「自分の弱みを克服しなければ成功できない」「苦手を潰していくことが成長の近道」――これらはビジネス書や自己啓発の現場で、よく耳にする考え方です。しかし実際のところ、私たちの人生やキャリアにおいて大きな結果をもたらすのは、“強みに着目してそれを最大化する”アプローチです。
現代のビジネスシーンでは、多様なスキルや個性が求められています。個々の得意分野を活かし合うことで、チームや組織として高いパフォーマンスを発揮できるのはもちろん、自身の成長をよりスムーズに感じやすくなります。そこに注目し、各個人の持つ才能を可視化するツールとして注目されているのがストレングス・ファインダーです。
ストレングス・ファインダーは、アメリカの調査会社Gallupが開発したアセスメントで、34の資質(強みのもと)を通じて「自分がどのような才能を持っているか」を測る仕組みとなっています。その中でも「成長促進」は、人を導いたり、自分自身を含めた“成長のプロセス”を大切にできる素質を持った人に顕著に表れる資質です。この記事では、「成長促進」の資質をさらに強みに変えていくためのヒントや意外な活かし方を掘り下げていきたいと思います。
「成長促進」の資質とは
ストレングス・ファインダーで「成長促進」が上位にくる方は、他者や自分の可能性を見出し、それを伸ばしていくプロセスに喜びを感じる傾向があります。たとえば、同僚や部下と接するときに「この人がもう少しだけがんばれば大きく伸びるかもしれない」「あと少し何かを変えれば、今以上に力を発揮できるのではないか」と、相手の潜在能力に自然と目が向く――そんな感覚です。
他者の成長を喜べる“共感力”と“未来志向”
この資質を持つ人には、共感力と未来志向がセットで表れるケースが多いとされています。相手の現状を理解しながら、その人がまだ気づいていない一段先の姿を描き、そこに到達するためのステップを考えようとするのです。上司やリーダー的ポジションに就いた際には、「人を育てること」に積極的に関わりやすく、チーム全体の成長に寄与できるでしょう。
自身の成長にも敏感
もう一つ見逃せないのは、他者に限らず、自分自身にも同じ熱量で成長を求める傾向があることです。「新しい知識を身につけたい」「今のスキルをもっと高めたい」といった学習意欲が強く、新しい環境や役割を“面白そう”と思えるのも「成長促進」を持つ人ならではの特長です。一方で、成長過程そのものを楽しむあまり、意図した成果や数字に直結するスピード感を疎かにしてしまうこともあります。大切なのは、学びのプロセスと成果のバランスをうまく取りながら、チームや自分自身にとっての“ベストなゴール”を見極めることです。
「成長促進」を本当の強みに進化させるためには
では、この資質が示す才能をどうやって“本当の強み”として研ぎ澄ませていけばいいのでしょうか。
1.成果を見据えたゴール設定を行う
「成長促進」を持つ方が陥りがちなのは、相手や自分の“成長のプロセス”を重視するあまり、成果へのコミットがおろそかになることです。たとえば、部下に学びの機会を与え続ける一方で、最終的な数値目標を達成できないまま時間だけが過ぎてしまう、という状況です。そこで大切なのが、“成長の先にどんな成果があるのか”を具体化すること。学習プランやトレーニングに取り組む時点で、「このプロジェクトが成功したら、どれくらいの売上増やコスト削減が見込めるのか」「チームの評価指標をどのくらい上げたいのか」など、目に見える目標設定をしておくとよいでしょう。その目標達成に向けて人の成長を促し、導くのが「成長促進」の本領発揮と言えます。
2.フィードバックのタイミングを逃さない
「成長促進」を持つ人は、他者の潜在的な可能性を見出す能力に長けています。しかし、実際に相手に気づきを与え、行動変容を促すためには、“適切なタイミングでのフィードバック” が欠かせません。特にプロジェクトの節目や、新しい業務に取り組み始めたときなどは、相手が「自分は正しい方向に進めているのだろうか」と迷いやすい局面です。そこを逃さずに声をかけ、具体的なアドバイスやポジティブな励ましを与えることが、チームの成長を加速させる大きな要因となります。
3.自己成長のプロセスを明文化する
「成長促進」の資質を持つ人は、自分自身の学習やスキルアップにも熱心な傾向があります。ビジネスシーンにおいては、そのモチベーションを一過性のものにしないためにも、学びのプロセスを“見える化”することをおすすめします。具体的には、定期的に自分が取り組んだことを記録し、“何をどのように学んだのか”“その結果どう変化したか” を振り返る習慣をつくるのです。これにより、自分の成長幅を客観的に把握できるだけでなく、今後どんな領域をさらに磨くべきか、優先順位を明確にしやすくなります。
4.周囲と協働しながら“成長の連鎖”を生み出す
「成長促進」は、個人の学習欲だけでなく、他者を巻き込みながら大きなシナジーを生み出す可能性を秘めています。チームビルディングやナレッジシェアの場を積極的につくる、異業種交流会などに参加して多角的な視点を取り入れるなど、自分の成長が周囲の成長にもつながるような仕掛けを意識しましょう。自分が学んだことをチームで共有することで、新しいアイデアが生まれたり、思わぬところから次の学びのヒントがやってくることも少なくありません。学び合う文化を醸成することで、組織全体として成長曲線を急激に引き上げることも夢ではないのです。
もっと深く自分の強みを理解しよう
ここまで「成長促進」の資質を軸に、強みに育てていくための方法を紹介してきました。しかし、ストレングス・ファインダーが示す34の資質は、あくまでも“入り口”に過ぎません。あなたが持つ「成長促進」は、他の資質との組み合わせによって、まったく違う個性や強みとして花開く可能性があります。
たとえば、「学習欲」が強い人なら、自分の学習のプロセスを常に進化させながら周囲にも伝播させることが得意かもしれません。一方で、「共感性」との組み合わせが強い人であれば、相手の感情の変化をいち早く察知し、ピンポイントで必要なアドバイスを提供できるでしょう。さらには、「戦略性」を上位に持つ場合、成長のシナリオを描き出す力が飛躍的に高まり、チーム全体の方向性を決める役割を担うかもしれません。
こうした“あなただけの資質の掛け合わせ”を理解することが、自分の強みを本当の意味で活かしきる第一歩です。そこで活用を検討してほしいのが、Gallup認定ストレングスコーチによるコーチングです。客観的な視点と豊富な知識を持つコーチと対話することで、自分の資質の本質に迫り、より具体的なアクションプランを描くことが可能になります。
仕事やプライベートの状況を踏まえながら、「なぜこの場面でモチベーションが湧くのか」「なぜこの人の成長を応援したいと強く思うのか」――そういった疑問の答えを、あなた自身が導き出すことをサポートしてくれるのです。
もし「もっと詳しく自分のことを知りたい」「強みを活かしたキャリアアップやリーダーシップを育みたい」と感じるのであれば、一度コーチングセッションを体験してみてはいかがでしょうか。自分が本当に発揮したい資質のエネルギー源がわかると、新しい目標設定や行動指針が鮮明になり、成長のスピードが一気に加速するはずです。