子どもの頃から強い近視だった私は、幼稚園でも小学校でも、先生の説明や黒板の文字が見えず、ただただ困っていました。
けれど「見えない」と言えませんでした。
言ったら怒られるかもしれない、
恥ずかしい、そんな思いが心を塞いでいました。
小学四年生の時、担任の先生が初めて親にメガネを勧めてくれました。
メガネをかけた瞬間、世界がぱっと明るくなりました。
あの時の感動は今でも忘れられません。
先生には心から感謝しています。
でも同時に、どうしてそれまで誰も気づいてくれなかったのか…そんな思いもありました。
けれど、今ならわかります。
いちばん大切だったのは「自分から伝えること」だったのだと。
私は内気な性格と家庭の事情から、大人に気持ちを伝えることが怖かった。
でもそのせいで、長い間、見えない苦しさを抱えて生きていました。
人に「察してほしい」「わかってほしい」と願う気持ちは誰にでもあります。けれど、それだけでは伝わりません。
ほんの少しの勇気を持って言葉にすることで、世界は変わります。
そして、大人になった私は、少しずつ自分の気持ちを伝えられるようになりました。
特に恋人との関係では、伝えることの大切さを学びながら、実験のように少しずつ言葉にしてみました。
「一緒に旅行に行きたい」
「花火大会に行きたいからチケットを取ったよ」
そんな小さな一言が、嬉しい未来を運んできてくれました。
彼は私の言葉に応えてくれました。
以前の私なら、傷つくのが怖くて言えませんでした。
でも、勇気を出して伝えたことで、心が通い合う瞬間が増えていきました。
傷ついたときは、もちろん悲しい。
けれど、伝えなかったことで生まれる後悔のほうが、ずっと深く長く心に残ります。
だから私は、少しずつでも「伝える勇気」を持ち続けたいと思います。
それは、誰かに甘えることでも、わがままを言うことでもありません。
ただ、自分の心を大切にすること。
そして、相手との関係を育てていくための、優しい一歩なのだと思います。
今、見えない世界にいたあの頃の私に声をかけるなら、こう言いたい。
「怖くてもいいから、少しだけ言ってみよう。その先には、きっと優しい光が待ってるよ。」