皆さん、こんにちは。
2026年7月24日金曜日です。
昨日の相場を振り返りながら、現在の金融市場で何が起きているのか、そして今後どこに注意すべきなのかを解説していきます。
米国株は大幅下落
7月23日の米国株式市場は大きく下落しました。
* S&P500:90.66ポイント安
* ナスダック総合:553.21ポイント安
* NYダウ:506.93ドル安
特にナスダックは2%を超える下落となりました。
今回の下落は、単純にイラン情勢だけが原因ではありません。
アルファベットが設備投資計画を引き上げたことで、AI関連投資の負担に対する警戒が強まりました。テスラもフリーキャッシュフローの悪化が嫌気され、株価が大幅に下落しています。
そこへ中東情勢の悪化と原油価格の急騰が重なり、株式市場に一気に売りが広がりました。
これまで米国株は多少の悪材料が出ても押し目買いが入り、高値圏を維持してきました。
しかし今回は、
「原油高」
「金利上昇」
「インフレ再燃」
「巨大テック企業の投資負担」
という複数の悪材料が同時に意識されています。
株式市場の地合いは、これまでより明らかに不安定になってきました。
WTI原油は92ドル台へ急騰
昨日、WTI原油先物は前日比6.2%高の1バレル=92.19ドルまで急騰しました。
北海ブレント原油も100.69ドルまで上昇し、5月以来となる100ドル台を回復しています。
背景にあるのは、中東地域における原油供給への不安です。
イエメンの親イラン武装組織フーシ派が、紅海でサウジアラビアの石油タンカーを攻撃したと表明しました。
さらに、ホルムズ海峡周辺の船舶輸送にも大きな混乱が発生しています。
原油価格が上昇すると、ガソリン代や電気料金、輸送費、製造コストなど、あらゆる物価に影響が及びます。
つまり、原油高は単なるエネルギー市場の問題ではありません。
世界全体のインフレを再加速させ、中央銀行が金利を下げにくくなる原因となります。
米10年債利回りは4.7%台へ
米国の10年債利回りは一時4.7135%まで上昇しました。
終値ベースでも4.697%となり、2025年1月以来、およそ18カ月ぶりの高水準です。
原油価格が上昇すれば、インフレが長期化する可能性が高まります。
インフレが収まらなければ、FRBは利下げできません。
それどころか、市場では再び利上げの可能性まで意識され始めています。
7月28日から29日にはFOMCが開催されます。
これだけ原油価格と長期金利が上昇しているため、FRBが予想以上にタカ派的な姿勢を示さないか注意が必要です。
利上げが実施されなかったとしても、声明文や会見でインフレへの強い警戒が示されれば、米金利上昇とドル高がさらに進む可能性があります。
ドル円は163.98円まで上昇
ドル円は一時163.98円まで上昇しました。
これは1986年11月以来、およそ40年ぶりのドル高・円安水準です。
NY市場終盤でも163円台後半で推移し、164円目前の高値圏で取引を終えました。
現在のドル円上昇には、主に三つの要因があります。
一つ目は、原油高によるドル買いです。
二つ目は、米国の長期金利上昇です。
三つ目は、日本銀行が追加利上げに慎重になるとの見方です。
日本はエネルギー資源の多くを輸入しています。
原油価格が上昇すると、輸入代金を支払うためのドル需要が増えやすくなります。
したがって現在の原油高は、日本にとって円安を加速させやすい材料です。
為替介入への警戒感が弱まっている
片山さつき財務相は、必要があれば為替市場に対して断固たる措置を取る姿勢を繰り返しています。
しかし、具体的な為替水準についてはコメントしていません。
また、発言内容が前日とほぼ同じだったため、市場への影響は限定的でした。
そのため市場では、
「164円を超えても、すぐには介入しないのではないか」
という見方が広がりやすくなっています。
ただし、「165円まで介入がない」と決まっているわけではありません。
