という難しい状況に入っています。
ジャクソンホール会議ではFRB議長から「やるべき仕事がある」と利上げを意識させる発言もありました。
ただし、だからといって利上げ一辺倒ではありません。
インフレを抑えながらも、できるだけ経済や財政へのダメージを小さくする。
その非常に難しいバランスを取る必要があります。
現時点では、年内の追加利上げについても「あるかないか」という程度の微妙な状況だと考えています。
日銀も「物価だけ」で政策を決められなくなった
日本も似たような状況です。
本来、日銀が重視するのは、
・物価
・賃金
・景気
です。
物価が安定して2%程度上昇し、賃金もしっかり上昇する。
その環境が整えば、金融政策を正常化していく。
これが基本的な考え方です。
ところが現在は、
**「円安」そのものが金融政策に大きな影響を与えるようになっています。**
仮に物価だけを見れば、積極的に何度も利上げする必要性がそれほど高くなかったとしても、円安が止まらなければ話は別です。
円安が進行すれば輸入物価が上昇し、原油高と重なれば家計や企業への負担が一気に大きくなります。
その結果、
「物価を抑えるための利上げ」
というより、
**「円安を止めるための利上げ」**
という意味合いが強くなっていきます。
ここが現在の日銀を見るうえで非常に重要なポイントです。
日米ともに「本来とは違う材料」に縛られている
現在の相場を一言でまとめるなら、
**FRBは債務問題、日銀は円安問題に金融政策を縛られ始めている**
ということです。
FRBはインフレだけを見て利上げできない。
日銀も物価・賃金だけを見て政策を決められない。
それぞれ別の事情を抱えています。
そのため、以前よりも金融政策を読むのが難しくなっています。
単純に、
「インフレが高いから利上げ」
「景気が悪いから利下げ」
という読み方だけでは、相場についていけなくなっています。
ドル円は160円を中心にレンジ化する可能性
ドル円については、現在159円台後半で推移しています。
ここ最近は円安への警戒感、為替介入、日銀の利上げ観測などが入り混じっています。
一方で、日米当局としても極端な円高を望んでいるとは考えにくいでしょう。
急激な円安は困る。
しかし急激な円高も困る。
そう考えると、
**160円を中心に上下5円程度の範囲で安定させたい**
というのが当局にとって理想的な状態なのかもしれません。
つまり、
155円~165円近辺。
このゾーンでは今後も円高材料と円安材料が交互に出て、方向感が出にくい展開になる可能性があります。
特に介入警戒がある状況では、ドル円を一方向に追いかけ続けるトレードは注意が必要でしょう。
本日はISM製造業指数に注目
本日は23時に米8月ISM製造業景況指数が発表される予定です。
さらに週末には米雇用統計も控えています。
9月相場に入り、市場参加者も夏休みから戻ってきます。
これから再び出来高が増え、経済指標に対する反応も大きくなる可能性があります。
特に今週は、
**米経済指標
↓
米金利
↓
ドル
↓
ドル円・ユーロドル**
という流れを意識しておきたいところです。
9月は「金利」だけではなく「金利を動かす理由」を見る
これからの相場では、単純に金利が上がった・下がっただけを見るのでは不十分です。
重要なのは、
**なぜ、その金利が動いているのか。**
インフレなのか。
景気なのか。
債務問題なのか。
円安なのか。
地政学リスクなのか。
同じ「金利上昇」でも、原因によって為替市場の反応は大きく変わります。
9月・10月は日米ともに金融政策が大きなテーマになります。
特に今年後半のドル円は、
**「FRBが何をするか」
「日銀が何をするか」**
だけではなく、
**「FRBと日銀が何をせざるを得ないのか」**
を見ることが重要になりそうです。
個人的には現在のドル円は強弱材料が入り混じっており、しばらく大きな方向感が出にくいと見ています。
そのため引き続き、ドル円を無理に追いかけるよりも、ユーロドルなど動きが比較的読みやすい通貨ペアを中心に狙っていきたいと考えています。
9月相場も始まりました。
夏枯れ相場から徐々に本格的な相場へ戻っていきます。
経済指標だけではなく、金利・原油・金融政策・地政学リスクまで含めて相場全体を見ながらトレードしていきましょう。