自家製「青汁」

自家製「青汁」

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前回、父ちゃんの医者嫌いについて書きました。病院にはあまり頼らず、自分なりの健康法を実践していた父ちゃんでしたが、その健康法から、当然、子供たちも影響を受けることになります。今回は、その具体例として、自家製の「青汁」と「トマトジュース」について書いてみたいと思います。

「青汁作り」は子供の仕事だった

健康に良いからと言って、小さい頃は、自家製の「青汁」をよく飲まされました。自家製「青汁」というのは、市販されている粉末の「青汁」ではありません。水に溶かして飲む、あの粉末の「青汁」は、自家製「青汁」を飲んでいた僕からすると、いわば偽物です。とはいえ、個人的には、その偽物の方が、飲みやすくて美味しいのですが。

作り方はシンプルですが、時間がかかります。青野菜が手に入ると、父ちゃんから「青汁作り」の命令が出ます。用意するのは、金属製のボウルとすりこぎです。ボウルの中に、青野菜をあふれるほど入れ、そのあふれそうな青野菜を、すりこぎでひたすら叩きます。トントンと延々と叩いていると、青野菜がしなしなになっていきます。これ以上しなしなにならない、という状態まで、しっかり叩き続けるのが、子供の仕事でした。

しなしなになった青野菜をボウルごと父ちゃんに渡すと、父ちゃんはそれをガーゼの中に入れ、力いっぱい絞ります。すると「青汁」が出てきます。ボウル一杯分の青野菜から絞れる青汁は、そんなに多くありません。青汁が絞れると、僕たち兄弟5人が、ひとりひとり名前を呼ばれ、おちょこ一杯分の青汁を父ちゃんから渡され、「飲め!」と言われて飲まされることになります。

飲んだ後、みんなの口から出る言葉は、決まって「苦い!」でした。父ちゃんは、その感想を聞きながら、満足そうにニコニコしていたように思います。

手作り「トマトジュース」

市販の「青汁」を偽物だと感じてしまうのと同じように、市販の「100%トマトジュース」も、僕にとっては偽物です。
初めてスーパーで「100%トマトジュース」を見たとき、「これは本物じゃない」と思ってしまいました。というのも、僕の家で「トマトジュース」と言えば、自分でトマトをすりおろしたもののことだったからです。市販されている、あのさらさらとした、美味しい「100%トマトジュース」を見るたびに、今でもどこか偽物のように感じてしまいます。

今思えば

自家製の青汁も、自家製のトマトジュースも、体には良かったのだろうと思います。ただ、もう久しく飲んでいません。

当時は、ただ「苦い」「面倒くさい」としか思っていませんでしたが、今こうして振り返ってみると、あの手間のかかる作業を、子供たちを巻き込みながら続けていた父ちゃんなりのやり方が、少し懐かしく感じられます。すりこぎでトントン延々と青野菜を叩いていた時間も、今となっては、悪くない思い出です。

あなたにも、あなたの家庭ならではの「独自の健康法」や「うちだけのルール」があったかもしれません。当時は嫌だったことも、今振り返ると、案外違って見えてくることがあるかもしれません。

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