日本の為替当局は、特定の水準ではなく、値動きの速さや投機的な動きを重視すると説明しています。
そのため、164円台や165円台で突然介入が実施される可能性も否定できません。
ドル円を買う場合でも、介入による数円規模の急落には十分な注意が必要です。
円安だけではない「日本売り」のリスク
現在の日本市場では、円だけでなく国債価格にも強い下落圧力がかかっています。
国債価格が下落すると、国債利回りは上昇します。
日本の10年国債利回りは7月に2.9%まで上昇し、およそ30年ぶりの高水準を記録しました。
日本では現在、
* 円安
* 国債安
* 長期金利上昇
が同時に進行しています。
ここで日本株まで大きく下落すると、円・債券・株式が同時に売られる「トリプル安」が意識されることになります。
これまで株価が高値圏にあったため、円安や国債安の深刻さが目立ちにくい状況でした。
しかし株式市場まで崩れれば、日本の金融政策や財政政策に対する不信感が一気に表面化する可能性があります。
株式市場は最後の砦なのか
米国でも日本でも、株式市場はここまで高値圏を維持してきました。
一方で、その周辺では状況が悪化しています。
* 原油価格が急騰
* 米国の長期金利が上昇
* 日本円が約40年ぶりの安値
* 日本国債利回りが約30年ぶりの高水準
* インフレ再燃による利上げ懸念
これらを考えると、株式市場だけが金融市場の悪化を十分に織り込んでいない可能性があります。
もちろん、すぐに暴落が始まると決まったわけではありません。
しかし現在は、少しの悪材料によって、それまで積み上がっていた楽観的なポジションが一気に崩れやすい環境です。
8月は夏季休暇に入る投資家も増え、市場参加者が減少しやすくなります。
市場の流動性が低下したところへ大きなニュースが出ると、通常より値動きが拡大することがあります。
今後のドル円で注目するポイント
ドル円は上昇トレンドを維持しています。
高値圏で引けているため、チャートだけを見れば164円突破を試しやすい形です。
ただし、現在の水準から追いかけて買う場合は、為替介入と中東情勢の急変に注意しなければなりません。
今後は、次の材料が重要になります。
164円を明確に突破できるか
164円を明確に上抜け、その後も163円台後半を維持できれば、上昇の勢いが継続する可能性があります。
一方、一時的に164円を突破しても、すぐに163円前半まで押し戻される場合は、達成感による売りに注意が必要です。
原油価格が100ドル方向へ進むか
WTI原油が100ドルへ近づけば、米国のインフレ懸念とドル高圧力がさらに強まります。
日本にとっては輸入コストの増加にもつながるため、円安要因として意識されやすくなります。
### 為替介入が実施されるか
介入は事前に日時を教えてくれるものではありません。
市場が「まだ介入はない」と油断したタイミングほど、突然実施される危険があります。
FOMCがタカ派化するか
今回のFOMCでは、政策金利そのものだけでなく、原油高とインフレに対するFRBの評価が重要です。
利上げを示唆する発言が出れば、米金利とドル円がさらに上昇する可能性があります。
まとめ
現在の金融市場は、かなり危険なバランスの上に成り立っています。
原油は急騰し、米国の長期金利は上昇し、ドル円は約40年ぶりの水準まで上昇しました。
その一方で、株式市場はこれまで高値圏を維持してきました。
今後の最大のポイントは、株式市場が原油高と金利上昇に耐えられるかどうかです。
株式市場が持ちこたえれば、現在の金融市場の緊張は表面化しにくいでしょう。
しかし株式市場まで大きく崩れた場合、円安・債券安・株安が同時に進み、金融市場全体の不安が一気に強まる可能性があります。
ドル円は上昇方向が優勢ですが、為替介入による急落リスクも高まっています。
方向だけを予想するのではなく、急変した場合にどう対応するかまで準備しておくことが大切です。
※この記事は相場環境の解説を目的としたものであり、特定の金融商品への投資を推奨するものではありません。